相続税の税率と計算方法|早見表つきで手順を追って解説します

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年9月6日 最終更新日:2026年9月6日


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【結論】税率は、実際にもらった額にそのままかけるのではありません

相続税でよくある誤解が、「自分がもらう金額に税率をかければ税額が出る」というものです。実際は違います。まず遺産総額から基礎控除を引き、その残りを法定相続分で分けたものと仮定して各人の税額を計算し、それを合計して相続税の総額を出します。そのうえで、実際にもらった割合で総額を按分します。この順番を知らないと、計算が合いません。

手順内容
1遺産総額を出す(プラスの財産+みなし相続財産−非課税−債務・葬式費用+生前贈与加算)
2基礎控除を引く(3,000万円+600万円×法定相続人の数)
3残りを法定相続分で分けたと仮定して、各人の税額を計算
4それを合計して相続税の総額を出す
5実際にもらった割合で総額を按分する
6各人の事情で加算・控除する(2割加算、配偶者の税額軽減など)

「3」が独特です。実際の分け方に関係なく、いったん法定相続分で計算します。



相続税の速算表

法定相続分に応じた各人の取得金額に対して、次の税率をかけます。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

⚠️ この表は「法定相続分で分けたと仮定した金額」にかけるものです。 実際の取得額に直接かけるものではありません。


計算してみます

遺産総額1億円、相続人は配偶者と子2人の場合。

手順1・2:基礎控除を引く

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
課税遺産総額 = 1億円 − 4,800万円 = 5,200万円

手順3:法定相続分で分けたと仮定する

相続人法定相続分仮の取得額税率控除額税額
配偶者1/22,600万円15%50万円340万円
子A1/41,300万円15%50万円145万円
子B1/41,300万円15%50万円145万円

手順4:合計する

相続税の総額 = 340万円 + 145万円 + 145万円 = 630万円

手順5・6:実際の分け方で按分し、控除する

配偶者が1/2、子が1/4ずつ実際に取得した場合。

相続人按分後の税額適用される控除納める税額
配偶者315万円配偶者の税額軽減0円
子A157.5万円157.5万円
子B157.5万円157.5万円
合計630万円315万円

配偶者が1億6,000万円まで非課税になる制度があるため、配偶者の分は0円になります。

配偶者の税額軽減とは?1億6,000万円まで非課税


早見表(目安)

配偶者が法定相続分どおりに取得し、配偶者の税額軽減を適用した場合の、相続人全体の納税額の目安です。

配偶者と子がいる場合

遺産総額子1人子2人子3人
5,000万円40万円10万円0円
7,000万円160万円113万円80万円
1億円385万円315万円263万円
1億5,000万円920万円748万円665万円
2億円1,670万円1,350万円1,218万円
3億円3,460万円2,860万円2,540万円

配偶者がいない場合(子のみ)

遺産総額子1人子2人子3人
5,000万円160万円80万円20万円
7,000万円480万円320万円220万円
1億円1,220万円770万円630万円
1億5,000万円2,860万円1,840万円1,440万円
2億円4,860万円3,340万円2,460万円
3億円9,180万円6,920万円5,460万円

⚠️ この表は、法定相続分どおりに分けた場合の簡易な目安です。

  • 小規模宅地等の特例、未成年者控除、障害者控除などは考慮していません
  • 実際の税額は、分け方と適用する特例によって大きく変わります
  • 正確な金額は、必ず試算してください

配偶者がいるかどうかで、これほど違います

遺産1億円・子1人の場合、配偶者がいれば385万円、いなければ1,220万円です。3倍以上の差になります。

これが二次相続の問題です。 一次相続で配偶者が全部相続すると、二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、基礎控除も1人分減ります。

二次相続とは?配偶者が全部相続すると損する理由


税額が変わる要素

加算されるもの

項目内容
2割加算配偶者と一親等の血族(子・父母)以外が相続すると、税額が2割増しになります。兄弟姉妹・甥姪・孫養子が対象です

差し引かれるもの

控除内容
配偶者の税額軽減1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い額まで非課税
未成年者控除18歳になるまでの年数×10万円
障害者控除85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)
贈与税額控除生前贈与加算された分の贈与税
相次相続控除10年以内に相次いで相続があった場合
外国税額控除外国で相続税に相当する税を納めた場合

計算の前に、評価があります

ここまでの計算は、遺産総額が正しく出ていることが前提です。

そして遺産総額でいちばん誤差が出るのが、土地の評価です。

  • 預貯金・上場株式は、誰が計算しても同じ
  • 土地は、補正を拾ったかどうかで変わります

税率の話より、評価の話のほうが金額への影響は大きくなります。


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

東京では、早見表の「1億円」の欄を見ていただくことが多くなります。

新宿区の路線価を考えると、ご自宅の土地だけで数千万円になることは珍しくありません。そこに預貯金と生命保険が加われば、1億円は決して遠い数字ではありません。

ただし、そこから下げられる余地も大きくあります。

使える可能性のあるもの効果
小規模宅地等の特例自宅の土地が330㎡まで80%減額
セットバック該当部分が70%減額
がけ地補正・不整形地補正土地の形状・高低差に応じた減額
貸家建付地人に貸している建物の敷地

早見表で「うちは無理そうだ」と諦める前に、一度試算してください。 特例の適用可否で、結論が変わることがあります。

新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために


よくある質問

Q1. もらった金額に税率をかければよいのですか。

A. 違います。 まず遺産総額から基礎控除を引き、その残りを法定相続分で分けたと仮定して各人の税額を計算し、合計して相続税の総額を出します。そのうえで、実際にもらった割合で総額を按分します。この順番でないと計算が合いません。

Q2. なぜ法定相続分で計算するのですか。

A. 分け方によって税額の総額が変わらないようにするためです。 もし実際の取得額に直接税率をかける仕組みだと、財産を細かく分けるほど税率が下がり、税負担を調整できてしまいます。

Q3. 早見表の金額と、実際の税額が違います。

A. 早見表は法定相続分どおりに分けた場合の目安です。小規模宅地等の特例や各種の控除は考慮していません。実際の分け方と適用する特例によって、税額は大きく変わります。

Q4. 配偶者がいるかどうかで、なぜこんなに違うのですか。

A. 配偶者の税額軽減があるためです。 1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い額まで、配偶者には相続税がかかりません。ただし一次相続で使いすぎると、二次相続で跳ね返ります。

Q5. 孫に相続させると、税金は増えますか。

A. 増えます。 配偶者と一親等の血族(子・父母)以外が相続すると、相続税額が2割加算されます。孫を養子にした場合も、原則として2割加算の対象です。ただし代襲相続人である孫は対象外です。

Q6. 相続税は誰が払うのですか。

A. 財産を取得した人が、それぞれ納めます。 期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内で、原則として現金で一括納付です。難しい場合は延納や物納の制度がありますが、いずれも要件と事前の申請が必要です。

Q7. 税額が0円なら、申告は不要ですか。

A. 場合によります。 基礎控除以下であれば申告は不要です。しかし配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使った結果として0円になる場合は、申告が必要です。申告をしてはじめて特例が適用されます。

Q8. 生前贈与した分も計算に入るのですか。

A. 入る場合があります。 相続や遺贈で財産を取得した人への、相続開始前一定期間内の贈与は、相続財産に加算されます(令和6年1月1日以後の贈与は最長7年)。ただし納めた贈与税は相続税額から差し引かれます。


まとめ

  • 税率は、法定相続分で分けたと仮定した金額にかけます。実際の取得額に直接かけるものではありません
  • 手順は ①遺産総額 ②基礎控除を引く ③法定相続分で仮計算 ④合計して総額 ⑤実際の割合で按分 ⑥加算・控除
  • 税率は10%〜55%の8段階
  • 配偶者がいるかどうかで、税額が3倍以上変わることがあります
  • 2割加算の対象は、兄弟姉妹・甥姪・孫養子など
  • 早見表はあくまで目安です。特例の適用で結論が変わります
  • 税率より、土地の評価のほうが金額への影響は大きくなります

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監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

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出典

※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。早見表は簡易な目安であり、実際の税額とは異なります。必ず税理士にご相談ください。



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