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2022/2/26 更新
こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『遺留分の計算方法』。
遺言書での遺産分けで関わってくる要素ですが、実際の金額が気になる人も多いでしょう。
「自分の遺留分を知りたい」
「なるべく簡単な解説でお願いします」
▼
こんな方はぜひ、読んでみて下さい。
この記事では、計算方法を『5つのステップ』に分け解説。
さらに、理解しやすくなるよう計算例も用意しています。
一つ一つの計算は難しくはありません。
気楽にトライしてみて下さい。
◆・この記事を読む前に・◆
相続発生時の金額を使用。
預貯金や不動産などの資産が当てはまります。
死亡保険金や死亡退職金は基本的に含めません。
以下贈与がされていれば加算します。
加算対象は、『相続開始日から10年前までに行われたもの』。
ただし、『遺留分を侵害することを分かった上で行われたもの』は、10年以上前であっても対象となります。
加算対象は、『相続開始日から1年前までに行われたもの』。
ただし、『遺留分を侵害することを分かった上で行われたもの』は、1年以上前であっても対象となります。
借金や未払い金などの債務があれば引きます。
故人がだれかの連帯保証人となっている『保証債務』は、原則控除できません。
子や親が複数いる時は、【遺留分の割合】を人数割り。
1人あたりの割合に調整してから計算に使います。
◆・【例】『子一人あたり』の割合・◆
【例①】相続人:子のみ
【例②】相続人:配偶者&複数の子
◆・【例】『直系尊属一人あたり』の割合・◆
【例①】相続人:両親(親が複数)
【例②】相続人:【配偶者 & 両親】
【例③】相続人:【祖父母3人】
【例④】相続人:【配偶者 & 祖父母3人】
相続した債務金額は、遺留分に加算し請求することが出来ます。
相続人 | 配偶者 | 子 | 直系尊属 |
---|---|---|---|
配偶者のみ | 1 | ||
子のみ | 1 | ||
直系尊属のみ | 1 | ||
配偶者 & 子 | 1/2 | 1/2 | |
配偶者 & 直系尊属 | 2/3 | 1/3 |
◆:子や直系尊属が複数いる時は、step②【遺留分の割合】と同じように人数割り
◆:1人の者に「全財産を相続させる」遺言
◆:1債務の返済については、とくに書かれていない
この2つを満たしている遺言は注意。
全財産には、債務も含んでいるものと解釈されます。
他の相続人へマイナス財産が渡ることはないため、遺留分に上乗せすることは出来ません。
債務はマイナスの相続財産ですが、遺産分割の対象ではありません。
つまり、分割協議や遺言書で決めることはそもそも不可。
自動的に法で決められた割合で分配されます。
なお、遺言書で指定されている場合は『債務指定部分のみが無効』。
その他の遺言については、有効です。
実際に受け取った遺産の金額。
何ももらっていない場合は『0』です。
故人から贈与され、特別受益が発生している場合は引きます。
step①:【基礎財産額】とはちがい、対象期間の指定は無し。
必ず差し引かなければいけません。
『-(マイナス)』になった時は、請求不可。
自分が持っている遺留分が確保されていることを表します。
法的な請求はできないので注意しましょう。
具体的な金額を使い、実践した方がしっくり落とし込めます。
5つの計算ステップを使い、実際に計算してみましょう。
ここでは相続人のパターン別に、計算例をご用意。
気になるものをチェックしてみましょう。
【条件】 | |
---|---|
【相続人】 | 配偶者 |
【財産】 |
|
【贈与】 | なし |
【遺言】 |
|
◆・ step①:【基礎財産額】・◆
【プラス財産額】+【贈与額】-【マイナス財産額】
= 5,000万円 + 5,000万円 - 2,000万円
= 8,000万円
◆・ step②:【遺留分の割合】・◆
【早見表】より
= 1/2
◆・step③:【遺留分の金額】・◆
【step①:基礎財産額】×【step②:遺留分の割合】
= 8,000万円 × 1/2
= 4,000万円
◆・step④:【相続するマイナス財産額】・◆
愛人が全てのマイナス財産も相続
= 0円
◆・step⑤:【請求できる遺留分の金額】・◆
【step③:遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【相続したマイナス財産額】
= 4,000万円 - 0円 - 0円 + 0円
= 4,000万円
【条件】 | |
---|---|
【相続人】 | 子A、子B |
【財産】 |
|
【贈与】 | 子Aに1,000万円(特別受益) |
【遺言】 |
|
◆・step①:【基礎財産額】・◆
【プラス財産額】+【贈与額】-【マイナス財産額】
= 5,000万円 + 5,000万円 + 1,000万円 - 2,000万円
= 9,000万円
◆・step②:【遺留分の割合】・◆
【早見表】より
= 1/2 × 1/2人
= 1/4
◆・step③:【遺留分の金額】・◆
【step①:基礎財産額】×【step②:遺留分の割合】
= 9,000万円 × 1/4
= 2,250万円
◆・step④:【相続するマイナス財産額】・◆
【債務金額】×【法定相続分】
= 2,000万円 ×(1 × 1/2人)
= 2,000万円 × 1/2
= 1,000万円
◆・step⑤:【請求できる遺留分の金額】・◆
【step③:遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【step④:相続するマイナス財産額】
= 2,250万円 - 2,000万円 - 0円 + 1,000万円
= 1,250万円
【条件】 | |
---|---|
【相続人】 | 父、母 |
【財産】 |
|
【贈与】 |
|
【遺言】 |
|
◆・step①:【基礎財産額】・◆
【プラス財産額】+【贈与額】-【マイナス財産額】
= 5,000万円 + 5,000万円 + 1,300万円 - 2,000万円
= 9,300万円
◆・step②:【遺留分の割合】・◆
【早見表】より
【父】
= 1/3 × 1/2人
= 1/6
【母】
= 1/3 × 1/2人
= 1/6
◆・step③:【遺留分の金額】・◆
【step①:基礎財産額】×【step②:遺留分の割合】
【父】
= 9,300万円 × 1/6
= 1,550万円
【母】
= 9,300万円 × 1/6
= 1,550万円
◆・step④:【相続するマイナス財産額】・◆
【債務金額】×【法定相続分】
【父】
= 2,000万円 ×(1 × 1/2人)
= 2,000万円 × 1/2
= 1,000万円
【母】
= 2,000万円 ×(1 × 1/2人)
= 2,000万円 × 1/2
= 1,000万円
◆・step⑤:【請求できる遺留分の金額】・◆
【step③:遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【step④:相続するマイナス財産額】
【父】
= 1,550万円 - 1,000万円 - 300万円 + 1,000万円
= 1,250万円
【母】
= 1,550万円 - 1,000万円 - 1,000万円 + 1,000万円
= 550万円
【条件】 | |
---|---|
【相続人】 | 妻、子A、子B |
【財産】 |
|
【贈与】 | 子Aに500万円(特別受益) |
【遺言】 |
|
◆・step①:【基礎財産額】・◆
【プラス財産額】+【贈与額】-【マイナス財産額】
= 5,000万円 + 5,000万円 + 500万円 - 2,000万円
= 8,500万円
◆・step②:【遺留分の割合】・◆
【早見表】より
【子A】
= 1/2 × 1/2人
= 1/4
【子B】
= 1/2 × 1/2人
= 1/4
◆・step:③【遺留分の金額】・◆
【step①:基礎財産額】×【step②:遺留分の割合】
【子A】
= 8,500万円 × 1/4
= 2,125万円
【子B】
= 8,500万円 × 1/4
= 2,125万円
◆・step④:【相続するマイナス財産額】・◆
【債務金額】×【法定相続分】
【子A】
= 2,000万円 ×(1/2 × 1/2人)
= 2,000万円 × 1/4
= 500万円
【子B】
= 2,000万円 ×(1/2 × 1/2人)
= 2,000万円 × 1/4
= 500万円
◆・step⑤:【請求できる遺留分の金額】・◆
【step③:遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【step④:相続するマイナス財産額】
【子A】
= 2,125万円 - 500万円 - 500万円 + 500万円
= 1,625万円
【子B】
= 2,125万円 - 500万円 - 0円 + 500万円
= 2,125万円
【条件】 | |
---|---|
【相続人】 | 妻、母 |
【財産】 |
|
【贈与】 | 愛人へ2,000万円 |
【遺言】 |
|
◆・step①:【基礎財産額】・◆
【プラス財産額】+【贈与額】-【マイナス財産額】
= 2,000万円 + 3,000万円 + 5,000万円 + 2,000万円 - 3,000万円
= 9,000万円
◆・step②:【遺留分の割合】・◆
【早見表】より
【妻】= 2/6
【母】= 1/6
◆・step③:【遺留分の金額】・◆
【step①:基礎財産額】×【step②:遺留分の割合】
【妻】
= 9,000万円 × 2/6
= 3,000万円
【母】
= 9,000万円 × 1/6
= 1,500万円
◆・step④:【相続するマイナス財産額】・◆
【債務金額】×【法定相続分】
【妻】
= 3,000万円 × 2/3
= 2,000万円
【母】
= 3,000万円 × 1/3
= 1,000万円
◆・step⑤:【請求できる遺留分の金額】・◆
【step③:遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【step④:相続するマイナス財産額】
【妻】
= 3,000万円 - 2,000万円 - 0円 + 2,000万円
= 3,000万円
【母】
= 1,500万円 - 2,000万円 - 0円 + 1,000万円
= 500万円
当事者同士での解決が難しいことはよくあります。
どうしても遺留分を手に入れたい人は、裁判所を通しての請求を検討してみましょう。
◆:直接交渉したくない(会いたくない)
◆:相手が応じてくれない
◆:直接交渉で、相手からの合意が得られなかった
etc.
家庭裁判所へ申立てをし、公的な場での話し合いで解決できるかを試みます。
請求する相手(多く遺産をもらった人)が住んでいる地域管轄で申し立てをしなければいけません。
調停で解決できない時は、地方裁判所にて『裁判』をします。
証拠や合理的な理由を提示し、遺留分侵害を主張しなければいけません。
弁護士に依頼し対応してもらうのが一般的です。
「意外と難しくないかも」
確かに、遺留分と言っても計算自体はそこまで難しいものではありません。
自己計算をし遺留分をあらかじめ把握しておけば、有利な対策をしておくことも出来るでしょう。
しかし、『正しい遺留分』を把握するには『正しい情報』が必須。
財産や相続人があやふやでは、誤った備えをしてしまうかもしれません。
◆:「どんな財産がどこにどのくらいあるかなんて分からない」
◆:「隠し財産があったらどうしよう」
◆:「そもそもどうやって調べたらいいか分からないし、不安」
少しでも不安を感じるのであれば、やはり専門家を頼ってしまうのがおすすめ。
ムダなく確実な対策が可能なため、不要な心配をしなくて済みます。
精神的な負担も減るため、安心して相続に望めるでしょう。
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