戸籍謄本の集め方|2024年の広域交付制度で何が変わったか

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年9月10日 最終更新日:2026年9月12日


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二度手間になる前に見て!【相続手続き】戸籍収集の落とし穴
戸籍収集の落とし穴を解説しています。
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【結論】1か所の窓口でまとめて取れるようになりました。ただし例外があります

令和6年(2024年)3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できるようになりました。これを広域交付といいます。本籍地が全国に散らばっていても、お住まいの市区町村の窓口1か所でまとめて請求できます。ただし4つの制限があります。①請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍だけで、兄弟姉妹の戸籍は取れません ②窓口へ本人が行く必要があり、郵送や代理人による請求はできません ③顔写真付きの本人確認書類が必要です ④コンピュータ化されていない戸籍は対象外です。この4つに当たる場合は、従来どおり本籍地の市区町村へ請求します。

ポイント内容
開始令和6年(2024年)3月1日
どこで最寄りの市区町村の窓口(本籍地でなくてよい)
何が取れるか戸籍全部事項証明書・除籍全部事項証明書
取れないもの戸籍抄本(個人事項証明書)、コンピュータ化されていない戸籍
請求できる範囲本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母)・直系卑属(子、孫)
請求できない範囲兄弟姉妹、おじ・おば、いとこ、配偶者の親
請求方法本人が窓口へ。郵送・代理人による請求は不可
必要なもの顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)

なぜ「出生から死亡まで」必要なのか

相続手続きでは、被相続人の「出生から死亡までの連続した戸籍」が求められます。

理由は相続人を確定するためです。

  • 前の結婚で子がいないか
  • 認知した子がいないか
  • 養子縁組をしていないか

これらは、古い戸籍を1通ずつたどらないと分かりません。 現在の戸籍だけを見ても、過去の記載は載っていないためです。

ご相談の現場でも、実際に出てきます。 「父に前妻との子がいた」という事実が、戸籍を集めて初めて判明する——珍しいことではありません。その子も相続人ですので、遺産分割協議に加わってもらう必要があります。


戸籍は3種類あります

用語が分かりにくいのが、この手続きの厄介なところです。

名称何か
戸籍謄本(全部事項証明書)現在の戸籍。 そこに載っている人全員の記録
除籍謄本(除籍全部事項証明書)その戸籍から全員がいなくなったもの。 死亡・婚姻・転籍などで空になった戸籍
改製原戸籍(かいせいはらこせき)法律の改正で戸籍が作り替えられたとき、作り替え前の古い戸籍

「改製原戸籍」を見落とすのが、最も多い失敗です。

戸籍は過去に何度も様式が変わっており、作り替えの際に「その時点で有効な情報」だけが新しい戸籍へ移されます。 作り替え前に離婚していた、養子縁組を解消していた——そうした記録は新しい戸籍に載りません。

そのため「出生まで」さかのぼるには、改製原戸籍まで取る必要があります。

主な改製は次の2回です。

改製内容
昭和の改製(昭和32年〜)「家」単位から「夫婦と未婚の子」単位へ
平成の改製(平成6年〜、市区町村により実施時期が異なります)紙からコンピュータへ

広域交付の使い方

手順

  1. お住まいの市区町村(または最寄りの市区町村)の戸籍担当窓口へ行きます
  2. 顔写真付きの本人確認書類を提示します
  3. 「相続手続きのため、父(母)の出生から死亡までの戸籍を」と伝えます
  4. その場で、または後日交付されます

複数の本籍地にまたがっていても、窓口の職員が全国の戸籍を検索して交付します。

手数料

種類手数料
戸籍全部事項証明書1通450円
除籍・改製原戸籍の全部事項証明書1通750円

広域交付でも手数料は同額です。

4つの制限

制限1 兄弟姉妹の戸籍は取れません

これが最大の制限です。

広域交付で請求できるのは、本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母)・直系卑属(子、孫)の戸籍だけです。

兄弟姉妹が相続人になるケース——子がなく、両親も他界している場合——では、兄弟姉妹の戸籍が必要になります。 これは広域交付では取れず、本籍地の市区町村へ個別に請求します。

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制限2 窓口へ本人が行く必要があります

郵送請求も、代理人による請求もできません。 仕事の都合で平日に行けない場合、土日開庁している窓口を探すか、従来どおりの郵送請求になります。

司法書士・弁護士・行政書士に依頼する場合も、広域交付は使えません。 専門家は職務上請求という別の方法で取得します。

制限3 顔写真付きの本人確認書類が必要です

マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど。健康保険証だけでは請求できません。

制限4 コンピュータ化されていない戸籍は対象外です

一部の市区町村では、古い除籍・改製原戸籍がまだ電子化されていません。 その分は広域交付で出てこないため、本籍地へ個別に請求します。

窓口で「この分は出せません」と言われたら、その本籍地へ請求してください。


従来どおりの請求方法

広域交付が使えない場合は、本籍地の市区町村へ請求します。

窓口で請求する

本籍地が近ければ、直接行くのが早い方法です。

郵送で請求する

遠方の場合はこちらです。 次のものを同封します。

同封するもの補足
戸籍請求書各市区町村のサイトからダウンロードできます
本人確認書類のコピー運転免許証、マイナンバーカードなど
手数料分の定額小為替郵便局で購入します。現金は不可
返信用封筒(切手を貼付)
相続関係が分かる戸籍のコピー直系であることを示すため

定額小為替は、金額ごとに手数料がかかります。 何通必要か分からない場合は、「出生から死亡までのすべて。不足分は連絡希望」と記載し、多めに同封しておくと二度手間になりません。

郵送は往復で1〜2週間かかります。 本籍地が複数あると、これを繰り返すことになります。

マイナンバーカードでコンビニ交付

一部の市区町村では、コンビニのマルチコピー機で戸籍証明書を取得できます。 本籍地の市区町村が対応しているかご確認ください。除籍・改製原戸籍は取得できないことが多く、相続手続きには足りないことがほとんどです。


集めた戸籍を何度も使うなら「法定相続情報一覧図」

戸籍の束は、金融機関や法務局に提出するたびに必要になります。

原本還付を受ければ使い回せますが、そのたびに時間がかかります。

法定相続情報証明制度を使うと、相続関係を1枚にまとめた証明書を法務局が発行してくれます。

項目内容
申出先被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局
手数料かかりません
交付枚数必要な枚数を交付してもらえます
使えるところ金融機関、法務局(相続登記)、証券会社、税務署(相続税申告)など

5行の銀行と法務局に同時に出したい——という場合、これが最も効率的です。

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集めた戸籍で、まず確認すること

戸籍がそろったら、次を確認してください。

  • 被相続人の出生から死亡まで、日付が途切れなくつながっているか
  • 前の婚姻、認知した子、養子縁組の記載がないか
  • 相続人となる方が、全員生存しているか(先に亡くなっていれば代襲相続を確認)
  • 相続人全員の現在の戸籍を取れているか

「つながっているか」の確認が要点です。 戸籍には「(従前戸籍)」「編製」「改製」といった記載があり、そこをたどって前の戸籍へ移ります。 途中が抜けていると、金融機関や法務局で差し戻されます。


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

東京にお住まいの方ほど、広域交付の恩恵が大きくなります。

新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方で、本籍地が地方のままという方は非常に多くいらっしゃいます。進学や就職で上京し、住所は移したが本籍は実家のまま——というケースです。

従来なら、地方の市区町村へ郵送請求を繰り返す必要がありました。 定額小為替を買い、返信を待ち、足りなければまた請求する。これだけで1〜2か月かかっていました。

広域交付なら、お住まいの区役所の窓口1か所で済みます。

一方で、東京で気をつけたいのが「兄弟姉妹が相続人になるケース」です。

都心では子どもがいないご夫婦、生涯独身の方の割合が高く、兄弟姉妹やその子(甥・姪)が相続人になることが少なくありません。この場合、広域交付は使えません。 兄弟姉妹の戸籍は、本籍地へ個別に請求することになります。

相続人が甥・姪まで及ぶと、戸籍は20通を超えることもあります。 この段階になったら、司法書士・行政書士へ依頼したほうが早く確実です。

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よくある質問

Q1. 広域交付で、兄が亡くなった場合の戸籍は取れますか。

A. 取れません。 広域交付で請求できるのは、本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍だけです。兄弟姉妹は直系ではないため対象外です。本籍地の市区町村へ個別に請求してください。

Q2. 代理人に頼んで広域交付で取ってもらえますか。

A. できません。 広域交付は本人が窓口へ行く必要があります。 郵送請求も委任状による代理請求もできません。専門家に依頼する場合は、職務上請求という別の方法で取得することになります。

Q3. 健康保険証しか持っていません。

A. 広域交付は使えません。 顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)が必要です。お持ちでない場合は、従来どおり本籍地へ請求してください。

Q4. 戸籍抄本は広域交付で取れますか。

A. 取れません。 広域交付の対象は全部事項証明書(謄本)です。個人事項証明書(抄本)は対象外です。相続手続きでは謄本が必要ですので、実務上は問題になりません。

Q5. 何通取ればよいですか。

A. 提出先の数だけ必要になりますが、多くの金融機関・法務局は原本還付に応じます。1組をそろえて使い回すのが基本です。ただし同時並行で進めたい場合は、法定相続情報一覧図を必要枚数交付してもらうほうが効率的です。

Q6. 費用はどのくらいかかりますか。

A. 戸籍全部事項証明書が1通450円、除籍・改製原戸籍が1通750円です。出生から死亡までで5〜10通程度になることが多く、3,000〜7,000円前後が目安です。相続人の数が多い場合や、兄弟姉妹が相続人になる場合はさらに増えます。

Q7. 戸籍集めを専門家に頼めますか。

A. 頼めます。 戸籍の収集代行は、司法書士・弁護士・行政書士の業務です。税理士は行えません。 当センターでは提携する専門家をご紹介し、相続税申告と併せて窓口を一本化しています。

Q8. 相続税の申告にも戸籍は必要ですか。

A. 必要です。 相続税の申告書には、被相続人の出生から死亡までの戸籍の写し(または法定相続情報一覧図の写し)を添付します。金融機関や法務局と同じものを使えますので、まとめて集めてください。


まとめ

  • 令和6年3月1日から、本籍地以外の窓口でも戸籍を請求できます(広域交付)
  • 全国に散らばった本籍地の戸籍を、1か所の窓口でまとめて請求できます
  • ただし兄弟姉妹の戸籍は対象外です。直系(父母・祖父母・子・孫)と配偶者に限られます
  • 本人が窓口へ行く必要があります。 郵送・代理人による請求はできません
  • 顔写真付きの本人確認書類が必要です
  • コンピュータ化されていない戸籍は対象外。その分は本籍地へ個別請求します
  • 相続では出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。改製原戸籍の見落としにご注意ください
  • 手数料は戸籍450円、除籍・改製原戸籍750円(1通あたり)
  • 何度も使うなら、法定相続情報一覧図(手数料なし・必要枚数交付)が効率的です
  • 収集代行は司法書士・弁護士・行政書士の業務です

ご相談のご案内

「どこまで集めればよいのか分からない」という段階からご相談いただけます。 必要な戸籍の範囲を整理し、収集を担える専門家をご紹介します。相続税の申告に必要な資料と併せて、一度にご案内します。

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監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
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登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。


出典

※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。手数料や取扱いは市区町村により異なることがありますので、窓口でご確認ください。



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