東京の路線価と相続税評価額|見方と、毎年7月の更新
監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
公開日:2026年9月10日 最終更新日:2026年9月12日
【結論】使うのは「亡くなった年」の路線価です
路線価は、相続税や贈与税で土地を評価するための価格です。国税庁が毎年1回、7月1日ごろに公表します。示されているのはその年の1月1日時点の価格で、公示価格のおおむね80%の水準とされています。ここで最も間違えやすいのが「どの年の路線価を使うか」です。使うのは相続が開始した日(亡くなった日)の属する年の路線価であって、申告する年ではありません。1月に亡くなった方の申告は、その年の路線価が7月に公表されるまで確定しません。ただし申告期限は10か月ですので、実務上は間に合います。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 公表元 | 国税庁(財産評価基準書 路線価図・評価倍率表) |
| 公表時期 | 毎年7月1日ごろ |
| 価格時点 | その年の1月1日 |
| 水準 | 公示価格のおおむね80%(目安) |
| 使う年分 | 相続開始(死亡)の日の属する年 |
| 単位 | 千円/㎡ |
| 路線価がない地域 | 倍率方式(固定資産税評価額 × 倍率) |
| 公開期間 | 過去7年分が国税庁サイトで閲覧できます |
4つの「土地の価格」を区別してください
日本の土地には、目的の違う価格が複数あります。混同しやすいので整理します。
| 名称 | 誰が出すか | いつ時点 | 水準の目安 | 何に使うか |
|---|---|---|---|---|
| 公示価格 | 国土交通省 | 1月1日 | 100% | 取引の指標、公共用地の取得 |
| 基準地価 | 都道府県 | 7月1日 | 公示価格と同水準 | 同上(公示価格の補完) |
| 路線価(相続税評価額) | 国税庁 | 1月1日 | 約80% | 相続税・贈与税 |
| 固定資産税評価額 | 市区町村 | 1月1日(3年ごとに評価替え) | 約70% | 固定資産税、不動産取得税、登録免許税 |
「路線価」と言った場合、通常は相続税路線価を指します。 固定資産税にも路線価がありますが、別のものです。
相続税の計算に使うのは、国税庁の路線価です。
路線価図の見方
数字は「千円/㎡」です
路線価図には、道路ごとに数字が書かれています。単位は千円/㎡です。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
600 | 60万円/㎡ |
1,200 | 120万円/㎡ |
350 | 35万円/㎡ |
「600」と書いてあったら600円ではありません。 60万円です。
アルファベットは借地権割合です
数字の後ろにA〜Gのアルファベットが付いています。これは借地権割合です。
| 記号 | 借地権割合 |
|---|---|
| A | 90% |
| B | 80% |
| C | 70% |
| D | 60% |
| E | 50% |
| F | 40% |
| G | 30% |
600C なら「60万円/㎡・借地権割合70%」という意味です。
借地権割合は、借地権・貸宅地・貸家建付地の評価に使います。
図形は地区区分です
数字を囲む図形(○、□、◇など)と、その塗り方は「地区区分」を表します。
- ビル街地区
- 高度商業地区
- 繁華街地区
- 普通商業・併用住宅地区
- 普通住宅地区
- 中小工場地区
- 大工場地区
地区区分によって、奥行価格補正率や不整形地補正率の値が変わります。 同じ形の土地でも、地区区分が違えば補正率が変わります。
路線価がない地域は「倍率方式」
路線価が定められていない地域(主に市街化調整区域や郊外)では、倍率方式で評価します。
評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率
評価倍率は、財産評価基準書の「評価倍率表」で確認します。
東京23区はほぼすべて路線価地域ですが、多摩地域には倍率地域があります。
実際の調べ方
国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、誰でも確認できます。
手順
- 年分を選びます(相続開始の日の属する年)
- 都道府県を選びます(東京都)
- 「路線価図」を選びます
- 市区町村を選びます(新宿区、中野区、世田谷区など)
- 町丁名から、該当する路線価図のページ番号を選びます
- 物件の前面道路の数字を読みます
過去7年分が公開されています。 それより古い年分が必要な場合は、税務署にお尋ねください。
本記事に具体的な路線価の金額は載せていません。
路線価は毎年変わるためです。必ず国税庁のサイトで、該当する年分をご確認ください。
路線価が上がると、どうなるか
近年、東京の路線価は上昇傾向が続いています。
相続税の観点では、これは負担が増える方向に働きます。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 相続税評価額が上がる | 同じ土地でも、亡くなった年によって評価額が変わります |
| 相続税がかかる人が増える | 基礎控除を超えるご家庭が増えます |
| 納税資金が足りなくなる | 評価は上がっても、現金は増えません |
「うちは相続税なんて関係ない」と思っていたご家庭が、路線価の上昇で対象になる——これが東京で実際に起きていることです。
一方で、評価が上がれば売却価格も上がっていることが多く、売って納税するという選択肢は取りやすくなります。
路線価だけでは、評価額は決まりません
ここが最も重要な点です。
路線価 × 面積は、あくまで出発点です。 実際の評価額は、その土地の状況に応じた補正を加えて決まります。
| 状況 | 適用しうる補正 |
|---|---|
| 前面道路が4m未満 | セットバック(該当部分の70%減額) |
| 斜面・高低差がある | がけ地補正(最大47%減額) |
| 形が整っていない | 不整形地補正(最大40%減額) |
| 間口が狭い/奥行が長い | 間口狭小補正、奥行長大補正 |
| 道路に接していない | 無道路地の評価 |
| 三大都市圏で500㎡以上 | 地積規模の大きな宅地(規模格差補正) |
| 都市計画道路の予定地内 | 予定地としての減額 |
| 土砂災害特別警戒区域内 | 特別警戒区域内の宅地の減額 |
| アパート・貸家の敷地 | 貸家建付地の減額 |
| 自宅の土地 | 小規模宅地等の特例(330㎡まで80%減額) |
逆に、加算される場合もあります。
- 角地(側方路線影響加算)
- 二方向の道路に接している(二方路線影響加算)
いずれも要件を満たす場合に限ります。
【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】
この3区で路線価を見るときの注意点をまとめます。
新宿区
路線価の水準が高く、区内でも差が大きいのが特徴です。西新宿の高層ビル街と、落合・中井の住宅地では大きく異なります。
注意したいのが私道です。 新宿区には位置指定道路や2項道路が多く、私道の持分を持っている方が少なくありません。
私道にも路線価が付いていることがあり、評価が必要です。 不特定多数の通行の用に供されている私道は評価しないこととされていますが、行き止まりの私道は評価対象になります(宅地としての評価額の30%)。
「持分だから関係ない」と考えて申告から漏れるケースがあります。
中野区
狭あい道路(幅員4m未満)が非常に多い地域です。
路線価図を見ただけでは、その道路が4m未満かどうかは分かりません。 区の道路管理課で確認する必要があります。
セットバックの対象なら、その部分は70%減額されます。 現地と役所の両方を確認してください。
世田谷区
500㎡以上の宅地が多く、地積規模の大きな宅地の適用余地があります。 東京23区は三大都市圏ですので、500㎡から対象です。
ただし指定容積率が400%以上の地域は対象外など、除外要件があります。用途地域と容積率の確認が必要です。
また国分寺崖線沿いには高低差のある宅地が多くあります。がけ地補正の検討をしてください。
よくある質問
Q1. 路線価はいつ公表されますか。
A. 毎年7月1日ごろです。国税庁の財産評価基準書のサイトで公開されます。示されているのはその年の1月1日時点の価格です。
Q2. どの年の路線価を使うのですか。
A. 相続が開始した日(亡くなった日)の属する年の路線価です。申告する年ではありません。1月に亡くなった場合、その年の路線価が公表されるのは7月ですので、それを待って評価します。申告期限は10か月ですので、実務上は間に合います。
Q3. 路線価は公示価格の80%と聞きました。実際の売却価格の80%ですか。
A. 公示価格のおおむね80%という水準が目安とされています。 ただし公示価格と実際の取引価格は一致しません。都心では実勢価格が公示価格を大きく上回ることがあり、その場合の路線価は実勢価格の80%よりずっと低くなります。 あくまで目安とお考えください。
Q4. 600C はどういう意味ですか。
A. 「路線価60万円/㎡、借地権割合70%」という意味です。数字は千円単位で、アルファベットは借地権割合(A=90%〜G=30%)を表します。
Q5. 路線価が付いていない道路に面しています。
A. 2つの可能性があります。①倍率地域である場合は、固定資産税評価額 × 評価倍率で評価します ②路線価地域内で、その道路にだけ路線価が付いていない場合は、特定路線価の設定を税務署に申し出ることができます。
Q6. 路線価が上がると、固定資産税も上がりますか。
A. 別の評価です。 固定資産税評価額は市区町村が定め、3年ごとに評価替えが行われます。路線価が上がったからといって、その年の固定資産税がすぐ上がるわけではありません。ただし地価の上昇は、いずれ両方に反映されます。
Q7. 路線価より実際の売却価格のほうが安い土地はどうなりますか。
A. 路線価による評価が実態に合わない場合、不動産鑑定評価による申告を検討することがあります。 ただし税務署に認められるためのハードルは高く、鑑定費用もかかります。 まずは通達に基づく補正を尽くしたうえで、それでも乖離が大きい場合の選択肢とお考えください。
Q8. 自分で調べた路線価で、相続税を計算できますか。
A. 概算であれば可能です。 ただし路線価 × 面積は出発点にすぎず、補正と特例で大きく変わります。 特に小規模宅地等の特例は330㎡まで80%減額と効果が大きく、これを織り込まない試算は実態とかけ離れます。「かかるかどうか」の目安としてお使いください。
まとめ
- 路線価は毎年7月1日ごろ公表、その年の1月1日時点の価格です
- 使うのは相続開始(死亡)の日の属する年の路線価です
- 水準は公示価格のおおむね80%(目安)
- 数字は千円/㎡。
600は60万円/㎡です - アルファベットは借地権割合(A=90%〜G=30%)
- 図形は地区区分。補正率の値が変わります
- 路線価がない地域は倍率方式(固定資産税評価額 × 倍率)
- 国税庁の財産評価基準書で、過去7年分を誰でも確認できます
- 路線価 × 面積は出発点です。 補正と特例で評価額は大きく変わります
- 新宿区は私道、中野区は狭あい道路、世田谷区は広い宅地と高低差が要点です
ご相談のご案内
「路線価を見たが、これで合っているのか分からない」という段階からご相談いただけます。 住所と面積が分かれば、補正の可能性まで含めた概算をお出しします。
📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
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監修者
天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター
相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
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登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。
出典
- 国税庁 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表
- 国税庁 財産評価基本通達
- 国税庁 No.4604 路線価方式による宅地の評価
- 国税庁 No.4609 地積規模の大きな宅地の評価
- 国税庁 No.4614 貸家建付地の評価
- 国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例
※本記事の内容は2026年9月時点の法令および財産評価基本通達に基づいています。路線価は毎年変わりますので、具体的な金額は必ず国税庁の財産評価基準書でご確認ください。

