新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために【相続専門税理士が解説】

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超/税務調査率1%未満。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
事務所所在地:東京都新宿区西新宿7-19-5 KYS西新宿ビル1F(西新宿駅 徒歩2分)

公開日:2026年8月11日 最終更新日:2026年8月11日


【結論】新宿区は、東京のなかでも土地評価が難しい街です

東京都の相続税の課税割合は20.0%。全国平均10.4%のおよそ2倍で、都道府県別で最も高い水準です(令和6年分)。東京23区内に限れば20.3%——5人に1人が相続税の申告対象という計算になります(令和5年分)。

そのなかでも新宿区は、土地の評価が特に難しい区です。理由は、ひとつの区のなかに性格の違う土地が同居しているからです。

西新宿・歌舞伎町・新宿三丁目のような日本有数の商業地。落合・下落合・中井のような起伏のある住宅地。神楽坂・市谷・若松町のような坂と細い路地の街。そして戦前から続く借地。これらはすべて評価の方法が違います。

ポイント内容
東京都の課税割合20.0%(全国10.4%の約2倍/令和6年分・都道府県別で最高)
東京23区内20.3%(令和5年分)。千代田区48.4%、渋谷区36.5%など
新宿区の特徴商業地・住宅地・坂の街・借地が同居。区内で評価方法がまったく違う
最大の論点土地の評価。同じ土地でも評価の仕方で数百万円〜数千万円の差が出る
申告先新宿税務署 または 四谷税務署(住所によって分かれます)
申告期限相続開始を知った日の翌日から10か月以内
相談の目安相続発生から4か月以内。申告期限直前では打てる手が限られます

新宿区で相続税がかかる人はどのくらい?

国税庁が令和7年12月に公表した最新の統計では、相続税の課税割合は次のとおりです。

課税割合
全国10.4%(令和6年分・昭和42年分以降で過去最高)
東京都20.0%(令和6年分・都道府県別で最高)
東京23区内20.3%(令和5年分)

参考までに、令和5年分の区別データでは千代田区48.4%、渋谷区36.5%、杉並区32.2%、世田谷区31.4%、目黒区30.9%、文京区30.9%と、都心および山手の住宅地では3割を超える区が並びます

新宿区は都心3区(千代田・中央・港)ほどではないものの、東京23区の平均である20.3%前後の水準にあると考えられます。おおよそ5人に1人が相続税の申告対象、という規模感です。

「うちは資産家ではないから相続税は関係ない」——新宿区でこう考えている方は少なくありません。
しかし自宅の土地だけで基礎控除を超えるケースは、当センターへのご相談でも非常に多いのが実情です。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。相続人が3人でも4,800万円です。
新宿区の路線価を考えれば、決して大きな枠ではありません。

出典:国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要東京国税局 令和6年分 相続税の申告事績の概要(PDF)


新宿区の土地評価が難しい4つの理由

ここが本記事の核心です。新宿区は、ひとつの区のなかで評価の考え方が大きく変わります。

理由1:商業地と住宅地の路線価が桁違いに離れている

新宿区には、西新宿・歌舞伎町・新宿三丁目という日本有数の商業地があります。一方で、落合・中井・下落合には静かな住宅地が広がっています。

同じ新宿区内でも、路線価は数倍から十数倍の開きがあります。

商業地の土地は路線価が高いぶん、評価の補正が効いたときの減額幅も大きくなります。
たとえば奥行きが極端に長い土地、間口が狭い土地、角地でない土地——こうした条件の一つひとつが、
高い路線価に掛かる補正率として効いてきます。単価が高い土地ほど、補正の有無が金額に跳ね返ります。

理由2:起伏が多く、がけ地補正が使える土地がある

新宿区は「山の手」と呼ばれる武蔵野台地の縁にあたり、区内に多くの坂があります

神楽坂・市谷・若松町のエリア、そして神田川・妙正寺川沿いの落合・中井・下落合エリアには、
明確な高低差のある土地が数多く存在します。

傾斜地や崖地を含む土地は「がけ地補正」によって評価額を下げられます。
傾斜の方位と面積の割合によって補正率が決まります。

この補正は、現地を見ない税理士が最も見落とす項目です。
図面や航空写真では平坦に見えても、実際に立ってみると明確な段差があることは珍しくありません。
現地を確認しないまま評価すると、減額の機会をそのまま失います。

石積みの擁壁と階段が続く東京の坂道。新宿区は坂が多く、がけ地補正の対象になる土地がある
新宿区は坂の多い街です。図面では平坦に見えても、現地に立つと明確な高低差があることが少なくありません。

理由3:戦前からの借地が今も残っている

新宿区は、借地権が絡む土地が多い地域です。戦前から続く借地関係が今も残っており、
「建物は自分名義だが土地は借りている」というケースが少なくありません。

借地権は相続財産です。しかし、

  • 契約書が残っていない
  • 地主が代替わりしていて連絡がつかない
  • 使用貸借(無償)なのか賃貸借なのかが曖昧

といった事情で、評価の前提を確定させるのに時間がかかることがあります。
逆に、土地を貸している側(底地)の場合は、借地権割合の分だけ評価額が下がります。

理由4:狭い道路(2項道路)と私道が多い

新宿区の住宅地には、幅4m未満の道路が今も数多く残っています。

こうした道路に接する土地は、建て替え時に道路の中心線から2m後退(セットバック)する必要があり、
将来道路になる部分は評価額を70%減額できます。

また、敷地の一部が私道になっているケースも頻出します。
不特定多数が通行する私道は評価額ゼロ、特定の人だけが使う私道は30%評価です。


見落とされやすい減額要因のまとめ

減額要因内容新宿区での該当しやすさ
不整形地・間口狭小変形地、旗竿地、間口が狭い土地高(古い区画が多い)
セットバック幅4m未満の道路に接する土地。後退部分を70%減額高(2項道路が多い)
私道通り抜け私道は評価ゼロ、行き止まり私道は30%評価
がけ地補正傾斜地・崖地を含む土地中〜高(坂の街)
借地権・貸家建付地借りている/貸している土地高(戦前からの借地が残る)
地積規模の大きな宅地三大都市圏では500㎡以上中(区内に大きな敷地も残る)
小規模宅地等の特例自宅の土地を330㎡まで80%減額最重要
マンションの評価見直し2024年1月以降、市場価格との乖離が大きい物件は評価額が上昇中〜高(マンション比率が高い)

小規模宅地等の特例は、使えるかどうかで結論が変わります

自宅の土地について、330㎡まで評価額を80%減額できる制度です。
1億円の土地が2,000万円として評価されるため、相続税への影響は絶大です。

新宿区では、この特例が使えるかどうかで「申告が必要かどうか」すら変わります。

配偶者が相続する場合子が相続する場合
適用要件無条件で適用可(同居も継続保有も不要)同居している、または「家なき子」の要件を満たす必要あり

ここが実務で最も見落とされやすい落とし穴です。
お子様がすでに持ち家をお持ちの場合、実家を相続しても小規模宅地等の特例は使えません。
「子に自宅を渡そう」という判断が、かえって不利になることがあります。
相続人の住居の状況まで含めて検討する必要があります。

さらに重要な点として、この特例を使って税額がゼロになる場合でも、申告は必要です。
「税額ゼロだから申告不要」と考えて申告しないと、特例が適用されず後から課税されます。
これは非常に多い誤解です。


土地の評価額は、税理士によって差が出ます

相続税の申告のうち、預貯金や上場株式の評価に差は出ません。金額が確定しているからです。

差が出るのは土地です。土地の評価は、

  • 現地を確認したか
  • 役所で法規制(道路の種別、用途地域、高度地区など)を調査したか
  • 適用できる補正を漏れなく検討したか

によって結果が変わります。そしてこれらは、やらなくても申告書は完成してしまいます。

税務署は「払いすぎです」とは教えてくれません。過大に申告しても、そのまま受理されます。

新宿区の土地は、減額要因が重なりやすいという特徴があります。
「間口が狭い」「2項道路に接している」「敷地の一部が私道」「傾斜がある」——
これらが複合すると、適正に評価した場合とそうでない場合の差は数百万円規模になります。

すでに申告を終えた方でも、申告期限から5年以内であれば「更正の請求」で還付を受けられる可能性があります。
土地の評価に不安がある方は、セカンドオピニオンとしてご相談ください。


新宿区の相続税は、どちらの税務署に申告するのか

新宿区は、新宿税務署と四谷税務署の2つに分かれています。 住所によって管轄が違うため注意が必要です。

税務署管轄のめやす
四谷税務署新宿区のうち四谷・牛込地区。神楽坂、市谷各町、若松町、早稲田各町、信濃町、四谷、大京町、住吉町、余丁町、戸山、内藤町、新宿1〜5丁目(一部) など
新宿税務署上記以外の新宿区。西新宿、北新宿、大久保、百人町、高田馬場、歌舞伎町(一部)、下落合、中落合、上落合、西落合、中井 など

新宿税務署 〒169-8561 東京都新宿区新宿1-19-3 電話 03-6757-7776
(副都心線「新宿三丁目駅」から徒歩約8分)

⚠️ 相続税の申告書は「被相続人(亡くなった方)の住所地」を管轄する税務署に提出します。
相続人の住所ではありません。同じ新宿区内でも町名によって提出先が変わるため、必ずご確認ください。
国税庁 税務署の所在地・管轄区域(東京国税局)


新宿区での相続手続きと期限

手続き窓口期限
死亡届の提出新宿区役所 戸籍住民課/特別出張所死亡を知った日から7日以内
世帯主変更届同上14日以内
国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失同上14日以内
介護保険資格喪失同上14日以内
相続放棄東京家庭裁判所3か月以内
準確定申告新宿税務署/四谷税務署4か月以内
相続税の申告・納付新宿税務署/四谷税務署10か月以内
相続登記東京法務局 新宿出張所取得を知った日から3年以内(義務)

相続登記は2024年4月1日から義務化されました。
不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。
施行前に発生した相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。
先代名義のまま放置されている不動産がある方は、お早めにご相談ください。

また、戸籍謄本は2024年3月から本籍地以外の市区町村でも取得できるようになりました(広域交付制度)。
新宿区役所でまとめて請求できるため、以前よりはるかに手間が減っています。


ご相談いただくタイミング

タイミングやるべきこと
相続発生前(ご存命のうち)路線価を確認し、相続税がかかるか概算する。かかるなら二次相続まで見据えた対策を検討
相続発生〜3か月相続人と財産の確定。相続放棄の判断期限(3か月)に注意
相続発生〜4か月ここまでにご相談いただくのが理想。土地評価とシミュレーションに時間が必要です
相続発生〜10か月遺産分割協議の成立と相続税の申告・納付
申告後〜5年土地評価に不安があれば更正の請求で還付を受けられる可能性

最も多いご相談は「申告期限の2か月前」です。 しかしこの時期からでは、
現地確認・役所調査・二次相続シミュレーションを尽くす時間が足りません。

新宿区のように土地の評価が税額を左右する地域では、早くご相談いただくほど結果が変わります。


当センターについて

新宿相続・生前贈与相談センター(税理士法人Ambitious)は、西新宿駅から徒歩2分にあります。

大手税理士法人の「新宿支店」ではなく、新宿に本拠を置き、新宿で実務をしている事務所です。
区内の地形、道路の状況、区役所や税務署の窓口の実際を、日々の仕事のなかで把握しています。

代表天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/東京税理士会)
実績相続・事業承継の相談実績3,000件超
発信YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)
対応相続税申告/生前対策/終活・身元保証・死後事務・喪主代行/相続セカンドオピニオン
体制専任コンシェルジュが窓口を一本化。登記は提携司法書士、紛争性のある案件は提携弁護士をご紹介します
受付平日・土曜・日祝も対応。オンライン面談・出張面談可

ご相談の前に、どんな税理士かを動画でご確認いただけます。
YouTubeで毎日、相続の疑問にお答えしています。文章では伝わりにくい部分も、
表情や声色まで含めてご覧いただけます。
まるごと安全相続ch-あまおう税理士


よくある質問

Q1. 新宿区に自宅があるだけで相続税はかかりますか?

A. 土地の面積と路線価によります。 目安として、路線価×面積が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)を超えるかどうかで判断します。相続人が3人なら基礎控除は4,800万円です。新宿区の住宅地では、100㎡に満たない土地でもこれを超えるケースがあります。
ただし小規模宅地等の特例が使えれば自宅の土地は330㎡まで評価額が80%減額されるため、特例の適用を前提にすると相続税がかからない場合もあります。

Q2. 新宿区の相続税は、新宿税務署と四谷税務署のどちらに申告しますか?

A. 被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する税務署です。新宿区は四谷・牛込地区が四谷税務署、それ以外(西新宿・大久保・高田馬場・落合など)が新宿税務署の管轄です。相続人の住所ではなく、亡くなった方の住所で決まる点にご注意ください。

Q3. 借地に建っている家を相続します。相続税はどうなりますか?

A. 借地権は相続財産として評価の対象になります。 借地権の価額は「土地の評価額×借地権割合」で計算し、借地権割合は路線価図に記号(A〜G)で記載されています。
ただし新宿区では戦前からの借地が残っており、契約書がない、地主が代替わりしているといった事情で前提の確認に時間がかかることがあります。早めに着手されることをお勧めします。

Q4. 新宿区のマンションを相続します。評価はどうなりますか?

A. マンションの相続税評価は、建物部分(固定資産税評価額)と土地部分(敷地全体の評価額×持分割合)を合算して計算します。
なお2024年1月以降に相続したマンションについては評価方法が見直され、市場価格との乖離が大きい物件は評価額が上がる仕組みになりました。都心の高層マンションをお持ちの方は、以前の想定と税額が変わっている可能性があります。

Q5. 相続税がかからなくても申告は必要ですか?

A. 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使った結果、税額がゼロになる場合は申告が必要です。これらの特例は「申告することが適用の条件」だからです。申告しなければ特例は適用されず、後から課税されます。一方、特例を使わずに基礎控除以下であれば申告は不要です。

Q6. 大手税理士法人の新宿支店と、地元の事務所ではどう違いますか?

A. 制度上の違いはありません。ただし土地の評価では現地確認と役所調査が結果を左右します
図面だけで評価すると、がけ地補正や私道の評価といった現地でしか分からない減額要因を見落とすリスクがあります。区内の地形と行政の実務を把握している事務所を選ぶことをお勧めします。

Q7. すでに他の税理士に申告を依頼して納税も済んでいます。今からできることはありますか?

A. 申告期限から5年以内であれば「更正の請求」により還付を受けられる可能性があります。
特に土地の評価に減額要因(不整形・間口狭小・私道・セットバック・がけ地・借地権など)があった場合、見直しによって税額が下がるケースがあります。当センターでは相続税申告のセカンドオピニオンを承っています。


まとめ

  • 東京都の相続税の課税割合は20.0%(全国10.4%の約2倍)。東京23区内は20.3%
  • 新宿区は商業地・住宅地・坂の街・借地が同居する、土地評価が特に難しい区
  • 見落とされやすい減額要因は不整形地・セットバック・私道・がけ地・借地権・地積規模
  • 小規模宅地等の特例が使えるかどうかで結論が変わる。相続人の住居状況まで要確認
  • 申告先は新宿税務署か四谷税務署。被相続人の住所で決まる
  • 相続登記は2024年4月から義務化。施行前の相続は2027年3月31日が期限
  • ご相談は相続発生から4か月以内が理想。申告期限直前では打てる手が限られる
  • すでに申告済みでも、5年以内なら更正の請求で還付を受けられる可能性がある

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監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
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