法定相続分の早見表|誰がいくら相続するのか、全パターンを一覧で
監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
公開日:2026年9月11日 最終更新日:2026年9月12日
【結論】法定相続分は「目安」です。そのとおりに分ける義務はありません
法定相続分とは、遺言書がない場合に、民法が定めている取り分の割合です。配偶者は常に相続人になり、そこに血族相続人が順位に従って加わります。第1順位は子、第2順位は父母などの直系尊属、第3順位は兄弟姉妹。上の順位の人が1人でもいれば、下の順位の人は相続人になりません。ここで最も誤解されているのが「この割合どおりに分けなければならない」という思い込みです。そうではありません。相続人全員が合意すれば、どのような分け方でも構いません。法定相続分が効いてくるのは、話し合いがまとまらないとき、遺留分を計算するとき、そして相続税額を計算するときです。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 血族相続人 |
|---|---|---|
| 配偶者のみ | 全部 | — |
| 配偶者+子 | 1/2 | 子 全体で1/2 |
| 配偶者+父母 | 2/3 | 父母 全体で1/3 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹 全体で1/4 |
| 子のみ | — | 全部 |
| 父母のみ | — | 全部 |
| 兄弟姉妹のみ | — | 全部 |
誰が相続人になるのか
配偶者は常に相続人です
婚姻届を出している配偶者は、必ず相続人になります。 順位はありません。
ただし——内縁のパートナーには相続権がありません。 何十年連れ添っていても、
婚姻届を出していなければ一切相続できません。渡したい場合は遺言書が必須です。
離婚した元配偶者にも相続権はありません。
血族相続人には順位があります
| 順位 | 誰か | 補足 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 子(およびその代襲相続人) | 実子・養子・認知した子を含みます |
| 第2順位 | 直系尊属(父母、いなければ祖父母) | 第1順位が1人もいない場合のみ |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(およびその代襲相続人) | 第1・第2順位が1人もいない場合のみ |
上の順位の人が1人でもいれば、下の順位の人は相続人になりません。
お子さんが1人でもいれば、ご両親も兄弟姉妹も相続人ではありません。
相続人にならない人
| 立場 | 相続権 |
|---|---|
| 内縁のパートナー | ありません |
| 元配偶者 | ありません |
| 子の配偶者(嫁・婿) | ありません |
| 再婚相手の連れ子(養子縁組なし) | ありません |
| 相続放棄をした人 | ありません(最初からいなかったものとして扱われます) |
| 相続欠格・廃除された人 | ありません(ただし代襲相続は起きます) |
法定相続分の早見表
配偶者がいる場合
| # | 相続人 | 配偶者 | その他 |
|---|---|---|---|
| 1 | 配偶者のみ | 1(全部) | — |
| 2 | 配偶者+子1人 | 1/2 | 子 1/2 |
| 3 | 配偶者+子2人 | 1/2 | 子 各 1/4 |
| 4 | 配偶者+子3人 | 1/2 | 子 各 1/6 |
| 5 | 配偶者+子4人 | 1/2 | 子 各 1/8 |
| 6 | 配偶者+父母2人 | 2/3 | 父母 各 1/6 |
| 7 | 配偶者+父(または母)1人 | 2/3 | 父 1/3 |
| 8 | 配偶者+祖父母2人 | 2/3 | 祖父母 各 1/6 |
| 9 | 配偶者+兄弟姉妹1人 | 3/4 | 兄弟姉妹 1/4 |
| 10 | 配偶者+兄弟姉妹2人 | 3/4 | 兄弟姉妹 各 1/8 |
| 11 | 配偶者+兄弟姉妹3人 | 3/4 | 兄弟姉妹 各 1/12 |
配偶者がいない場合
| # | 相続人 | 割合 |
|---|---|---|
| 12 | 子1人 | 1(全部) |
| 13 | 子2人 | 各 1/2 |
| 14 | 子3人 | 各 1/3 |
| 15 | 父母2人 | 各 1/2 |
| 16 | 兄弟姉妹2人 | 各 1/2 |
| 17 | 兄弟姉妹3人 | 各 1/3 |
同じ順位の人が複数いる場合は、その順位の取り分を頭数で等しく分けます。
間違えやすい4つのケース
1. 半血の兄弟姉妹は、取り分が半分になります
父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、
父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の2分の1です。
【例】 相続人が配偶者と、全血の弟1人・半血の妹1人
| 相続人 | 計算 | 相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者 | — | 3/4 |
| 全血の弟 | 1/4 × 2/3 | 1/6 |
| 半血の妹 | 1/4 × 1/3 | 1/12 |
この半分ルールは、兄弟姉妹だけに適用されます。 子には適用されません。
2. 子の取り分は、嫡出でも非嫡出でも同じです
婚姻外で生まれ、認知された子(非嫡出子)の相続分は、嫡出子と同じです。
かつては2分の1でしたが、平成25年の最高裁決定を受けて民法が改正され、
平成25年9月5日以後に開始した相続については同等になりました。
3. 養子も実子と同じです
普通養子縁組をした養子は、実子とまったく同じ相続分を持ちます。
普通養子は実の親との関係も残るため、実親からも相続できます。
ただし相続税の計算では、法定相続人の数に含められる養子に上限があります。
| 状況 | 数に含められる養子 |
|---|---|
| 実子がいる場合 | 1人まで |
| 実子がいない場合 | 2人まで |
配偶者の連れ子を養子にした場合は「実子」として扱われ、この上限を受けません。
4. 相続放棄をした人は、最初からいなかったことになります
放棄した人の子が代わりに相続することはありません(代襲相続は起きません)。
そして順位が繰り下がります。
【例】 相続人が配偶者と子1人。子が相続放棄した場合
→ 第1順位が誰もいなくなるため、第2順位の父母が相続人になります。
父母もいなければ、第3順位の兄弟姉妹です。
「子が放棄したから配偶者が全部」ではありません。
思わぬ方が相続人になり、しかも借金がある場合は、その方に承継されます。
放棄するときは、次の順位の方への連絡が欠かせません。
代襲相続 — どこまで続くか
本来相続人になるはずだった人が先に亡くなっている場合、その子が代わりに相続します。
| 本来の相続人 | 代襲する人 | どこまで続くか |
|---|---|---|
| 子 | 孫 → ひ孫 → … | 制限なく下へ続きます(再代襲あり) |
| 兄弟姉妹 | 甥・姪 | 甥・姪の1代限り(再代襲なし) |
兄弟姉妹の代襲が1代限りという点は、実務で大きく効きます。
甥・姪がすでに亡くなっている場合、その子は相続人になりません。
結果として相続人が誰もいなくなることがあります。
代襲相続が起きる3つの場合
- 本来の相続人が先に亡くなっていた
- 本来の相続人が相続欠格になった
- 本来の相続人が廃除された
相続放棄では代襲相続は起きません。 ここが違います。
代襲相続人の取り分
本来の相続人が受け取るはずだった分を、そのまま引き継ぎます。
複数いる場合は、その中で等分します。
【例】 相続人が配偶者と子2人。うち長男が先に亡くなり、長男に子(孫)が2人
| 相続人 | 計算 | 相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者 | — | 1/2 |
| 次男 | 1/2 × 1/2 | 1/4 |
| 孫A | 1/4 × 1/2 | 1/8 |
| 孫B | 1/4 × 1/2 | 1/8 |
なお代襲相続人である孫には、相続税の2割加算は適用されません。
法定相続分が実際に効く3つの場面
「そのとおりに分けなくてよい」なら、何のためにあるのでしょうか。
1. 話し合いがまとまらないとき
遺産分割は、相続人全員の合意があればどのように分けても構いません。
実務では、法定相続分どおりに分けることのほうがむしろ少数です。
ただし合意できない場合、家庭裁判所の調停・審判では法定相続分が基準になります。
2. 遺留分を計算するとき
遺留分は、法定相続分をもとに計算します。
| 相続人 | 総体的遺留分 |
|---|---|
| 直系尊属のみ | 1/3 |
| それ以外 | 1/2 |
これに各人の法定相続分を掛けたものが、個別の遺留分です。
兄弟姉妹には遺留分がありません。
遺留分侵害額請求とは?1年の時効と、2019年の改正で変わったこと
3. 相続税を計算するとき(ここが重要です)
相続税の総額は、実際の分け方にかかわらず、
「法定相続分どおりに分けたと仮定して」計算します。
| 順序 | 計算 |
|---|---|
| 1 | 課税価格の合計から基礎控除を引く |
| 2 | 残りを法定相続分で分けたと仮定して、各人の税額を出す |
| 3 | 合計して相続税の総額を出す |
| 4 | 実際に取得した割合で按分する |
つまり、分け方を変えても相続税の総額は変わりません。
変わるのは「誰がいくら負担するか」です。
そのため、法定相続人が何人かは税額に直結します。
基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)も同じです。
相続税の税率と計算方法|早見表つき
相続税はいくらから?基礎控除の計算と申告が必要なケース
相続人を確定するには戸籍が必要です
法定相続分は、相続人が誰かが確定してはじめて計算できます。
そのためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍をたどります。
戸籍を集めて初めて分かることがあります。
- 前の結婚でお子さんがいた
- 認知したお子さんがいた
- 養子縁組をしていた
いずれも相続人です。 遺産分割協議には、その方の合意が必要になります。
戸籍謄本の集め方|2024年の広域交付制度で何が変わったか
法定相続情報一覧図とは?作り方と、戸籍の束を持ち歩かなくてよくなる仕組み
【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】
この3区では「法定相続分どおりに分けられない」ことが実際の問題になります。
理由は、財産に占める自宅の割合が高いことです。
【よくある形】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 自宅(世田谷区) | 7,000万円 |
| 預貯金 | 500万円 |
| 合計 | 7,500万円 |
相続人が子2人なら、法定相続分は各3,750万円。
しかし自宅は分けられません。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 売って分ける | 現金化して等分。ただし住んでいる方は出ていくことになります |
| 共有にする | 揉めやすく、次の相続でさらに複雑になります。おすすめしません |
| 代償分割 | 自宅を取得した方が、もう一方へ差額を現金で払います |
代償分割が現実的ですが、3,500万円の現金が必要です。
生前の備えとしては、生命保険が最も確実です。 自宅を継ぐお子さんを受取人にしておけば、
その保険金を代償金に充てられます。保険金は遺産分割の対象になりません。
生命保険金は相続税の対象?500万円×法定相続人の非課税枠
新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために
よくある質問
Q1. 法定相続分どおりに分けなければいけませんか。
A. いいえ。 相続人全員が合意すれば、どのような分け方でも構いません。
実務では法定相続分どおりに分けることのほうが少数です。法定相続分が基準になるのは、
話し合いがまとまらず家庭裁判所の手続きになった場合です。
Q2. 子が相続放棄すると、配偶者が全部相続しますか。
A. 違います。 放棄した人は最初からいなかったものとして扱われるため、
第1順位が誰もいなくなり、第2順位の父母が相続人になります。父母もいなければ兄弟姉妹です。
思わぬ方が相続人になり、借金があればその方に承継されます。 放棄の際は必ず次の順位の方へご連絡ください。
Q3. 内縁の妻に相続権はありますか。
A. ありません。 何十年連れ添っていても、婚姻届を出していなければ一切相続できません。
遺言書で遺贈するしかありません。 ただし遺贈には相続税額の2割加算が適用され、
配偶者の税額軽減も使えません。
Q4. 前妻との子にも相続権がありますか。
A. あります。 離婚しても親子関係は切れません。一度も会っていなくても、
養育費の有無にかかわらず、現在のお子さんとまったく同じ相続分を持ちます。
Q5. 兄弟姉妹の子(甥・姪)はどこまで相続しますか。
A. 甥・姪の1代限りです。子の場合は孫・ひ孫と制限なく下へ続きますが、
兄弟姉妹の代襲は甥・姪で止まります。 甥・姪も亡くなっていれば、
その子は相続人になりません。結果として相続人が誰もいなくなることがあります。
Q6. 養子は何人まで相続できますか。
A. 民法上は何人でも、実子と同じ相続分を持ちます。
ただし相続税の計算で法定相続人の数に含められるのは、実子がいれば1人、いなければ2人までです。
配偶者の連れ子を養子にした場合は「実子」扱いとなり、この上限を受けません。
Q7. 認知された子の取り分は半分ですか。
A. いまは同じです。 かつては2分の1でしたが、平成25年の最高裁決定を受けて民法が改正され、
平成25年9月5日以後に開始した相続については嫡出子と同等になりました。
Q8. 分け方を変えると相続税は減りますか。
A. 相続税の総額は変わりません。 総額は「法定相続分どおりに分けたと仮定して」計算されるためです。
変わるのは誰がいくら負担するかです。ただし小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、
誰が取得するかで使えるかどうかが変わります。 その意味で、分け方は税額に大きく影響します。
まとめ
- 法定相続分は遺言書がない場合の目安です。そのとおりに分ける義務はありません
- 配偶者は常に相続人。 血族相続人は子 → 直系尊属 → 兄弟姉妹の順位です
- 上の順位が1人でもいれば、下の順位は相続人になりません
- 配偶者の取り分は、子と 1/2、父母と 2/3、兄弟姉妹と 3/4
- 半血の兄弟姉妹は、全血の2分の1。 子には適用されません
- 認知された子も養子も、実子と同じ相続分です
- 相続放棄をすると順位が繰り下がります。 代襲相続は起きません
- 代襲は、子は制限なく下へ/兄弟姉妹は甥・姪の1代限り
- 法定相続分が効くのは、話し合いがまとまらないとき・遺留分の計算・相続税の計算
- 分け方を変えても相続税の総額は変わりません。 ただし特例の使えるかどうかは変わります
- 相続人の確定には、出生から死亡までの戸籍が必要です
ご相談のご案内
「誰が相続人になるのか分からない」という段階からご相談いただけます。
戸籍の収集は提携する専門家をご紹介し、相続人の確定から相続税の試算までお引き受けします。
分け方によって、使える特例と税額が変わります。 協議をまとめる前にご相談ください。
📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
💻 24時間WEB相談予約はこちら
監修者
天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター
相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」を運営し、
登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。
出典
- 国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
- 国税庁 No.4170 相続人の中に養子がいるとき
- 国税庁 No.4152 相続税の計算
- 国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
- 裁判所 相続の放棄の申述
- 裁判所 相続に関する調停
- e-Gov 民法
※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。

