相続税はいくらから?基礎控除の計算と申告が必要なケース

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超/税務調査率1%未満。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年8月9日 最終更新日:2026年8月15日


【結論】相続税は、遺産総額が基礎控除額を超えたときにかかります

相続税がかかるのは、遺産総額が基礎控除額を超えた場合だけです。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。

たとえば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人であれば、基礎控除額は 3,000万円+600万円×3人=4,800万円 です。遺産総額がこの金額以下であれば、相続税はかからず、申告も原則として不要です。

ただし例外があります。 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額が0円になる場合は、0円でも申告が必要です。申告しなければ特例そのものが適用されません。

ポイント内容
基礎控除額3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続人が1人3,600万円まで非課税
相続人が2人4,200万円まで非課税
相続人が3人4,800万円まで非課税
相続人が4人5,400万円まで非課税
申告期限相続開始を知った日の翌日から10か月以内
税額0円でも申告が必要な場合配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を使ったとき
全国の課税割合10.4%(令和6年分・昭和42年分以降で過去最高)
東京都の課税割合20.0%(全国のおよそ2倍・都道府県別で最高)

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あなたの家は対象?遺産がいくらなら相続税はかからない?
法定相続人の数え方から基礎控除の計算、遺産に含めるものまで順を追って解説しています。
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相続税の基礎控除はいくら?

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。 これは相続税法で定められた計算式で、財産の種類や地域によって変わることはありません。

法定相続人の数ごとの基礎控除額は、次のとおりです。

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円
6人6,600万円

遺産総額がこの金額以下であれば、相続税はかかりません。 超えた部分に対して相続税が課税されます。

2015年に基礎控除は4割縮小されました

相続税の基礎控除額は、2015年(平成27年)1月1日に引き下げられました。 それ以前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。

相続人が3人の場合、8,000万円から4,800万円へ、4割の縮小です。「うちは相続税とは無縁」という感覚が過去の基準のままだと、実態と合いません。

実際、全国の課税割合は改正前の4%台から10.4%(令和6年分)まで上昇しています。


法定相続人は何人になる?

基礎控除額を決めるのは「法定相続人の数」です。 ここを間違えると基礎控除額そのものが変わるため、最初に確定させます。

法定相続人には順位があります。

順位誰が相続人になるか
常に相続人配偶者(内縁の方は含みません)
第1順位(亡くなっていれば孫が代襲相続)
第2順位父母(子がいない場合。父母が亡くなっていれば祖父母)
第3順位兄弟姉妹(子も父母もいない場合。亡くなっていれば甥姪が代襲相続)

上の順位の方が1人でもいれば、下の順位の方は相続人になりません。 子が1人でもいれば、父母や兄弟姉妹は相続人になりません。

数え方で間違えやすい3つの点

1. 相続放棄した人も、基礎控除の計算では人数に含めます

相続放棄をした方がいても、基礎控除額の計算上は「法定相続人の数」に含めます。 放棄によって基礎控除額が減ることはありません。

2. 養子の数には上限があります

基礎控除額の計算に含められる養子の数には制限があります。実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。

3. 内縁の配偶者は法定相続人になりません

長年連れ添った方であっても、婚姻届を出していなければ法定相続人にはなりません。 この場合、財産を渡すには遺言書が必要です。


遺産総額には何を含める?

基礎控除額と比べるのは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた「遺産総額」です。 預貯金だけを見て判断すると、必ず食い違います。

プラスの財産(相続財産)

種類具体例評価の考え方
不動産自宅の土地・建物、賃貸用不動産土地は路線価、建物は固定資産税評価額が基本
現金・預貯金普通預金、定期預金、タンス預金亡くなった日の残高
有価証券上場株式、投資信託、国債亡くなった日の価格が基本
その他自動車、貴金属、書画骨董、ゴルフ会員権時価

みなし相続財産(見落とされやすい)

生命保険金と死亡退職金は、受取人固有の財産ですが、相続税の計算には含めます。 これを「みなし相続財産」といいます。

ただし、それぞれ非課税枠があります。

生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
死亡退職金の非課税枠=500万円×法定相続人の数

相続人が3人なら、生命保険金は1,500万円までが非課税です。この枠を超えた部分だけが遺産総額に加わります。

マイナスの財産(債務控除)

借入金や未払いの税金は、遺産総額から差し引けます。

差し引けるもの差し引けないもの
借入金・住宅ローンの残債香典返しの費用
未払いの医療費・水道光熱費墓地・仏壇の購入費(もともと非課税財産のため)
未払いの固定資産税・住民税法要(初七日・四十九日)の費用
葬式費用(通夜・告別式・火葬・お布施など)遺体解剖の費用

葬式費用は差し引けますが、香典返しと法要の費用は差し引けません。 ここは実務で必ず確認する箇所です。

生前贈与の加算

亡くなる前の一定期間内に受けた贈与は、遺産総額に加算します。

【要確認】この加算期間は、2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から3年→7年へ段階的に延長されています。
経過措置があり、いつ亡くなったかによって実際の加算期間が変わります。
延長された分については一定額を控除する取扱いもあるため、
公開前に国税庁のタックスアンサーで最新の取扱いをご確認ください。
※この黄色いブロックは公開前に必ず削除してください。


相続税が0円でも申告が必要なケースは?

相続税額が0円でも申告が必要な場合があります。ここが最も誤解の多い論点です。

判断は、「なぜ0円になったのか」で分かれます。

0円になった理由申告
遺産総額が基礎控除額以下だった原則として不要
配偶者の税額軽減を使って0円になった必要
小規模宅地等の特例を使って0円になった必要
農地の納税猶予などの特例を使った必要

特例を使って0円になった場合は、申告して初めて特例が適用されます。 「税金がかからないから何もしなくていい」と考えて申告しないと、特例が使えず、本来かからなかったはずの税金がかかります。

とくに危険な2つのケース

1. 配偶者の税額軽減

配偶者が相続した財産は、1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。 ただし、これは申告が前提の制度です。

なお、この制度を使い切ると二次相続で税額が増えることがあります。詳しくは 配偶者の税額軽減二次相続 をご覧ください。

2. 小規模宅地等の特例

自宅の土地を最大330㎡まで80%減額できる制度です。 評価額5,000万円の土地が1,000万円になるため、これだけで基礎控除を下回ることがあります。

この場合も申告が必要です。 そして「申告しなかったから特例が使えなかった」という事態は、あとから取り返せません。


相続税の申告期限はいつまで?

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。 亡くなった日ではなく「知った日」が起算点です。

手続き期限
相続放棄・限定承認知った日の翌日から3か月以内
所得税の準確定申告知った日の翌日から4か月以内
相続税の申告・納付知った日の翌日から10か月以内

相続税は、申告と同時に現金で一括納付するのが原則です。 期限を過ぎると無申告加算税や延滞税がかかります。

10か月は長く感じられますが、遺産の把握・評価・遺産分割協議・書類収集をすべて終える必要があります。 実務上は余裕のある期間ではありません。手続き全体の流れは 相続手続きの流れ にまとめています。


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

東京都の課税割合は20.0%(令和6年分)で、都道府県別で最も高い水準です。 全国平均10.4%のおよそ2倍、およそ5人に1人が相続税の申告対象という計算になります。

当センターは新宿区西新宿にあり、新宿区・中野区・世田谷区を中心にご相談をお受けしています。この地域には、判断のうえで知っておいていただきたい事情があります。

  • 「預貯金は多くないから大丈夫」が通用しません。 課税対象になる方の多くは、預貯金が特別多いわけではなく、自宅の土地の評価額が高いために基礎控除を超えます。
  • 100㎡に満たない土地でも起こりえます。 相続人が配偶者と子2人の3人なら基礎控除は4,800万円です。都心部の路線価では、この面積でも超えることがあります。
  • 新宿区は土地の評価が特に難しい区です。 商業地・起伏のある住宅地・坂と細い路地の街・戦前からの借地が同居し、それぞれ評価方法が違います。不整形地・セットバック・私道・がけ地・借地権などの減額を見落とすと、税額が数百万円変わります。

地域ごとの詳細は 東京の相続税新宿区の相続税 をご覧ください。


よくある質問

Q1. 相続税はいくらから かかりますか?

A. 遺産総額が基礎控除額を超えた場合にかかります。 基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円を超えた部分に課税されます。

Q2. 相続税の基礎控除はいくらですか?

A. 3,000万円+600万円×法定相続人の数です。 たとえば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人であれば、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除額になります。

Q3. 遺産が基礎控除以下なら、申告しなくてよいですか?

A. 原則として申告は不要です。 ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使った結果として税額が0円になる場合は、申告が必要です。申告しなければ特例そのものが適用されません。

Q4. 生命保険金も遺産総額に含めますか?

A. 含めますが、非課税枠があります。 生命保険金の非課税枠は500万円×法定相続人の数です。相続人が3人なら1,500万円までが非課税で、これを超えた部分だけが遺産総額に加わります。死亡退職金にも同じ枠があります。

Q5. 相続放棄した人がいると、基礎控除は減りますか?

A. 減りません。 相続放棄をした方も、基礎控除額の計算では「法定相続人の数」に含めます。放棄によって基礎控除額が小さくなることはありません。

Q6. 葬式費用は遺産総額から差し引けますか?

A. 差し引けます。 通夜・告別式・火葬の費用、お布施などが対象です。ただし香典返しの費用と、初七日・四十九日などの法要の費用は差し引けません。 墓地や仏壇の購入費も対象外です。

Q7. 相続税の申告期限はいつまでですか?

A. 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。 亡くなった日ではなく「知った日」が起算点になります。申告と同時に、現金で一括納付するのが原則です。

Q8. 自宅しか財産がなければ、相続税はかかりませんか?

A. かかることがあります。 東京都の課税割合は20.0%(令和6年分)で全国平均のおよそ2倍ですが、その多くは自宅の土地の評価額が高いために基礎控除を超えたケースです。都心部では100㎡に満たない土地でも起こりえます。

Q9. 相続税がかかるか、自分で判断できますか?

A. 概算であれば判断できます。 遺産総額と基礎控除額を比べるだけだからです。ただし土地の評価は専門的で、同じ土地でも適用する補正によって評価額が大きく変わります。基礎控除の前後にある場合は、専門家にご確認いただくことをおすすめします。


まとめ

  • 相続税がかかるのは、遺産総額が基礎控除額を超えた場合だけです
  • 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数。相続人3人なら4,800万円
  • 基礎控除は2015年に4割縮小されました。「うちは無縁」という感覚は過去の基準の可能性があります
  • 相続放棄した人も、基礎控除の計算では人数に含めます
  • 生命保険金・死亡退職金には500万円×法定相続人の数の非課税枠があります
  • 葬式費用は差し引けますが、香典返しと法要の費用は差し引けません
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で0円になる場合は、申告が必要です
  • 申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
  • 東京都の課税割合は20.0%(令和6年分)で全国平均のおよそ2倍。自宅の土地だけで超えることがあります

ご相談のご案内

相続税がかかるかどうかは、土地の評価で結論が変わります。 基礎控除の前後にある場合はとくに、評価の方法によって課税・非課税が分かれます。

当センターでは、相続税がかかるかどうかの判断からご相談をお受けしています。

📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
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監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

相続・事業承継の相談実績3,000件超。
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