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2022/8/14 更新

相続分の譲渡にかかる「3つの税金」
4つのケースと課税条件

 

こんにちは。相続税理士の天尾です。

今回のテーマは、「相続分の譲渡と課税される税金」。

 

遺産を受け取らず、自分の相続分を譲ろうと検討している人もいるでしょう。

相続分の譲渡は、やり方次第で税金がかかります。

 

どんな譲渡にどんな税金がかかるのか?

 

思わぬ納税で慌てないよう、事前にチェックしておくと安心です。

 

「どんな税金が課税されるの?条件は?」
「借金があるけど譲渡しても大丈夫?」

 

 

こんな方はぜひ、読んでみて下さい。

 

また、相続分の譲渡の「メリット」「デメリット」、「相続放棄との違い」や「相続分の放棄」についても簡単に解説しています。

 

実はよく知らないまま譲渡しようと思っていた...こんな方は併せてチェックしてみましょう。

 

知識があれば思わぬトラブル防止や判断基準として役立ちます。

場合によっては、相続分の譲渡より別の方法が合っている可能性も...?

 

いずれも簡単にまとめています

気になる内容があれば確認しておきましょう!

 


【4ケース】相続分の譲渡にかかる「3つの税金」

 

「相続分の譲渡」でかかる税金は3つ。

「相続税」「贈与税」「譲渡所得税」です。

 

譲渡した人は一見無関係のように思えますが、やり方次第では税金の課税対象となります。

「もらう側」「あげる側」、両サイドに課税の可能性があるため注意しましょう。

 

また、課税される税金の種類は、「譲渡する相手」と「対価の有無」で決まります。

以下ケース別に簡単にまとめましたので、チェックしてみて下さい。

 

Case.①

★・「ほかの相続人」へ「無償」で譲渡・★

 

相続人同士で譲渡を行うケース。

自分の相続分を対価なし(タダ)で譲った場合に当てはまります。

 

譲渡した人

譲渡された相続人

相続税

「譲渡した人」の課税対象



「課税なし」

 

「譲渡された相続人」の課税対象



「自分の相続分 + 譲渡された相続分」

 

Case.②

★・「ほかの相続人」へ「有償」で譲渡・★

 

譲渡した相続人から対価をもらうケース。

現金やその他資産を、相手から入手した場合に当てはまります。

 

譲渡した人

譲渡された相続人
相続税 相続税

「譲渡した人」の課税対象



「受け取った対価」

 

「譲渡された相続人」の課税対象



「自分の相続分」+「譲渡された相続分」-「あげた対価」

 

Case.③

★・「相続人以外の人」へ「無償」で譲渡・★

 

相続人ではない人へ対価を貰わずに譲るケース。

相続人以外の親族や、友人などの第三者への譲渡が当てはまります。

 

譲渡した人 譲渡された人
相続税 贈与税

「譲渡した人」の課税対象



「譲渡した相続分」

 

「譲渡された人」の課税対象



「もらった相続分」

 

Case.④

★・「相続人以外の人」へ「有償」で譲渡・★

 

相続人ではない親族や友人へ譲渡し、対価を貰うケース。

「不動産」の譲渡は、2種類の税金が課税される点に注意です。

 

譲渡した人 譲渡された人

相続税

(+譲渡所得税)

原則なし

「譲渡した人」の課税対象



「譲渡した相続分」


不動産を譲渡した場合は、
「譲渡所得税」も追加

 

「譲渡された人」の課税対象



「原則なし」


差し出した対価が極端に安かった場合は、
「贈与税」が課税される可能性あり。

 

★・お役立ちmemo・★

 

 

 

 

 

 

「非課税の範囲内なら税金はかからない」
 

 

課税対象額が一定額以内であれば、税金はかかりません。

必ずしも「相続分の譲渡 = 課税」となるわけではないことを覚えておきましょう。

 

 

「相続税」

【3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】まで非課税

 

「贈与税」

【110万円】まで非課税

 

「譲渡所得税」

受け取った対価が【取得費 + 譲渡費用 - 特別控除額】以内であれば非課税。

詳しくは、国税庁HP参照)

 


相続分の譲渡「メリット」&「デメリット」

 

相続分の譲渡をする前に、メリットとデメリットを確認しておきましょう。

安易な考えでの譲渡は、思わぬトラブルの原因となってしまうかもしれません。

 

それぞれ簡単にまとめましたので、チェックしてみて下さい。

 

Merit

★・相続分の譲渡「メリット」・★

 

譲渡した人は、遺産分割協議や調停に参加しなくていい。

遺産分割協議への参加者が減ることで進行がスムーズになる。

譲渡する相手は誰でも自由に選べる。

一部だけを譲渡することもできる。

他の相続人の同意は不要であり、自分の意思だけで決められる。

申請手続きなどは必要なく、即実行できる。

売却までに時間がかかる不動産でも、譲渡すれば即現金化することもできる。

 


- FYI -
(参考までに)

 



「相続分の譲渡方法」


相続分の譲渡に決まった手続き方法はありません。
 
 
 
互いの合意があれば口約束だけでも成立しますが、
 
トラブル防止のため通常は「書面」にて譲渡を行います。
 
 
 
手順としては以下2つです。

 

「相続分譲渡証明書」を作成し、譲渡を行う

 

必ず遺産分割成立「前」に作成し、譲渡すること。

ひな形を使って作成してもOK。

調停にて遺産分割を進める場合は、家庭裁判所へ問い合わせしましょう。

 

「相続分譲渡通知書」を作成し、送付する

 

ほかの相続人へ譲渡した旨を書面で知らせます。

必ず遺産分割成立「前」に作成し、通知すること。

ひな形を使って作成してもOK。

「内容証明郵便」での送付がおすすめです。

 

Demerit

★・相続分の譲渡「デメリット」・★

 

借金からは逃げられない。

譲渡された第三者は、必ず遺産分割協議に参加しなければいけない。

第三者が参加した場合、相続が荒れる可能性が高い。

プラス財産だけを譲渡することはできない。(借金も同じ割合で譲渡される。)

 


ー Caution ー
(注意点)

 

「借金の返済義務」

 

相続分の譲渡はあくまで「取り分」のやり取り。

譲渡したとしても、地位は「相続人」のままです。

 

債権者には、相続人に請求する権利があります。

「相続分を譲渡した」という理由では、支払いの義務を消すことはできません。

 

請求された場合は応じなければいけない点に注意しましょう。

 

「全くの第三者が絡む遺産分割協議」

 

親族と全く関係のない赤の他人であっても、譲渡を受けた場合は遺産分割協議に参加しなければいけません。

第三者が交じった話し合いはトラブルになりがちであり、難航する可能性大。

 

なお、第三者を省いた遺産分割協議は「無効」となります。

 

「相続分の取戻権」

 

ほかの相続人には、第三者から相続分を取り戻せる権利があります。

この権利が使われた場合、第三者は拒否することができません。

 

第三者への譲渡には、取り戻されるリスクがあることを覚えておきましょう。

 


「相続放棄との違い」と「相続分の放棄」

 

最後に、「相続分の譲渡」とよく似た2つの相続方法について簡単に解説します。

譲渡を検討中の人も、もしかしたら別の選択肢の方が合っているかもしれません。

 

主な内容をざっくりまとめましたので、チェックしてみましょう。

 

No.①

★・「相続放棄との違い」・★

 

相続から離脱する方法として、「相続放棄」も挙げられます。

「相続分の譲渡」「相続放棄」、どちらを選ぶべきでしょうか?

 

主な違いは以下のとおり。

それぞれをよく理解し、判断してみましょう。

 

  相続分の譲渡 相続放棄
借金の支払い義務 残る 消える
手続き 当事者のみで完結 家庭裁判所へ申立て
期限 遺産分割成立前まで 相続を知った日から3ヶ月以内
後順位の相続人への影響 なし あり
選択の自由

渡す相手や割合を選べる

×

全財産放棄

 

同じ順位の相続人が「全員相続放棄」をした場合、次の順位の相続人へ相続権が移ります。

 (借金などの負債も移行)

 


「相続分の譲渡」が向いているケース

 

親族と不仲であり、関わりたくない。

相続そのものが面倒。早めに離脱したい。

不動産より現金がほしい。

相続分を譲り、多く継がせたい人がいる。

故人に借金がなく、負担の心配がない。

 

「相続放棄」が向いているケース

 

故人に借金があり、絶対に負担したくない。

最初から遺産を受け取るつもりがない。

後順位の相続人へ相続権が移っても、問題ない。

 

No.②

★・もう一つの選択肢「相続分の放棄」・★

 

「相続分の放棄」とは、「相続人としての地位を保ちつつ、遺産を相続しない」という相続方法。

 

あまり馴染みのない相続形式ですが、「相続分を譲渡したい人がいない」場合などにおすすめです。

 

  相続分の放棄
借金の支払い義務 残る
手続き

遺産分割協議で放棄の意思表示をし、

ほかの相続人の合意を得る

期限 遺産分割成立前まで
後順位の相続人への影響 なし
選択の自由

×

放棄した相続分は残りの相続人へ再配分

  相続分の譲渡 相続放棄
借金の支払い義務 残る 消える
手続き 当事者のみで完結 家庭裁判所へ申立て
期限 遺産分割成立前まで 相続を知った日から3ヶ月以内
後順位の相続人への影響 なし あり
選択の自由

渡す相手や割合を選べる

×

全財産放棄

 

同じ順位の相続人が「全員相続放棄」をした場合、次の順位の相続人へ相続権が移ります。

 (借金などの負債も移行)

 



- Merit 

 

家庭裁判所での手続きなどが不要なため、手軽に実行できる。

決められた期限がない。

 

- Demerit 

 

借金からは逃げられない。

ほかの相続人の合意が必要であり、一人で完結できない。

 



Caution



放棄する旨を伝えるため、
一度は遺産分割協議に参加しなければいけない。
 


放棄した相続分には一切関与できない。
(ほかの相続人へ自動的に再配分)

 

「相続分の放棄」が向いているケース①

(以下「すべてを満たす」場合におすすめです。)

 

借金がない、または少額。

遺産を相続する気がない。

相続分を渡したい人がいない。

 

「相続分の放棄」が向いているケース②

(以下「すべてを満たす」場合におすすめです。)

 

借金がある。

遺産を相続する気がない。

相続分を渡したい人がいない。

相続放棄することで、後順位の相続人へ借金を流したくない。

 

 
【最後に】この記事のまとめ

  • 相続分の譲渡でかかる税金は、「譲渡する相手」と「対価の有無」で決まる。


    Case.①「ほかの相続人」へ「無償」で譲渡

    【譲渡した人】:課税なし
    【譲渡された相続人】:相続税

    Case.②
    「ほかの相続人」へ「有償」で譲渡

    【譲渡した人】:相続税
    【譲渡された相続人】:相続税

    Case.③
    「相続人以外の人」へ「無償」で譲渡

    【譲渡した人】:相続税
    【譲渡された人】:贈与税

    Case.④
    「相続人以外の人」へ「有償」で譲渡

    【譲渡した人】:相続税(+譲渡所得税)
    【譲渡された人】:原則なし(贈与税)

     
  • 相続分の譲渡をしても、「非課税の範囲内」であれば税金はかからない。
  • 相続分の譲渡は「自由度が高め」だが、「借金」や「トラブル」には要注意。
  • 借金を絶対に背負いたくなければ、「相続放棄一択」。

 

相続分の譲渡は、やり方次第でかかる税金が変わってきます。

どんな税金が課税されるのか事前に把握しておけば、申告や納税も忘れずに行うことができ安心です。

 

また納税面の他、借金がある場合は要注意。

相続分の譲渡をすれば、借金も一緒に相手に渡ります。

譲った本人も法的な支払い義務からは逃げられないため、よく理解した上で譲渡を行いましょう。

 

「相続分の譲渡をすべきか揺らいでいる。」

「他にどんな方法があるのか知りたい。」

「使える特例などは余さず使って、お得に完結させたい。」

 

理想的な相続を達成したいなら、やはり専門家の力を借りてしまうのが近道。

 

相続は期限付きです。

個人対策も不可能ではありますが、時間と労力を要します。

いかに効率よく確実に対策できるかで、満足度に差が出てくるでしょう。

 

相談を検討するなら、「相続専門の税理士」へ。

まずは無料相談を利用し、信頼できそうな相手だと思ったら依頼してみて下さい。

 

 

相談先がなかなか見つからずお困りの方やお急ぎの方。

そんな方は是非一度、お気軽にご相談ください。

 

 

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