杉並区の相続税|杉並税務署と荻窪税務署、どちらに出すかで決まります

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年9月20日 最終更新日:2026年9月20日


【結論】まず、どちらの税務署の管轄かを確かめてください

杉並区の相続税の申告先は、2つに分かれます。

杉並税務署(阿佐谷、高円寺地区)
荻窪税務署(荻窪地区)

「杉並区だから杉並税務署」ではありません。
荻窪・西荻・上井草・久我山・善福寺などにお住まいだった方は、荻窪税務署です。

そして、間違えた税務署に提出しても、期限内に出したことにはなりません。

まず、亡くなった方の住所がどちらの署の管轄かを確認してください。
相続人の住所ではありません。

杉並区の相続で押さえる点内容
申告先杉並税務署/荻窪税務署の2署
郵送の宛先どちらも大手町業務センターです
土地の特徴戸建てが多く、敷地が広めの区画も残っています
効かせる論点地積規模の大きな宅地/小規模宅地等の特例/私道・セットバック

2つの税務署と、管轄する町

杉並区の2つの税務署の管轄を示した図。杉並税務署は阿佐谷・高円寺地区で、阿佐谷、高円寺、和泉、永福、大宮、上高井戸、下高井戸、高井戸西・東、成田西・東、浜田山、方南、堀ノ内。荻窪税務署は荻窪地区で、天沼、井草、今川、荻窪、上荻、上井草、下井草、久我山、清水、松庵、善福寺、西荻、宮前、桃井。高井戸は杉並、井草は荻窪

国税庁の一覧から、そのまま引用します。

杉並税務署(阿佐谷、高円寺地区)

〒166-8501 東京都杉並区成田東4丁目15番8号
電話番号:03-3313-1131(自動音声でご案内されます)

よみ管轄地域
阿佐谷北1〜6丁目、阿佐谷南1〜3丁目、和泉1〜4丁目、梅里1・2丁目、永福1〜4丁目、大宮1・2丁目
上高井戸1〜3丁目、高円寺北1〜4丁目、高円寺南1〜5丁目
下高井戸1〜5丁目
高井戸西1〜3丁目、高井戸東1〜4丁目
成田西1〜4丁目、成田東1〜5丁目
浜田山1〜4丁目、方南1・2丁目、堀ノ内1〜3丁目
松ノ木1〜3丁目
和田1〜3丁目

南阿佐ケ谷駅から徒歩圏です。

荻窪税務署(荻窪地区)

〒167-8506 東京都杉並区荻窪5丁目15番13号
電話番号:03-3392-1111(自動音声でご案内されます)

よみ管轄地域
天沼1〜3丁目、井草1〜5丁目、今川1〜4丁目、荻窪1〜5丁目
上井草1〜4丁目、上荻1〜4丁目、久我山1〜5丁目
清水1〜3丁目、下井草1〜5丁目、松庵1〜3丁目、善福寺1〜4丁目
西荻北1〜5丁目、西荻南1〜4丁目
本天沼1〜3丁目
南荻窪1〜4丁目、宮前1〜5丁目、桃井1〜4丁目

荻窪駅の西口から徒歩圏です。

間違えやすいところ

「高井戸」と「井草」で、署が分かれます。

町名管轄
高井戸西・高井戸東・上高井戸・下高井戸杉並税務署
井草・上井草・下井草荻窪税務署

「井草」が付くと荻窪、「高井戸」が付くと杉並です。
似た町名が多い区なので、必ず一覧で確認してください。

郵送の宛先は、どちらも大手町です

令和5年7月10日以降、郵送先は税務署ではありません。

〒100-8156 千代田区大手町1丁目3番3号 大手町合同庁舎3号館
東京国税局大手町業務センター(杉並税務署/荻窪税務署)

提出の方法宛先
郵送大手町業務センター(カッコ内に管轄の税務署名を書きます)
窓口に持参杉並税務署(成田東)または荻窪税務署(荻窪)
e-Tax電子送信

郵送でも、カッコ内に書く税務署名は間違えないでください。

相続税はどこの税務署に申告する?提出先の調べ方と、東京23区の管轄


相続税がかかる人は、全国の2倍います

課税割合
全国10.4%(令和6年分・昭和42年分以降で過去最高)
東京都20.0%(令和6年分・都道府県別で最高)
東京23区内20.3%(令和5年分)

杉並区単独の数字は公表されていませんが、23区の中でも戸建て住宅の比率が高い区です。

基礎控除は次のとおりです。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続人が配偶者と子2人なら4,800万円

杉並区で戸建てをお持ちなら、土地だけで超えることは珍しくありません。

相続税はいくらから?基礎控除の計算と申告が必要なケース


杉並区の土地で、効いてくる論点

杉並区は、中央線・井の頭線沿いに戸建て住宅が広がる区です。
渋谷区のようなマンション中心の区とも、世田谷区のような大邸宅の区とも、性格が違います。

① 地積規模の大きな宅地の評価

三大都市圏では、500㎡以上の宅地で使える可能性があります。

区域面積の基準
三大都市圏(東京23区を含みます)500㎡以上
それ以外1,000㎡以上

杉並区には、善福寺・上井草・久我山・浜田山といったエリアに、
古くからの広い敷地が残っています。

ただし、面積だけでは判定できません。

使えないことがある場合理由
市街化調整区域原則として対象外です
工業専用地域対象外です
容積率が高い地域東京23区では300%以上だと対象外です
大規模工場用地対象外です

杉並区の住宅地の多くは容積率が低いため、面積を満たせば使える可能性があります。
ただし、駅前の商業地では容積率で外れることがあります。

地積規模の大きな宅地の評価|500㎡以上でも、新宿区では使えないことがあります

② 小規模宅地等の特例の限度面積を超えやすい

自宅の敷地は、330㎡までが80%減額の対象です。

敷地減額の対象
200㎡全部が対象です
330㎡全部が対象です
500㎡330㎡までが対象。残り170㎡は減額なしです

杉並区の古い区画では、330㎡を超えることがあります。

そして、超えた部分をどう分けるかが問題になります。
分け方次第で、相続税の総額が変わります。

小規模宅地等の特例とは?330㎡まで80%減額の条件

③ 私道とセットバック

杉並区は、細い道が多い区です。

状況評価
行き止まりの私道(特定の人だけが通る)30%で評価します
通り抜けできる私道(不特定多数が通る)評価しません(0円)
セットバックが必要な土地後退部分は70%減額します

この3つは、見落とされやすい減額です。

とくにセットバックは、現地と役所で調べないと分かりません。
道路の幅が4m未満(いわゆる2項道路)なら、必ず確認してください。

杉並区は、2項道路が非常に多い区です。

セットバックが必要な土地の相続税評価|70%減額の計算と2項道路の調べ方

④ 不整形地・旗竿地

古い区画を分割してきた結果、細長い土地や旗竿地が多く残っています。

形状評価への影響
不整形(三角・L字など)不整形地補正率で下がります
旗竿地(細い通路で接する)同じく下がります
間口が狭い間口狭小補正率
奥行きが長い奥行長大補正率

これらは、測量図と現地を見て初めて判断できます。
路線価に面積を掛けるだけの計算では、一切反映されません。

不整形地の相続税評価|使いにくい土地は、その分だけ安くなります


手続きと期限

期限やること
3か月相続放棄・限定承認(家庭裁判所)
4か月準確定申告(亡くなった方の所得税)
10か月相続税の申告と納付
3年以内相続登記(2024年4月1日から義務化)

10か月は、思っているより短いです。

杉並区で戸建てをお持ちの場合、次の作業が入ります。

  • 全部事項証明書・固定資産評価証明書・公図・測量図の取得
  • 道路の幅員の確認(杉並区の道路課などへ)
  • 私道の持分・共有関係の確認
  • 路線価と各種補正率の確認
  • 地積規模の大きな宅地の判定(容積率の確認
  • 小規模宅地等の特例の要件の確認
  • 遺産分割協議

役所での調査が必要な区です。相続開始から3か月以内のご相談をおすすめします。

相続手続きの流れ|期限一覧と誰に頼むかの判断


杉並区で、ご相談の多いケース

ケース1 敷地120㎡の戸建てと預金

最も多いパターンです。

面積は小さくても、小規模宅地等の特例で大きく下がります。
ただし、特例を使って0円になる場合でも、申告は必要です。

ケース2 敷地350㎡の古い戸建て

330㎡を超えるため、超過部分の分け方が論点になります。
また、セットバックや私道が絡むことが多いエリアです。

ケース3 敷地550㎡(善福寺・久我山など)

地積規模の大きな宅地の評価が使える可能性があります。
容積率と用途地域を確認してください。

ケース4 旗竿地・間口が狭い土地

不整形地補正・間口狭小補正・奥行長大補正が重なることがあります。
現地を見ない評価では、確実に高く出ます。

ケース5 実家が空き家になっている

住まなくなった実家は、小規模宅地等の特例の要件を満たしにくくなります。
そして、売るなら「相続した空き家の3,000万円特別控除」の検討が入ります。

東京の空き家を相続したら|税金・管理・売却の判断


新宿区・中野区・世田谷区との違い

税務署中心になる論点
杉並区2署(杉並・荻窪)中規模の戸建て、私道・セットバック、2項道路
新宿区2署(新宿・四谷)土地評価の難しさ、狭小地、商業地
中野区1署狭い区画、木造密集地、旗竿地
世田谷区3署(世田谷・北沢・玉川)広い敷地、地積規模の大きな宅地
渋谷区1署マンション評価の改正、高い単価

杉並区は、中野区と世田谷区の中間のような性格です。

中野区ほど区画が小さくはなく、世田谷区ほど広くもない。
そのぶん、「330㎡を少し超える」「500㎡に少し足りない」という境界線上の判断が多くなります。

この境界線の判断が、そのまま税額の差になります。

中野区の相続税|狭い区画と木造密集地が、評価を難しくします
世田谷区の相続税|税務署が3つに分かれます
新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために


【杉並区にお住まいの方へ】

当センターは、新宿区西新宿にあります。

杉並区から所要時間
荻窪・阿佐ケ谷・高円寺JR中央線で新宿駅まで10〜15分
西荻窪同じく中央線で約15分
永福町・浜田山・久我山京王井の頭線で明大前乗り換え、または新宿へ
方南町・和泉東京メトロ丸ノ内線で西新宿駅まで直通です

丸ノ内線方南町支線をお使いの方は、乗り換えなしで西新宿駅まで来られます。

当センターは相続税の申告と生前対策だけを扱っています。
そして、土地の評価による報酬の加算は設けていません。

杉並区の土地は、私道・セットバック・不整形が重なることが多く、評価に手間がかかります。
「土地が広いから加算」「筆数が多いから加算」という料金体系では、杉並区の物件は割高になります。

オンライン(Zoom)での面談にも対応していますので、杉並区からお越しいただかなくても進められます。

〒160-0023 東京都新宿区西新宿7丁目19-5 KYS西新宿ビル1階
東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅から徒歩約5分/各線「新宿」駅から徒歩10分
📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/土日祝も受付)
💻 24時間WEB相談予約はこちら

相続税申告の料金表はこちら / 事務所概要・アクセス


杉並区役所の窓口

税務署とは別に、区役所で必要な手続きもあります。

手続き窓口
死亡届・火葬許可杉並区役所 区民課
住民票の除票・戸籍謄本同上
道路の幅員・2項道路の確認杉並区の道路管理の担当課
固定資産税の評価証明東京23区は都税事務所です(区役所ではありません)
国民健康保険・後期高齢者医療区役所の担当課

23区で不動産の評価証明を取るのは、区役所ではなく都税事務所です。
杉並区の場合は、杉並都税事務所が窓口になります。

道路の幅員は、相続税の評価に直結します。
セットバックの有無を必ず確認してください。

最新の窓口と受付時間は、杉並区・都税事務所の公式サイトでご確認ください。

新宿区で相続の相談ができる窓口|区の相談室・税理士会・専門家の使い分け


よくある質問

Q1. 杉並区の相続税は、どこの税務署に申告しますか

2つに分かれます。 阿佐谷・高円寺地区は杉並税務署(成田東4-15-8/03-3313-1131)、
荻窪地区は荻窪税務署(荻窪5-15-13/03-3392-1111)です。

Q2. 「高井戸」と「井草」で管轄が違うと聞きました

違います。 高井戸西・高井戸東・上高井戸・下高井戸は杉並税務署
井草・上井草・下井草は荻窪税務署です。

Q3. 郵送はどこに送りますか

どちらの管轄でも、大手町業務センターです。
〒100-8156 千代田区大手町1丁目3番3号 大手町合同庁舎3号館 東京国税局大手町業務センター(管轄の税務署名)。

Q4. 間違えた税務署に出したらどうなりますか

期限内に提出したことになりません。 転送されないと、期限後申告として加算税・延滞税の対象になり得ます。
提出前に必ず管轄を確認してください。

Q5. 敷地が500㎡あります。減額できますか

地積規模の大きな宅地の評価が使える可能性があります。
ただし、容積率300%以上(東京23区)や市街化調整区域などは対象外です。

Q6. 敷地が350㎡です。小規模宅地等の特例はどうなりますか

330㎡までが80%減額の対象で、残り20㎡は減額されません。
超過部分を誰が取得するかで、税額が変わります。

Q7. 家の前の道が狭いです

セットバックが必要な土地は、後退部分を70%減額します。
道路の幅が4m未満なら、必ず区の窓口で確認してください。

Q8. 私道の持分があります

行き止まりの私道は30%評価、通り抜けできる私道は評価しません(0円)。
持分を見落とすと、逆に過大な評価になることがあります。

Q9. 旗竿地です。評価は下がりますか

下がる可能性があります。 不整形地補正・間口狭小補正・奥行長大補正を検討します。
測量図と現地の確認が必要です。

Q10. いつ相談すればいいですか

相続開始から3か月以内をおすすめします。杉並区は役所での道路調査が必要なためです。
生前対策なら、いつでも早いほうが選べる手が多くなります。


まとめ

  • 杉並区の申告先は杉並税務署(阿佐谷・高円寺地区)と荻窪税務署(荻窪地区)の2署
  • 「高井戸」は杉並、「井草」は荻窪。似た町名が多いので一覧で確認してください
  • 郵送はどちらも大手町業務センター宛てです
  • 東京都の課税割合は20.0%。全国(10.4%)の約2倍です
  • 地積規模の大きな宅地は三大都市圏なので500㎡以上。ただし容積率300%以上は対象外
  • 小規模宅地等の特例は330㎡まで。超過部分の分け方が税額を変えます
  • 私道は30%または0円、セットバックは70%減額
  • 杉並区は2項道路が非常に多いため、道路の幅員の確認が欠かせません
  • 不整形地・旗竿地の補正は、現地と測量図を見て初めて判断できます
  • 期限は10か月。役所調査に時間がかかるため、3か月以内のご相談をおすすめします

監修者

天尾 信之(あまお のぶゆき)
税理士/東京税理士会 登録番号 第136528号
税理士法人Ambitious 代表社員

相続・事業承継の相談実績3,000件超。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」(登録者4.2万人)で、相続の実務を発信しています。


出典

  • 国税庁「税務署所在地・案内(東京都世田谷区・杉並区)」

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/location/besshi/setagaya-suginami.htm

  • 国税庁「税務署所在地・案内(東京都)」

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/location/tokyo.htm

  • 国税庁タックスアンサー No.4609「地積規模の大きな宅地の評価」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4609.htm

  • 国税庁タックスアンサー No.4124「小規模宅地等の特例」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm


menu