相続放棄の3か月ルール|期限を過ぎた場合の対処法

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年9月6日 最終更新日:2026年9月6日


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相続の期限をまとめて解説しています。
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【結論】3か月を過ぎても、あきらめる前にご相談ください

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述します。この3か月を熟慮期間といいます。期限を過ぎると原則として単純承認とみなされ、借金も引き継ぐことになります。ただし「相続財産がまったくないと信じていて、そう信じたことに相当の理由がある」場合には、借金の存在を知った時から3か月と扱われた裁判例があります。督促状が届いて初めて負債を知った、というような場合です。個別の判断になりますので、早急にご相談ください。

ポイント内容
期限自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月
どこへ被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
過ぎると原則として単純承認(借金も引き継ぎます)
期限後の例外事情によっては認められる場合があります(保証はありません
期間を延ばせるかできます(熟慮期間の伸長の申立て)
絶対にやってはいけないこと相続財産を処分すること(単純承認とみなされます)
誰に頼むか弁護士・司法書士(税理士は代理できません)


3か月はいつから数えるのか

「亡くなった日から3か月」ではありません。

正確には、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。次の2つを知った時が起算点になります。

  1. 被相続人が亡くなったこと
  2. 自分が相続人になったこと

起算点が遅くなる例

状況起算点
疎遠で、亡くなったことを後から知った知った日
先順位の相続人が全員放棄したその放棄を知った日
自分が兄弟姉妹で、甥姪の代襲が絡む相続人になったと知った日

特に多いのが2番目です。 亡くなった方の子が全員放棄すると、次は父母、その次は兄弟姉妹へ順番が移ります。「いきなり債権者から通知が来た」という相談は、この形が大半です。


期限を過ぎてしまった場合

あきらめないでください。 例外が認められる場合があります。

認められうる場合

相続財産がまったく存在しないと信じており、そう信じたことに相当の理由があるときは、借金の存在を知った時から3か月と扱われた裁判例があります。

具体的には、次のような事情です。

  • 被相続人と長年まったく交流がなかった
  • 生活状況からみて、借金があると考える理由がなかった
  • 督促状が届いて初めて負債を知った

ただし保証はありません

個別の事情によって判断が分かれます。 「3か月過ぎても大丈夫」という一般論ではありません。

督促状が届いたら、すぐに動いてください。 放置している間に、その事情すら失われていきます。


絶対にやってはいけないこと

相続財産を処分すると、単純承認したものとみなされ、放棄ができなくなります。

やってしまいがちなこと危険度
被相続人の預金を引き出して使う極めて高い
不動産や車を売却する極めて高い
賃貸物件を解約して敷金を受け取る高い
被相続人宛ての請求を、自分のお金で払う場合による
遺品を持ち帰る・処分する場合による

葬儀費用はどうか

被相続人の預金から葬儀費用を支払った場合の扱いは、争いになりやすい論点です。 社会通念上相当な範囲であれば処分に当たらないとされた例もありますが、安全とは言い切れません。

放棄を検討している段階では、財産に手をつける前にご相談ください。


3か月で判断できないときは

熟慮期間の伸長を家庭裁判所に申し立てることができます。

  • 財産と負債の全体像がつかめない
  • 相続人や財産の調査に時間がかかる

期限内に申し立てる必要があります。 期限が来てからでは間に合いません。

「調べている間に3か月が過ぎた」が最も避けたい形です。

財産調査のページを見る


放棄すると、次は誰に行くのか

ここを知らずに放棄して、親族間でこじれるケースが後を絶ちません。

相続放棄をした人は、はじめから相続人でなかったものとして扱われます。そのため、次の順位の方へ相続権が移ります。

順位誰が
第1順位子(およびその代襲相続人)
第2順位父母などの直系尊属
第3順位兄弟姉妹(およびその子)

借金を理由に放棄する場合、放棄したことをご親族に伝えてください。 伝えないと、ある日突然、ご兄弟や甥姪のもとに請求が届きます。そして、その方々の3か月も動き出します。

相続人全員が放棄した場合、財産は最終的にどうなるのかは、別の記事にまとめています。

相続人がいない場合の財産はどうなる?


限定承認という選択肢

プラスの財産の範囲内でのみ債務を引き継ぐ手続きです。

内容
使いどころ負債の総額が分からないとき
期限相続放棄と同じ3か月
大きな制約相続人全員で共同して申述する必要があります
実務での利用多くありません(手続きが複雑で、みなし譲渡所得税の問題も生じます)

相続放棄と相続税の関係

放棄した人は、相続税の計算上どう扱われるのか。 ここは誤解が多い部分です。

扱い
基礎控除の人数放棄がなかったものとして数えます(放棄しても人数は減りません)
生命保険金受取人に指定されていれば受け取れます
保険金の非課税枠使えません(500万円×法定相続人の枠は相続人のみ)
死亡退職金保険金と同じ扱いです

「放棄したのに保険金には相続税がかかる」という点は、必ず押さえてください。


税理士は相続放棄を代理できません

相続放棄の申述書の作成・提出の代理は、弁護士または司法書士の業務です。 税理士が行うことはできません。

当センターでは提携する専門家におつなぎします。ただし、次のことは当センターが行えます。

  • 財産と負債の全体像の調査(放棄すべきかの判断材料づくり)
  • 放棄した場合・しなかった場合の相続税の試算
  • 相続人が誰になるかの整理
  • 窓口の一本化と、進行の管理

相続手続きは誰に頼むべき?税理士・司法書士・行政書士・弁護士の違い


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

都市部では「不動産を相続したくない」というご相談が増えています。

  • 老朽化した木造家屋で、解体費用のほうが土地の価値を上回る
  • 借地の上の建物で、地主との関係が続く
  • 共有持分が細分化していて、単独では売れない
  • 再建築不可の土地

ただし放棄は「いらない財産だけ捨てる」ことはできません。 放棄すればプラスの財産も全部手放すことになります。

「不動産だけ手放したい」場合は、相続したうえで売却する、あるいは相続土地国庫帰属制度を検討するなど、別の道を考えることになります。 どちらが有利かは、財産全体を見ないと判断できません。


よくある質問

Q1. 亡くなってから3か月ですか。

A. 違います。 「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。亡くなったことと、自分が相続人になったことの両方を知った時が起算点です。疎遠で後から知った場合や、先順位の相続人が放棄したことで自分に順番が回ってきた場合は、その時点から数えます。

Q2. 3か月を過ぎました。もう無理ですか。

A. あきらめる前にご相談ください。 相続財産がまったくないと信じており、そう信じたことに相当の理由がある場合、借金の存在を知った時から3か月と扱われた裁判例があります。ただし個別の判断で、保証はありません。 督促状が届いたら、すぐに動いてください。

Q3. 被相続人の預金から葬儀費用を払いました。放棄できますか。

A. 争いになりやすい論点です。 社会通念上相当な範囲であれば処分に当たらないとされた例もありますが、安全とは言い切れません。放棄を検討されているなら、これ以上財産に手をつける前にご相談ください。

Q4. 相続放棄すると、生命保険金も受け取れなくなりますか。

A. 受取人がご自身に指定されていれば受け取れます。 死亡保険金は受取人固有の財産で、相続財産ではないためです。ただし相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象になり、放棄した場合は「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使えません。

Q5. 自分が放棄すると、誰に迷惑がかかりますか。

A. 次の順位の方へ相続権が移ります。 子が全員放棄すれば父母などの直系尊属へ、いなければ兄弟姉妹へ。借金を理由に放棄する場合は、必ずご親族にお伝えください。 知らないうちに請求が届き、その方々の3か月も動き出します。

Q6. 3か月で判断できません。

A. 熟慮期間の伸長を家庭裁判所に申し立てられます。 ただし期限内に申し立てる必要があります。 「調べている間に3か月が過ぎた」が最も避けたい形です。

Q7. 不動産だけ放棄できますか。

A. できません。 相続放棄は、プラスもマイナスもすべて放棄する手続きです。不要な不動産だけを手放すことはできません。相続したうえで売却する、相続土地国庫帰属制度を検討するなど、別の方法を考えることになります。

Q8. 相続放棄の手続きをお願いできますか。

A. 相続放棄の申述の代理は、弁護士・司法書士の業務です。税理士は行えません。当センターでは提携する専門家におつなぎします。ただし財産と負債の調査、放棄した場合としない場合の相続税の試算、進行の管理は当センターが行います。


まとめ

  • 相続放棄の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月
  • 「亡くなった日から」ではありません。先順位の相続人が放棄した場合は、それを知った日からです
  • 過ぎても、事情によっては認められる場合があります(保証はありません)
  • 相続財産を処分すると、放棄できなくなります
  • 判断に時間が必要なら、期限内に熟慮期間の伸長を申し立てる
  • 放棄すると次の順位の方へ移ります。必ず伝えてください
  • 基礎控除の人数は減りません。生命保険金は受け取れますが非課税枠は使えません
  • 相続放棄の代理は弁護士・司法書士の業務です

ご相談のご案内

督促状が届いた、疎遠な親族が亡くなったと連絡があった——その段階でご連絡ください。 財産と負債の全体像を整理し、放棄すべきかどうかの判断材料をお出しします。期限のある手続きです。

📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
💻 24時間WEB相談予約はこちら


監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
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登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。


出典

※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。実際の判断は個別の事情により異なりますので、必ず専門家にご相談ください。



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