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【計算方法】遺留分はこうやって出す
5つのステップ&計算例

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')

今回のテーマは、『遺留分の計算方法』。

 

遺言書での遺産分けで関わってくる要素ですが、実際の金額が気になる人も多いでしょう。


「自分の遺留分を知りたい

「堅苦しいのはイヤ。なるべく簡単にお願いします」
 

こんな方はぜひ、読んでみて下さい。

 

この記事では、計算方法を『5つのステップ』に分け解説。

さらに、理解しやすくなるよう計算例も用意しています。

 

一つ一つの計算は難しくはありません。

気楽にトライしてみて下さい。

◆・この記事を読む前に・◆

◆:兄弟姉妹に遺留分はありません
◆:正式な請求額とは異なる可能性があります
◆:目安金額を知るための『概算用』としてご参考ください
◆:正確な金額を把握し対策したい方は、専門家への相談をおすすめします

【計算方法】遺留分を導く5つのステップ

早速、遺留分を計算してみましょう。

5つのステップを順番に踏んでいけばOK!

 

  • step1. ベースとなる【基礎財産額】を確定
  • step2.【遺留分の割合】を確認
  • step3.【遺留分の金額】を計算
  • step4.【相続するマイナス財産額】を計算
  • step5.【請求できる遺留分の金額】を計算

 

各ステップごとに簡単解説あり!

自分の遺留分を把握してみましょう。

  •  step1 

◆:ベースとなる【基礎財産額】を確定

 計算式 

【プラス財産額】+【贈与した金額】-【マイナス財産額】

◆・【プラス財産額】・◆
  • 相続発生時の金額
  • 預貯金や不動産などの資産が当てはまります
  • 死亡保険金や死亡退職金は基本的に含めません

 

◆・【贈与した金額】・◆

以下のような贈与があれば加算します。

 

特別受益にあたる贈与

  • 加算対象は、『相続開始日から10年前までに行われたもの』
  • ただし、『遺留分を侵害することを分かった上で行われたもの』は、10年以上前であっても対象

 

その他の贈与

  • 加算対象は、『相続開始日から1年前までに行われたもの』
  • ただし、『遺留分を侵害することを分かった上で行われたもの』は、1年以上前であっても対象
◆・【マイナス財産額】・◆
  • 借金や未払い金などの債務
  • 故人がだれかの連帯保証人となっている『保証債務』は、原則控除できないので注意
  •  step2 

◆:【遺留分の割合】を確認

 計算式 

【基本の遺留分割合】×【法定相続分】


◆:【早見表】
  基本の遺留分割合 法定相続分 遺留分の割合
配偶者のみ

1/2

1

1/2

子のみ

1/2

1

1/2

直系尊属のみ

1/3

1

1/3

配偶者 & 

1/2

配偶者:1/2

子:1/2

配偶者:1/4

子:1/4

配偶者 & 直系尊属

1/2

配偶者:2/3

直系尊属:1/3

配偶者:2/6

直系尊属:1/6

  • 相続人の組み合わせで変わるので注意
  • 兄弟姉妹には遺留分がありません(請求権なし)
  • 相続人が【配偶者 & 兄弟姉妹】の場合は、【配偶者のみ】の割合で、配偶者だけ請求できます

 


◆:同じ属性の相続人が複数いるとき

子や親が複数いる時は、【遺留分の割合】を人数割り。

1人あたりの割合に調整してから計算に使います。

 

◆・【子】の計算例・◆

 例①  相続人が【子のみ】

  • 2人⇒ 1/2 × 1/2人 = 1/4
  • 3人⇒ 1/2 × 1/3人 = 1/6

 

 例②  相続人が【配偶者】&【子】

  • 2人⇒ 1/4 × 1/2人 = 1/8
  • 3人⇒ 1/4 × 1/3人 = 1/12

◆・【直系尊属】の計算例・◆

 例①  相続人が【両親】

  • 2人⇒ 1/3 × 1/2人 = 1/6

 

 例②  相続人が【配偶者】&【両親】

  • 2人⇒ 1/6 × 1/2人 = 1/12

 

 例③  相続人が【祖父母3人】

(両親がいなく、【父方の両親 & 母方の親1人】など)

  • 3人⇒ 1/3 × 1/3人 = 1/9

 

 例④  相続人が【配偶者】&【祖父母3人】

(両親がいなく、【父方の両親 & 母方の親1人】など)

  • 3人⇒ 1/6 × 1/3人 = 1/18
  •  step3 

◆:【遺留分の金額】を計算

 計算式 

step.1【基礎財産額】× step2.【遺留分の割合】

◆・【例】・◆

【基礎財産額】4,000万円

【遺留分の割合】1/4

 

【遺留分の金額】

4,000万円 × 1/4 =  1,000万円 

  •  step4 

◆:【相続するマイナス財産額】を計算

相続した債務金額は、遺留分に加算し請求することが出来ます。

 計算式 

【債務金額】×【法定相続分】

◆・法定相続分・◆
相続人 配偶者 直系尊属
配偶者のみ 1    
子のみ   1  
直系尊属のみ     1
配偶者 & 子

1/2

1/2  
配偶者 & 直系尊属

2/3

  1/3
  • 子や直系尊属が複数いる時は、step2.【遺留分の割合】と同じように人数割り

◆:こんな遺言書がある時は、『上乗せできない』

1人の者に「全財産を相続させる」遺言

かつ

債務の返済については、とくに書かれていない

  • 全財産とは、『債務を含めた全ての財産』
  • 他の相続人へマイナス財産が渡ることはないため、遺留分に上乗せすることは出来ません

 

◆:補足知識

債務はマイナスの相続財産ですが、遺産分割の対象ではありません。

つまり、分割協議や遺言書で決めることはそもそも不可。

自動的に法的割合で分配されるので注意しましょう。

 

なお、遺言書で指定されている場合は『債務指定部分のみが無効』。

その他の遺言については、有効です。

  •  step5 

◆:【請求できる遺留分の金額】を計算

step3.【遺留分の金額】から、以下のものを引き算&足し算。

残った金額が、相手に請求できる金額です。

 計算式 

step3.【遺留分の金額】

-【相続した財産額】

-【特別受益の金額】

+ step4.【相続したマイナス財産額】

◆・【相続した財産額】
  • 実際に相続した財産額
  • 何ももらっていない場合は『0』です

 

◆・【特別受益の金額】
  • 故人から贈与され、特別受益が発生している場合は引きます
  • step1.【基礎財産額】とはちがい、期間指定はありません
  • 必ず引く点に注意しましょう

 

◆・【相続したマイナス財産額】
  • step4.で計算した債務金額を、遺留分に上乗せします

 

◆!・Check・!◆

計算結果が『-(マイナス)』になった時は、請求不可。

遺留分が確保されていることもあるので注意しましょう。

【計算例】請求できる遺留分はいくら?

5つの計算stepで実際に計算してみましょう。

具体的な金額を使うことでしっくり落とし込めます。

ここでは相続人パターン別にそれぞれ計算例をご用意。

チャレンジしてみましょう。

◆・【配偶者】のみ・◆

妻が愛人に請求できる遺留分の金額は?

相続人

  • 配偶者

 

財産

  • 【不動産】5,000万円
  • 【預貯金】5,000万円
  • 【債務】2,000万円

 

贈与

  • なし

 

夫の遺言書

  • 「愛人にすべての財産を相続させる」
  • 債務についての記載はなし
◆:計算

 step1  ベースとなる【基礎財産額】を確定

=【プラス財産額】+【贈与した金額】-【マイナス財産額】

= 5,000万円 + 5,000万円 - 2,000万円

= 8,000万円

 

 step2  【遺留分の割合】を確認

= 1/2

 

 step3  【遺留分の金額】を計算

= step.1【基礎財産額】× step2.【遺留分の割合】

= 8,000万円 × 1/2

= 4,000万円

 

 step4  【相続するマイナス財産額】を計算

= 愛人が全てのマイナス財産も相続

= 0円

 

 step5  【請求できる遺留分の金額】を計算

= step3.【遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【相続したマイナス財産額】

= 4,000万円 - 0円 - 0円 + 0円

= 4,000万円

 

妻が愛人に請求できる金額: 4,000万円

◆・【子】のみ・◆

子Bが子Aに請求できる遺留分の金額は?

相続人

  • 子A
  • 子B

 

財産

  • 【不動産】5,000万円
  • 【預貯金】5,000万円
  • 【債務】2,000万円

 

贈与

  • 子Aに1,000万円(特別受益)

 

遺言書

  • 「子Aに、不動産と預貯金3,000万円」
  • 「子Bに、預貯金2,000万円」
◆:計算

 step1  ベースとなる【基礎財産額】を確定

=【プラス財産額】+【贈与した金額】-【マイナス財産額】

= 5,000万円 + 5,000万円 + 1,000万円 - 2,000万円

= 9,000万円

 

 step2  【遺留分の割合】を確認

1/2 × 1/2人 = 1/4

 

 step3  【遺留分の金額】を計算

= step.1【基礎財産額】× step2.【遺留分の割合】

= 9,000万円 × 1/4

= 2,250万円

 

 step4  【相続するマイナス財産額】を計算

=【債務金額】×【法定相続分】

(1 × 1/2人)= 1/2

2,000万円 × 1/2 = 1,000万円

 

 step5  【請求できる遺留分の金額】を計算

= step3.【遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【相続したマイナス財産額】

= 2,250万円 - 2,000万円 - 0円 + 1,000万円

= 1,250万円

 

子Bが子Aに請求できる金額: 1,250万円

◆・【直系尊属】のみ・◆

親が友人に請求できる遺留分の金額は?

相続人

  • 故人の父
  • 故人の母

 

財産

  • 【不動産】5,000万円
  • 【預貯金】5,000万円
  • 【債務】2,000万円

 

贈与

  • 父に300万円(特別受益)
  • 母に1,000万円(特別受益)

 

遺言書

  • 「友人に、不動産と預貯金3,000万円を相続させる」
  • 「残りの預貯金を1,000万円ずつ父と母へ」
◆:計算

 step1  ベースとなる【基礎財産額】を確定

=【プラス財産額】+【贈与した金額】-【マイナス財産額】

= 5,000万円 + 5,000万円 + 1,300万円 - 2,000万円

= 9,300万円

 

 step2  【遺留分の割合】を確認

【父】1/3 × 1/2人 = 1/6

【母】1/3 × 1/2人 = 1/6

 

 step3  【遺留分の金額】を計算

= step.1【基礎財産額】× step2.【遺留分の割合】

 

【父】

= 9,300万円 × 1/6

= 1,550万円

 

【母】

= 9,300万円 × 1/6

= 1,550万円

 

 step4  【相続するマイナス財産額】を計算

=【債務金額】×【法定相続分】

 

【父】

1 × 1/2人 = 1/2

2,000万円 × 1/2 = 1,000万円

 

【母】

1 × 1/2人 = 1/2

2,000万円 × 1/2 = 1,000万円

 

 step5  【請求できる遺留分の金額】を計算

= step3.【遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【相続したマイナス財産額】

 

【父】

= 1,550万円 - 1,000万円 - 300万円 + 1,000万円

= 1,250万円

 

【母】

= 1,550万円 - 1,000万円 - 1,000万円 + 1,000万円

= 550万円

 

親が友人に請求できる金額: 【父】1,250万円、【母】550万円

◆・【配偶者】&【子】・◆

子Aと子Bが妻に請求できる遺留分の金額は?

相続人

  • 子A
  • 子B

 

財産

  • 【不動産】5,000万円
  • 【預貯金】5,000万円
  • 【債務】2,000万円

 

贈与

  • 子Aに500万円(特別受益)

 

夫の遺言書

  • 「妻に不動産と預貯金4,000万円を相続させる」
  • 「残りの預貯金は500万円ずつ子Aと子Bへ」
◆:計算

 step1  ベースとなる【基礎財産額】を確定

=【プラス財産額】+【贈与した金額】-【マイナス財産額】

= 5,000万円 + 5,000万円 + 500万円 - 2,000万円

= 8,500万円

 

 step2  【遺留分の割合】を確認

【子A】= 1/4(1/2 × 1/2人)

【子B】= 1/4(1/2 × 1/2人)

 

 step3  【遺留分の金額】を計算

= step.1【基礎財産額】× step2.【遺留分の割合】

 

【子A】8,500万円 × 1/4 = 2,125万円

【子B】8,500万円 × 1/4 = 2,125万円

 

 step4  【相続するマイナス財産額】を計算

=【債務金額】×【法定相続分】

【子A】

1/2 × 1/2人 = 1/4

2,000万円 × 1/4 = 500万円

 

【子B】

1/2 × 1/2人 = 1/4

2,000万円 × 1/4 = 500万円

 

 step5  【請求できる遺留分の金額】を計算

= step3.【遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【相続したマイナス財産額】

 

【子A】

= 2,125万円 - 500万円 - 500万円 + 500万円

= 1,625万円

 

【子B】

= 2,125万円 - 500万円 - 0円 + 500万円

= 2,125万円

 

妻に請求できる金額: 【子A】1,625万円、【子B】2,125万円

◆・【配偶者】&【直系尊属】・◆

妻と親が愛人に請求できる遺留分の金額は?

相続人

  • 故人の母

 

財産

  • 【不動産①】2,000万円
  • 【不動産②】3,000万円
  • 【預貯金】5,000万円
  • 【債務】3,000万円

 

贈与

  • 愛人へ2,000万円

 

夫の遺言書

  • 「妻に不動産①を相続させる」
  • 「不動産②と預貯金3,000万円は愛人へ」
  • 「残りの預貯金2,000万円は母へ」
◆:計算

 step1  ベースとなる【基礎財産額】を確定

=【プラス財産額】+【贈与した金額】-【マイナス財産額】

= 2,000万円 + 3,000万円 + 5,000万円 + 2,000万円 - 3,000万円

= 9,000万円

 

 step2  【遺留分の割合】を確認

【妻】= 2/6

【母】= 1/6

 

 step3  【遺留分の金額】を計算

= step.1【基礎財産額】× step2.【遺留分の割合】

 

【妻】9,000万円 × 2/6 = 3,000万円

【母】9,000万円 × 1/6 = 1,500万円

 

 step4  【相続するマイナス財産額】を計算

=【債務金額】×【法定相続分】

【妻】

3,000万円 × 2/3 = 2,000万円

 

【母】

3,000万円 × 1/3 = 1,000万円

 

 step5  【請求できる遺留分の金額】を計算

= step3.【遺留分の金額】-【相続した財産額】-【特別受益の金額】+【相続したマイナス財産額】

 

【妻】

= 3,000万円 - 2,000万円 - 0円 + 2,000万円

= 3,000万円

 

【母】

= 1,500万円 - 2,000万円 - 0円 + 1,000万円

= 500万円

 

愛人に請求できる金額: 【妻】3,000万円、【母】500万円

【請求方法】遺留分どうやって入手するの?

「遺留分は分かったけど、請求はどんな風にしたらいいの?」

請求方法はずばり2通り。

 

  • 直接請求
  • 裁判所経由で請求

 

状況によって選ぶ必要があるでしょう。

それぞれの詳細は以下のとおり。

◆・直接請求・◆

 

相手と話し合い、直接金額を請求する方法。

口頭だけの交渉は証拠が残らず、後でトラブルになる可能性があります。

『内容証明郵便』+『配達証明』による、書類請求がおすすめ。

 

◆:内容証明郵便と配達証明

【内容証明郵便】

『送った文章内容』を証明できる郵便サービス。

書類の偽造防止に役立ちます。

 

【配達証明】

『配達した事実』を証明できる配達オプション。

相手の言い逃れ防止に役立ちます。

◆・裁判所経由で請求・◆

  • 直接交渉したくない(会いたくない)
  • 相手が応じてくれない
  • 直接交渉で、相手からの合意が得られなかった

 

このような人は裁判所を介し、請求しましょう。

◆:step1. 家庭裁判所に申し立て(調停)
  • 調停委員が代わりに交渉してくれる
  • 請求する相手(多く遺産をもらった人)が住んでいる地域管轄で申し立てをしなければいけない点に注意

 

◆:step2. それでも解決できないときは、訴訟
  • 地方裁判所にて訴訟
  • 遺言書などの証拠を提示し、遺留分侵害について主張していきます
  • 弁護士に依頼し対応してもらうのが基本

【最後に】この記事のまとめ

 

「意外と難しくない」

こんな風に思った方もいるのではないでしょうか。

 

遺留分の自己計算ができれば、有利な対策を用意することができます。

早めに把握しておけば気持ちにも余裕ができ、後悔しない相続へ近づけるでしょう。

 

しかし、『正しい金額』の計算は自分自身では非常に困難。

計算材料が正しく把握されていなければ、1円の誤差もなく計算することが出来ないためです。

 

  • 正しい財産金額
  • 正しい贈与額
  • 贈与の正しい判断

 

 

少しでも不安な方は、やはり専門家を頼ってしまうのがおすすめ。

遺留分の計算はもちろん、あらゆる面のプレッシャーから解放されます。

 

さらに、必要であれば節税に繋がる対策も可。

どうせならお得な相続を目指してみるのも悪くはありませんよね。

 

目指すべき相続に向け、自分にできる備えをしていきましょう。

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