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2022/8/14 更新
こんにちは。相続税理士の天尾です。
今回のテーマは、「相続分の譲渡と課税される税金」。
遺産を受け取らず、自分の相続分を譲ろうと検討している人もいるでしょう。
相続分の譲渡は、やり方次第で税金がかかります。
どんな譲渡にどんな税金がかかるのか?
思わぬ納税で慌てないよう、事前にチェックしておくと安心です。
「どんな税金が課税されるの?条件は?」
「借金があるけど譲渡しても大丈夫?」
▼
こんな方はぜひ、読んでみて下さい。
また、相続分の譲渡の「メリット」「デメリット」、「相続放棄との違い」や「相続分の放棄」についても簡単に解説しています。
実はよく知らないまま譲渡しようと思っていた...こんな方は併せてチェックしてみましょう。
知識があれば思わぬトラブル防止や判断基準として役立ちます。
場合によっては、相続分の譲渡より別の方法が合っている可能性も...?
いずれも簡単にまとめています。
気になる内容があれば確認しておきましょう!
◆:Case.① 「ほかの相続人」へ「無償」で譲渡
◆:Case.② 「ほかの相続人」へ「有償」で譲渡
◆:Case.③ 「相続人以外の人」へ「無償」で譲渡
◆:Case.④ 「相続人以外の人」へ「有償」で譲渡
課税対象額が一定額以内であれば、税金はかかりません。
必ずしも「相続分の譲渡 = 課税」となるわけではないことを覚えておきましょう。
★「相続税」
【3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】まで非課税
★「贈与税」
【110万円】まで非課税
★「譲渡所得税」
受け取った対価が【取得費 + 譲渡費用 - 特別控除額】以内であれば非課税。
(※詳しくは、国税庁HP参照)
★譲渡した人は、遺産分割協議や調停に参加しなくていい。
★遺産分割協議への参加者が減ることで進行がスムーズになる。
★譲渡する相手は誰でも自由に選べる。
★一部だけを譲渡することもできる。
★他の相続人の同意は不要であり、自分の意思だけで決められる。
★申請手続きなどは必要なく、即実行できる。
★売却までに時間がかかる不動産でも、譲渡すれば即現金化することもできる。
★必ず遺産分割成立「前」に作成し、譲渡すること。
★ひな形を使って作成してもOK。
★調停にて遺産分割を進める場合は、家庭裁判所へ問い合わせしましょう。
★ほかの相続人へ譲渡した旨を書面で知らせます。
★必ず遺産分割成立「前」に作成し、通知すること。
★ひな形を使って作成してもOK。
★「内容証明郵便」での送付がおすすめです。
★借金からは逃げられない。
★譲渡された第三者は、必ず遺産分割協議に参加しなければいけない。
★第三者が参加した場合、相続が荒れる可能性が高い。
★プラス財産だけを譲渡することはできない。(借金も同じ割合で譲渡される。)
相続分の譲渡はあくまで「取り分」のやり取り。
譲渡したとしても、地位は「相続人」のままです。
債権者には、相続人に請求する権利があります。
「相続分を譲渡した」という理由では、支払いの義務を消すことはできません。
請求された場合は応じなければいけない点に注意しましょう。
親族と全く関係のない赤の他人であっても、譲渡を受けた場合は遺産分割協議に参加しなければいけません。
第三者が交じった話し合いはトラブルになりがちであり、難航する可能性大。
なお、第三者を省いた遺産分割協議は「無効」となります。
ほかの相続人には、第三者から相続分を取り戻せる権利があります。
この権利が使われた場合、第三者は拒否することができません。
第三者への譲渡には、取り戻されるリスクがあることを覚えておきましょう。
相続から離脱する方法として、「相続放棄」も挙げられます。
「相続分の譲渡」「相続放棄」、どちらを選ぶべきでしょうか?
主な違いは以下のとおり。
それぞれをよく理解し、判断してみましょう。
相続分の譲渡 | 相続放棄 | |
---|---|---|
借金の支払い義務 | 残る | 消える |
手続き | 当事者のみで完結 | 家庭裁判所へ申立て |
期限 | 遺産分割成立前まで | 相続を知った日から3ヶ月以内 |
後順位の相続人への影響 | なし | あり★ |
選択の自由 | 〇 渡す相手や割合を選べる | × 全財産放棄 |
★同じ順位の相続人が「全員相続放棄」をした場合、次の順位の相続人へ相続権が移ります。
(借金などの負債も移行)
★親族と不仲であり、関わりたくない。
★相続そのものが面倒。早めに離脱したい。
★不動産より現金がほしい。
★相続分を譲り、多く継がせたい人がいる。
★故人に借金がなく、負担の心配がない。
★故人に借金があり、絶対に負担したくない。
★最初から遺産を受け取るつもりがない。
★後順位の相続人へ相続権が移っても、問題ない。
「相続分の放棄」とは、「相続人としての地位を保ちつつ、遺産を相続しない」という相続方法。
あまり馴染みのない相続形式ですが、「相続分を譲渡したい人がいない」場合などにおすすめです。
相続分の放棄 | |
---|---|
借金の支払い義務 | 残る |
手続き | 遺産分割協議で放棄の意思表示をし、 ほかの相続人の合意を得る |
期限 | 遺産分割成立前まで |
後順位の相続人への影響 | なし |
選択の自由 | × 放棄した相続分は残りの相続人へ再配分 |
相続分の譲渡 | 相続放棄 | |
---|---|---|
借金の支払い義務 | 残る | 消える |
手続き | 当事者のみで完結 | 家庭裁判所へ申立て |
期限 | 遺産分割成立前まで | 相続を知った日から3ヶ月以内 |
後順位の相続人への影響 | なし | あり★ |
選択の自由 | 〇 渡す相手や割合を選べる | × 全財産放棄 |
★同じ順位の相続人が「全員相続放棄」をした場合、次の順位の相続人へ相続権が移ります。
(借金などの負債も移行)
★家庭裁判所での手続きなどが不要なため、手軽に実行できる。
★決められた期限がない。
★借金からは逃げられない。
★ほかの相続人の合意が必要であり、一人で完結できない。
(以下「すべてを満たす」場合におすすめです。)
★借金がない、または少額。
★遺産を相続する気がない。
★相続分を渡したい人がいない。
(以下「すべてを満たす」場合におすすめです。)
★借金がある。
★遺産を相続する気がない。
★相続分を渡したい人がいない。
★相続放棄することで、後順位の相続人へ借金を流したくない。
相続分の譲渡は、やり方次第でかかる税金が変わってきます。
どんな税金が課税されるのか事前に把握しておけば、申告や納税も忘れずに行うことができ安心です。
また納税面の他、借金がある場合は要注意。
相続分の譲渡をすれば、借金も一緒に相手に渡ります。
譲った本人も法的な支払い義務からは逃げられないため、よく理解した上で譲渡を行いましょう。
★「相続分の譲渡をすべきか揺らいでいる。」
★「他にどんな方法があるのか知りたい。」
★「使える特例などは余さず使って、お得に完結させたい。」
理想的な相続を達成したいなら、やはり専門家の力を借りてしまうのが近道。
相続は期限付きです。
個人対策も不可能ではありますが、時間と労力を要します。
いかに効率よく確実に対策できるかで、満足度に差が出てくるでしょう。
相談を検討するなら、「相続専門の税理士」へ。
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