身元保証サービスとは?保証人がいない人の選択肢と、事業者の選び方
監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
公開日:2026年8月9日 最終更新日:2026年9月3日
【結論】保証人がいなくても入院はできます。ただし現実には求められます
身元保証サービスとは、入院や施設入居のときに保証人となり、緊急時の連絡先を引き受け、費用の支払いや退院時の対応、亡くなられた後の手続きまでを、ご家族に代わって担うサービスです。厚生労働省は「身元保証人等がいないことのみを理由に入院を拒否することは適当でない」と通知していますが、実務では署名を求められるのが通常です。この分野では預託金が返らないといった消費者トラブルが相次いだため、2024年6月に国のガイドラインが作られました。事業者を選ぶときは、そのガイドラインが基準になります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 何をしてもらえるか | 入院・入居時の保証人/緊急連絡先/費用の対応/退院・退所の手続き/死後の対応 |
| 法律上の位置づけ | 保証人がいないことだけを理由に入院を断るのは適当でない(厚労省通知) |
| ただし実務では | 署名を求められるのが通常です |
| 最大の注意点 | 預託金が事業者の運転資金と分けて管理されているか |
| 判断の基準 | 高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(令和6年6月) |
| 契約は1つでは足りない | 身元保証・財産管理・任意後見・死後事務・遺言はそれぞれ別の契約です |
身元保証人に求められる4つの役割
病院や施設が保証人に求めるのは、おおむね次の4つです。
| # | 役割 | 具体的に何が起きるか |
|---|---|---|
| 1 | 緊急時の連絡先 | 容体が急変したとき、真夜中でも連絡が入ります |
| 2 | 費用の支払いの保証 | 入院費・施設利用料が滞った場合の連帯保証です |
| 3 | 退院・退所時の対応 | 退院の日に迎えに行き、次の生活の場を用意します |
| 4 | 亡くなった後の引き取り | ご遺体の引き取り、居室の残置物の整理です |
ご家族がいれば当然のように行われることですが、おひとりの場合、これを引き受ける人が誰もいません。
「4」まで含まれる点が見落とされがちです。病院や施設が最も心配しているのは、実はここです。
保証人がいないと、入院はできないのか
法律上は、できます。
厚生労働省は平成30年4月27日の通知で、次の趣旨を示しています。
医師法第19条第1項に定める応招義務の「正当な事由」は、医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる。入院医療が必要であるにもかかわらず、身元保証人等がいないことのみを理由に、医療機関が入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触する。
さらに令和元年には「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」も示されています。
それでも現実には求められます
通知は「拒否してはならない」と言っているだけで、「求めてはならない」とは言っていません。
入院申込書に保証人の欄があり、記入を求められる。介護施設の入居契約でも同様です。制度と実務の間に開きがあるのが、この分野の実情です。
「法律上は入院できます」と知っておくことは大切ですが、それだけでは目の前の入院手続きは進みません。 だから民間のサービスが存在しています。
契約は1つでは足りません
ここが最も誤解されているところです。
「身元保証を頼んだから安心」と思われる方が多いのですが、カバーする場面が契約ごとに違います。
| 契約 | いつ効くか | できること |
|---|---|---|
| 身元保証 | 入院・施設入居のとき | 保証人としての署名、緊急連絡先、費用の対応 |
| 財産管理委任契約 | 体が不自由になったとき | 判断能力はあるが外出が難しい場合の、預金の管理や支払いの代行 |
| 任意後見契約 | 判断能力が下がったとき | 財産の管理と必要な契約の代理。後見人を自分で選んでおけます |
| 死後事務委任契約 | 亡くなった後 | 死亡届、葬儀、納骨、行政手続き、解約、遺品整理など「手続きを誰がやるか」 |
| 遺言書 | 亡くなった後 | 「財産を誰に渡すか」。手続きの担い手は決められません |
遺言書だけでは、葬儀も納骨も解約手続きも進みません。
すべてを契約する必要はありません。ご事情によって必要な組み合わせが変わります。
⚠️ 事業者を選ぶときに、必ず確認していただきたいこと
この分野は、消費者トラブルが相次いだ領域です。
総務省行政評価局は令和5年8月に調査結果報告書を公表し、それを受けて令和6年6月、内閣官房・消費者庁・法務省・厚生労働省・総務省などが「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定しました。
このガイドラインは、事業者を選ぶ側の基準として使えます。
1. 預託金が、事業者の運転資金と分けて管理されているか ★最重要
ガイドラインは、利用者からの預託金を事業者自身の運転資金等とは明確に区分して管理することを求めています。
事業者が経営破綻し、預けたお金が戻らなかった例が実際に報じられています。 葬儀費用や死後事務の費用として数十万円から数百万円を預けることになるため、ここは避けて通れません。
「どのように分別管理していますか」と、はっきり聞いてください。 答えられない、あるいは曖昧にする事業者は避けたほうが賢明です。
2. 重要事項説明書が、書面で交付されるか
ガイドラインは、契約に関する重要事項を説明し、その内容を書面(重要事項説明書)で交付することを求めています。
口頭の説明だけで契約が進む場合は、立ち止まってください。
3. 身元保証の内容と費用の内訳が明らかか
「身元保証一式」といった括り方ではなく、何をどこまで行い、それぞれいくらかが示されているかを確認してください。
4. 途中で解約できるか。そのとき預けたお金はどうなるか
契約は長期にわたります。 ご事情が変わることも、事業者との相性が合わないこともあります。解約の条件と、預託金の返金の扱いを、契約前に確認してください。
5. 実際に手続きを行うのは誰か
担当者が変わったときの引き継ぎ、そしてご本人の判断能力が下がった後に契約がどう機能するかを確認してください。
消費者庁は、判断の目安となるチェックリストを公表しています。
事業者に見せながら、一つずつ確認していく使い方ができます。
当センターにご依頼を検討される場合も、同じ基準でご確認ください。
費用の考え方
費用は契約の範囲によって大きく変わります。金額そのものより、次の点を確認してください。
- 一時金・月額・預託金のどれに当たるお金なのか
- 預託金はどこに、どう管理されるのか
- 亡くなった後の費用(葬儀・納骨・遺品整理)が含まれるのか、実費が別なのか
- 想定より長生きされた場合、費用はどうなるのか
「総額でいくらになりますか」と聞き、その根拠を示してもらってください。
当センターの料金は料金表に掲載しています。
税理士が関わることの意味
終活は、気持ちの整理だけでは終わりません。最後は必ずお金と税金の話になります。
- 手元の資産で、必要な期間の生活費と施設費をまかなえるか
- 相続税がかかるかどうか。かかるなら、納税資金をどう準備するか
- 財産を渡したい相手がいる場合、生前に渡すのと遺言で渡すのとで税負担がどう変わるか
- 相続人がいない場合、財産は最終的にどうなるか(原則として国庫に帰属します)
当センターは保険や不動産の販売を業としていません。 資産運用を勧めることはありません。
そして代表は、実際にお客様の喪主を務め、収骨・納骨まで行った経験があります。 税理士事務所としては珍しい体制です。
【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】
身元保証と死後事務は、実際に駆けつけられる距離であることが前提になります。
深夜の急変、退院当日の対応、逝去後の引き取り。いずれも「その日のうちに動けるか」が問われます。
当センターは東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅から徒歩約2分にあり、新宿区・中野区・世田谷区を中心に東京23区で対応しています。
相続税の相談はZoomで全国から承っていますが、身元保証と死後事務については、伺える範囲であることをご確認ください。 遠方の方は、まずご相談ください。
よくある質問
Q1. 身元保証人がいないと、入院や施設入居はできないのですか。
A. 法律上はできます。 厚生労働省は、入院医療が必要であるにもかかわらず身元保証人等がいないことのみを理由に入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触するという趣旨の通知を出しています。ただし実務では、入院申込書や入居契約書に保証人の記入を求められるのが通常です。制度と実務の間に開きがあります。
Q2. 身元保証サービスでは、具体的に何をしてもらえますか。
A. 契約によりますが、入院・入居時の保証人としての署名、緊急連絡先の引き受け、費用の支払いに関する対応、退院・退所時の手続き、そして亡くなられた後の引き取りまでが一般的な範囲です。当センターでは、これに加えて葬儀・納骨、行政手続き、財産の整理までワンストップで対応しています。
Q3. 預けたお金が返ってこないと聞いて不安です。
A. 実際に起きています。 事業者が経営破綻し、預託金が戻らなかった例が報じられました。令和6年6月に策定された「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は、預託金を事業者自身の運転資金等と明確に区分して管理することを求めています。契約前に「どのように分別管理していますか」と必ず確認してください。当センターにご依頼される場合も、同じことをお尋ねください。
Q4. どの契約を結べばよいのか分かりません。
A. ご状況によって組み合わせが変わります。 入院・入居時の保証は身元保証、判断能力が下がったときの財産管理は任意後見、亡くなった後の手続きは死後事務委任契約、財産の行き先は遺言書、と役割が分かれています。すべてを契約する必要はありません。 まずご不安な点を伺い、必要なものだけをご提案します。
Q5. 遺言書を書いてあれば、身元保証は不要ですか。
A. 別のものです。 遺言書が決められるのは「財産を誰に渡すか」までで、葬儀も納骨も解約手続きも、遺言書では進みません。 また遺言書は亡くなった後にしか効力がなく、入院時の保証人にはなりません。
Q6. 判断能力が下がってからでも契約できますか。
A. できません。 身元保証も、任意後見も、死後事務委任も、遺言も、すべてご本人の判断能力があることが前提です。判断能力が下がった後は、家庭裁判所に法定後見の申立てをすることになり、後見人をご自身で選ぶことはできません。「まだ早い」と感じられる時期が、実は唯一の準備できる時期です。
Q7. 親族はいますが、頼れません。それでも利用できますか。
A. できます。 ご親族が遠方にお住まいの場合、疎遠な場合、高齢でご自身も支援が必要な場合など、ご事情はさまざまです。「親族がいる」ことと「頼れる」ことは別の問題です。
Q8. 費用はどれくらいかかりますか。
A. ご契約の範囲によって変わります。 重要なのは金額そのものより、一時金・月額・預託金のどれに当たるお金なのか、預託金がどう管理されるのか、亡くなった後の費用が含まれるのか実費が別なのか、という点です。料金は料金表をご覧ください。
まとめ
- 身元保証人に求められるのは、緊急連絡先・費用の保証・退院時の対応・亡くなった後の引き取りの4つです
- 保証人がいないことのみを理由に入院を拒否することは適当でないと厚生労働省が通知しています。ただし実務では求められます
- 身元保証・財産管理・任意後見・死後事務・遺言は、それぞれ別の契約です。1つでは足りません
- 遺言書だけでは、葬儀も納骨も解約手続きも進みません
- 事業者選びの基準は、令和6年6月の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」です
- 最重要は預託金が事業者の運転資金と分けて管理されているか。必ず確認してください
- 判断能力があるうちでなければ、どの契約も結べません
ご相談のご案内
「何から準備すればよいか分からない」という段階でも構いません。 必要なものだけをご提案します。すべてを契約していただく必要はありません。
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監修者
天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター
相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
相続税申告のほか、終活・身元保証・死後事務・喪主代行まで自ら手がける。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」を運営し、
登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。
出典
- 法務省 高齢者等終身サポート事業者ガイドラインについて(令和6年6月)
- 消費者庁 高齢者等終身サポート事業に関する事業者ガイドラインについて(チェックリスト)
- 消費者庁 いわゆる「高齢者等終身サポート事業」の利用に関する注意点
- 総務省行政評価局 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書(令和5年8月)
- 厚生労働省 身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて(平成30年4月27日)
- 厚生労働省 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン
※本記事の内容は2026年9月時点の情報に基づいています。実際の判断は個別の事情により異なりますので、必ず専門家にご相談ください。

