相次相続控除とは?10年以内に2回の相続で税額が引けます【計算例つき】
監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
公開日:2026年9月23日 最終更新日:2026年9月23日
【結論】10年以内に2回あれば引けます。ただし「1回目で相続税を納めていること」が条件です
相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)は、10年以内に相続が2回起きたとき、2回目の相続税から一定額を差し引ける制度です。 短い間に続けて課税されることへの調整で、相続税法20条に定められています。
ただし、多くの方が期待する「父が亡くなり、その後に母が亡くなった」という形では、控除が0円になることが少なくありません。
理由は単純です。一次相続で母が納めた相続税がないと、引く元になる金額がないからです。 配偶者の税額軽減で母の税額が0円になっていると、相次相続控除も0円になります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 1回目の相続から10年以内に2回目の相続があること |
| 必須の条件 | 1回目の相続で、今回亡くなった方が相続税を納めていること |
| 減り方 | 1年経過するごとに10%ずつ減り、10年を超えると0円 |
| 対象になる人 | 2回目の相続の相続人。相続放棄した人・相続人以外の受遺者は対象外 |
| 申告書 | 第7表「相次相続控除額の計算書」 |
| もっとも効く形 | 祖父 → 父 → 子のように、配偶者の税額軽減が間に入らない2回 |
先に結論だけ知りたい方へ。 ご自身のケースで使えるかどうかは、この1問でほぼ決まります。
「今回亡くなった方は、その前の相続で相続税を実際に納めましたか?」
納めていない(0円だった)→ 相次相続控除は使えません
納めた → 10年以内なら使えます
相次相続控除とは?なぜこんな制度があるのか
同じ財産に、短い期間で2回続けて相続税がかかるのを和らげる制度です。
たとえば父が亡くなって母が財産を相続し、相続税を納めたとします。その2年後に母が亡くなると、同じ財産にもう一度相続税がかかります。
財産は増えていないのに、2年間で2回課税される。これは負担が重すぎる、という考え方から、2回目の税額から1回目に納めた税の一部を引くことになっています。
逆に、間隔が10年以上あいていれば調整は不要と考えます。だから10年で打ち切りです。
名前が似た制度と混同しないでください
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 相次相続控除 | 10年以内に2回相続があったときに、2回目の税額から引く制度(この記事のテーマ) |
| 二次相続 | 残された配偶者が亡くなったときの、2回目の相続そのもの。制度名ではありません |
| 数次相続 | 1回目の手続きが終わらないうちに相続人が亡くなり、相続が重なること |
| 代襲相続 | 相続人が被相続人より先に亡くなっていて、その子が代わりに相続人になること |
二次相続の全体像は 二次相続とは?配偶者が全部相続すると損する理由 で解説しています。 この記事は、そのうち「相次相続控除」だけを詳しく扱います。
手続きの途中で相続人が亡くなった場合は 数次相続とは?手続きの途中で相続人が亡くなったときの進め方 をご覧ください。
使える条件は3つだけです
次の3つをすべて満たすと使えます。
| # | 条件 | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 今回の相続の「相続人」であること | 相続放棄した人は対象外。相続人でない人への遺贈も対象外 |
| 2 | 今回の相続開始前10年以内に、前の相続があったこと | 前の相続で、今回亡くなった方が財産を取得していること |
| 3 | 前の相続で、今回亡くなった方に相続税が課されたこと | ここが最大の関門です |
条件1:相続放棄した人は使えません
相次相続控除は「相続人」のための制度です。
相続を放棄した人は、法律上はじめから相続人でなかったものとして扱われます。 そのため、生命保険金を受け取って相続税がかかる場合でも、相次相続控除は使えません。
遺言で財産をもらった相続人以外の人(受遺者)も対象外です。 たとえば孫や、お世話になった方への遺贈は対象になりません。
条件2:「10年以内」の数え方
前の相続の開始日(亡くなった日)から、今回の相続の開始日までです。
申告した日や、遺産分割が終わった日ではありません。
1年未満は切り捨てます。 ここを勘違いすると、控除額が変わります。
| 前の相続からの経過 | 計算に使う年数 |
|---|---|
| 11か月 | 0年 |
| 1年2か月 | 1年 |
| 3年11か月 | 3年(4年ではありません) |
| 9年11か月 | 9年(まだ1割は引けます) |
| 10年0か月 | 10年 → 控除できません |
9年11か月と10年1か月では、控除できるか・できないかが変わります。 1回目の相続の日付は、必ず戸籍や除籍で確認してください。
条件3:前の相続で相続税を納めていること
これが実務でいちばん引っかかる条件です。
前の相続で相続税が0円だった場合、引く元になる金額(次の章の A)が0円なので、相次相続控除も0円になります。
相続税が0円になるのは、こういう場合です。
- 遺産が基礎控除以下だった(3,000万円+600万円×法定相続人の数)
- 配偶者の税額軽減で、配偶者の税額が0円になった
- 小規模宅地等の特例などで、課税価格が基礎控除以下になった
とくに2つ目が重要です。 詳しく見ていきます。
【重要】父→母→子では、控除が0円になることが多いです
「父が亡くなり、10年以内に母が亡くなった。相次相続控除が使えるはず」 ——このご相談はとても多いのですが、実際には0円になることがほとんどです。
理由は、配偶者の税額軽減です。
母が法定相続分どおりに相続すると、母の納税は0円になります
配偶者の税額軽減は、「1億6,000万円」か「法定相続分」の、多いほうまで非課税にできる制度です。
配偶者の法定相続分は、子がいる場合は2分の1です。つまり、母が法定相続分どおりに相続したなら、その取得額は必ず軽減の枠の中に収まります。
遺産の額を変えて計算すると、こうなります(子2人・母は法定相続分の2分の1を取得)。
| 父の遺産 | 相続税の総額 | 母の算出税額 | 配偶者の税額軽減 | 母の納付額(A) |
|---|---|---|---|---|
| 8,000万円 | 350万円 | 175万円 | 175万円 | 0円 |
| 1億2,000万円 | 960万円 | 480万円 | 480万円 | 0円 |
| 2億円 | 2,700万円 | 1,350万円 | 1,350万円 | 0円 |
| 3億円 | 5,720万円 | 2,860万円 | 2,860万円 | 0円 |
| 4億円 | 9,220万円 | 4,610万円 | 4,610万円 | 0円 |
遺産が4億円あっても、母の納付額は0円です。
法定相続分で分けるかぎり、軽減の枠(1億6,000万円か法定相続分の多いほう)が、必ず取得額以上になるためです。
そして母の納付額が0円なら、相次相続控除も0円です。
ここが誤解されやすい点です。
「父のときに家族全体では相続税を納めた」——それでも足りません。
相次相続控除の元になるのは、今回亡くなった母が自分で納めた分だけです。
子が納めた分は、母の相次相続控除の元にはなりません。
配偶者の税額軽減のしくみは 配偶者の税額軽減 で詳しく解説しています。
母が「全部」相続した場合は、使えることがあります
母が法定相続分を超えて相続すると、超えた分に相続税がかかります。 そのとき初めて母の納付額(A)が出て、相次相続控除が使えるようになります。
母が100%相続した場合の計算です(子2人)。
| 父の遺産 | 軽減の枠 | 相続税の総額 | 配偶者の税額軽減 | 母の納付額(A) | 相次相続控除 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1億2,000万円 | 1億6,000万円 | 960万円 | 960万円 | 0円 | 使えません |
| 1億6,000万円 | 1億6,000万円 | 1,720万円 | 1,720万円 | 0円 | 使えません |
| 1億8,000万円 | 1億6,000万円 | 2,140万円 | 1,896万円 | 244万円 | 使えます |
| 2億円 | 1億6,000万円 | 2,700万円 | 2,160万円 | 540万円 | 使えます |
| 2億5,000万円 | 1億6,000万円 | 3,970万円 | 2,541万円 | 1,429万円 | 使えます |
| 3億円 | 1億6,000万円 | 5,720万円 | 3,051万円 | 2,669万円 | 使えます |
境目は、おおむね遺産1億6,000万円です。 これを超えて母が全部相続すると、母に納税が出ます。
ただし「控除が使えるから母が全部相続する」は逆効果です
ここで判断を間違えないでください。
母が全部相続すれば相次相続控除は使えるようになりますが、二次相続の財産が増える不利のほうが、はるかに大きいです。
- 二次相続では配偶者の税額軽減が使えません
- 法定相続人が1人減るので、基礎控除が600万円下がります
- 財産が合算されるので、適用される税率が上がります
相次相続控除で数百万円取り戻すために、二次相続で数千万円増やすのは損です。
「一次と二次の合計でいくらになるか」で判断してください。二次相続シミュレーション で、母の取得割合を動かしながら合計額を確かめられます。
控除に頼るより、先に打てる手があります。 二次相続対策は母が元気なうちに をご覧ください。
計算式(相続税法20条)
各相続人の相次相続控除額は、次の式で計算します。
控除額 = A × C ÷(B − A) × D ÷ C × (10 − E)÷ 10C ÷(B − A)が 100/100 を超えるときは、100/100 とします(1を上限とします)。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| A | 今回亡くなった方が、前の相続のときに課された相続税額(相続時精算課税分の贈与税額控除後。延滞税・利子税・加算税は含みません) |
| B | 今回亡くなった方が、前の相続のときに取得した純資産価額(取得財産+相続時精算課税適用財産 − 債務・葬式費用) |
| C | 今回の相続で、財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額 |
| D | 今回の相続で、その相続人が取得した純資産価額 |
| E | 前の相続から今回の相続までの年数(1年未満は切り捨て) |
式の意味を分解すると分かりやすくなります
3つの掛け算に分かれています。
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| A | 前回納めた税額。これが上限です |
| C ÷(B − A) | 前回の財産が、今回どれだけ残っているか。残っていれば1(全額) |
| D ÷ C | 今回の相続人どうしでの、取り分に応じた按分 |
| (10 − E)÷ 10 | 経過年数による目減り。1年ごとに10%減 |
D ÷ C は相続人全員分を足すと1になります。 つまり相続人全員の控除額を合計すると、A ×(残存割合)×(10 − E)÷ 10 になります。
C ÷(B − A)が1を超えるのは、よくあることです
B − A は「前回、税を払ったあとに手元に残った金額」です。
今回の相続財産(C)が、それより多ければ——たとえば、前回の相続のあとに財産が増えていたり、もともと自分の財産を持っていたりすれば——この割合は1を超えます。
1を超えたら1にします。 つまり A の全額が、経過年数に応じた割合で引けるということです。
実務では、この割合が1になるケースが多数です。
計算例:祖父 → 父 → 子(3年後)
相次相続控除がもっとも効くのは、配偶者の税額軽減が間に入らない2回の相続です。
祖父が亡くなり、その3年後に父が亡くなったケースで、実際に計算してみます。
前提
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一次相続 | 祖父が死亡。祖母は既に死亡。相続人は父と叔父の2人 |
| 祖父の遺産 | 1億2,000万円(父と叔父が半分ずつ) |
| 二次相続 | 3年後に父が死亡。父の配偶者(母)も既に死亡。相続人は子2人 |
| 父のもともとの財産 | 4,000万円 |
一次相続(祖父)の計算
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 遺産 | 1億2,000万円 |
| 基礎控除(3,000万円+600万円×2人) | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 7,800万円 |
| 相続税の総額 | 1,160万円 |
| 父の納付額(A) | 580万円 |
| 父の取得額(B) | 6,000万円 |
二次相続(父)の計算
父の財産は、こうなっています。
もともとの財産4,000万円 + 一次相続で取得6,000万円 − 一次で納めた相続税580万円 = 9,420万円
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 父の財産(C) | 9,420万円 |
| 基礎控除(3,000万円+600万円×2人) | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 5,220万円 |
| 相次相続控除を引く前の相続税の総額 | 683万円 |
相次相続控除の計算
| 記号 | 値 |
|---|---|
| A(父が一次で納めた相続税) | 580万円 |
| B(父が一次で取得した純資産) | 6,000万円 |
| C(今回の相続人全員の純資産合計) | 9,420万円 |
| D(子1人あたりの純資産) | 4,710万円 |
| E(経過年数) | 3年 |
C ÷(B − A) = 9,420万円 ÷(6,000万円 − 580万円)= 9,420 ÷ 5,420 = 1.738 → 1(上限)
D ÷ C = 4,710万円 ÷ 9,420万円 = 0.5
(10 − E)÷ 10 =(10 − 3)÷ 10 = 0.7
子1人あたりの控除額
580万円 × 1 × 0.5 × 0.7 = 203万円
子2人の合計
203万円 × 2 = 406万円
結果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 相次相続控除を引く前の相続税 | 683万円 |
| 相次相続控除 | △406万円 |
| 実際に納める相続税 | 277万円 |
683万円が277万円になりました。約6割の軽減です。
経過年数だけを動かすと
同じケースで、一次相続から二次相続までの年数だけを変えてみます。
| 経過年数 | 相次相続控除 | 二次相続の納付額 |
|---|---|---|
| 0年(1年未満) | 580万円 | 103万円 |
| 1年 | 522万円 | 161万円 |
| 2年 | 464万円 | 219万円 |
| 3年 | 406万円 | 277万円 |
| 4年 | 348万円 | 335万円 |
| 5年 | 290万円 | 393万円 |
| 6年 | 232万円 | 451万円 |
| 7年 | 174万円 | 509万円 |
| 8年 | 116万円 | 567万円 |
| 9年 | 58万円 | 625万円 |
| 10年 | 0円 | 683万円 |
1年あたり58万円ずつ、控除額が減っていきます。
そして10年を超えると一気に0円です。9年11か月と10年1か月では、58万円の差が出ます。
申告書のどこに書くか:第7表
相次相続控除は「第7表 相次相続控除額の計算書」で計算します。
| 申告書 | 書く内容 |
|---|---|
| 第7表 | 相次相続控除額の計算(A〜E を記入し、各相続人の控除額を出します) |
| 第1表 | 第7表で出した控除額を、各相続人の「相次相続控除額」の欄へ転記します |
税額控除を引く順番が決まっています
相続税の税額控除は、引く順番が決まっています。
| 順番 | 控除 |
|---|---|
| 1 | 贈与税額控除(暦年課税分) |
| 2 | 配偶者の税額軽減 |
| 3 | 未成年者控除 |
| 4 | 障害者控除 |
| 5 | 相次相続控除 |
| 6 | 外国税額控除 |
| 7 | 相続時精算課税分の贈与税額控除 |
相次相続控除は5番目です。 その前の控除で税額が0円になっていれば、相次相続控除を使う場面はありません。
なお、相続税額の2割加算の対象になる方でも、相次相続控除は使えます。 2割加算をしたあとの税額から引きます。詳しくは 相続税額の2割加算 をご覧ください。
必要な資料は「前の相続の申告書」です
A と B は、前の相続の申告書がないと分かりません。
| 資料 | どこを見るか |
|---|---|
| 前の相続の相続税申告書 第1表 | 今回亡くなった方の納付すべき税額(A)と課税価格(B) |
| 前の相続の除籍謄本 | 前の相続の開始日(E の起算日) |
| 今回の遺産分割協議書 | 各相続人の取得財産(D) |
前の相続の申告書が見つからない場合は、税務署の申告書等閲覧サービスを利用できます。相続人であれば、過去に提出した申告書を閲覧できます。
前の相続を税理士に依頼していた場合は、その事務所に控えが残っていることが多いです。 まずそちらに問い合わせてください。
数次相続では、ほぼ必ず使えます
数次相続——1回目の手続きが終わらないうちに相続人が亡くなった場合——は、相次相続控除が効きやすい形です。
理由は2つあります。
1. 間隔が極端に短い
数か月から1〜2年というケースが多く、(10 − E)÷ 10 がほぼ1になります。
2. 亡くなった相続人が配偶者でないことが多い
父の相続の途中で長男が亡くなった、というような場合、長男には配偶者の税額軽減がありません。 そのため A が出ます。
ただし注意があります。数次相続では、そもそも1回目の申告がまだ済んでいないことが多いです。 その場合は、1回目の申告を先に確定させないと A が決まりません。
数次相続の進め方は 数次相続とは?手続きの途中で相続人が亡くなったときの進め方 で解説しています。
こんなときはどうなるか
前の相続で「小規模宅地等の特例」を使って0円だった
相次相続控除は使えません。 納めた相続税が0円だからです。
ただし、二次相続でも小規模宅地等の特例が使えるかどうかは、それとは別に必ず確認してください。こちらのほうが金額が大きくなります。小規模宅地等の特例 をご覧ください。
前の相続で修正申告をして、税額が増えた
増えたあとの金額が A になります。 当初申告の額ではありません。
逆に更正の請求で減った場合は、減ったあとの額です。
前の相続で延滞税や加算税を払った
A には含めません。 本税(相続税額)だけです。
3回続けて相続が起きた
それぞれの相続で、直前の相続との関係で判定します。
祖父 → 父 → 子 → 孫と続いた場合、孫の相続では「子が父の相続で納めた税額」が A になります。祖父の相続で父が納めた税額は関係ありません。
前の相続が10年より前で、その間に別の相続があった
10年以内の相続だけが対象です。 いちばん直前の相続との関係で見ます。
前の相続で相続時精算課税を使っていた
B には、相続時精算課税を適用した財産の価額も含めます。 また A は、相続時精算課税分の贈与税額控除をしたあとの金額です。
相続時精算課税制度 も併せてご確認ください。
【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】
東京23区では、相次相続控除が「使えるはずなのに使われていない」ケースが目立ちます。
理由は2つあります。
1. 前の相続の申告書が見つからない
新宿区・中野区・世田谷区は建て替えや住み替えで住所が変わる方が多く、10年前の書類が残っていないことがよくあります。
前の相続を依頼した税理士が分からない場合は、管轄の税務署で申告書等閲覧サービスを使ってください。
| お住まい | 管轄の税務署 |
|---|---|
| 新宿区(西新宿・高田馬場・大久保など) | 新宿税務署 |
| 新宿区(四谷・神楽坂・早稲田など) | 四谷税務署 |
| 中野区 | 中野税務署 |
| 世田谷区(世田谷・下馬など) | 世田谷税務署 |
| 世田谷区(玉川・二子玉川など) | 玉川税務署 |
| 世田谷区(北沢・下北沢など) | 北沢税務署 |
新宿区は新宿税務署と四谷税務署に分かれ、世田谷区は3つに分かれます。 詳しくは 東京都の税務署の管轄 をご覧ください。
2. 地価が高く、母に納税が出やすい
23区では、自宅だけで相続税評価が1億円を超えることが珍しくありません。
前の相続で母が法定相続分を超えて相続していれば、母に納税が出て、相次相続控除が使える可能性があります。
| 路線価 | 面積 | 土地の相続税評価 |
|---|---|---|
| 60万円/㎡ | 100㎡ | 6,000万円 |
| 80万円/㎡ | 120㎡ | 9,600万円 |
| 100万円/㎡ | 110㎡ | 1億1,000万円 |
| 120万円/㎡ | 150㎡ | 1億8,000万円 |
路線価の調べ方は 東京の路線価 で解説しています。
「前回は母が自宅も預金も全部相続した」というご家庭は、相次相続控除が使える可能性が高いです。 前の相続の申告書を探してみてください。
よくある質問
Q1. 父が亡くなって5年後に母が亡くなりました。相次相続控除は使えますか
父の相続で、母が相続税を実際に納めていれば使えます。
母が法定相続分(2分の1)どおりに相続していた場合、配偶者の税額軽減で母の税額は0円になっているはずです。その場合は使えません。
まず父の相続税申告書の第1表で、母の「納付すべき税額」が0円かどうかを確認してください。
Q2. 父の相続では家族全体で1,000万円納めました。これは使えませんか
母が自分で納めた分だけが対象です。
子が納めた分は、母の相次相続控除の元にはなりません。第1表で、母の欄の納付額をご確認ください。
Q3. 経過年数が9年11か月です。使えますか
使えます。 1年未満を切り捨てて9年として扱い、(10 − 9)÷ 10 = 1割が引けます。
10年0か月になると0円です。1回目の相続開始日を戸籍で正確に確認してください。
Q4. 相続を放棄しても使えますか
使えません。 相次相続控除は相続人のための制度で、放棄した人は相続人でなかったものとして扱われます。
生命保険金を受け取って相続税がかかる場合でも、対象外です。
Q5. 孫に遺贈した場合はどうなりますか
相続人でない孫は対象外です。
ただし、代襲相続で孫が相続人になっている場合は、相続人なので対象になります。代襲相続 をご覧ください。
Q6. 相次相続控除を使うために、母が全部相続したほうがよいですか
おすすめしません。
母が全部相続すると相次相続控除は使えるようになりますが、二次相続で財産が増え、配偶者の税額軽減も使えず、基礎控除も600万円下がります。 合計では損になることがほとんどです。
二次相続シミュレーション で、一次と二次の合計額を比べてから決めてください。
Q7. 申告期限を過ぎてから気づきました。あとから使えますか
申告期限から5年以内であれば、更正の請求で還付を受けられる可能性があります。
気づいた時点でご相談ください。相続税の還付 で手続きを解説しています。
Q8. 前の相続の申告書が見つかりません
税務署の申告書等閲覧サービスを利用できます。 相続人であれば、過去に提出した申告書を閲覧できます。
前の相続を税理士に依頼していた場合は、その事務所に控えが残っていることが多いので、まずそちらに問い合わせてください。
まとめ
- 相次相続控除は、10年以内に2回相続があったとき、2回目の相続税から引ける制度です(相続税法20条)
- 条件は3つ。相続人であること/10年以内/前の相続で今回亡くなった方が相続税を納めていること
- 3つ目が最大の関門です。 父→母→子では、配偶者の税額軽減で母の税額が0円になり、控除も0円になることが多いです
- 母が法定相続分どおりに相続した場合、遺産が4億円あっても母の納付額は0円になります
- 母が全部相続した場合は、遺産おおむね1億6,000万円超で母に納税が出て、控除が使えるようになります
- ただし控除を使うために母が全部相続するのは逆効果です。一次と二次の合計で判断してください
- 式は A ×(C ÷(B − A))×(D ÷ C)×(10 − E)÷ 10。C ÷(B − A)は1が上限です
- E は1年未満切り捨て。 9年11か月なら1割引けますが、10年0か月なら0円です
- 祖父→父→子のように配偶者の税額軽減が間に入らない2回では、よく効きます(例では683万円→277万円)
- 申告書は第7表。税額控除を引く順番では5番目です
- 数次相続ではほぼ必ず使えます(間隔が短く、亡くなった相続人が配偶者でないことが多いため)
監修者
天尾 信之(あまお のぶゆき)
税理士/東京税理士会 登録番号 第136528号
税理士法人Ambitious 代表社員
相続・事業承継の相談実績3,000件超。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」(登録者4.2万人)で、相続の実務を発信しています。
ご相談のご案内
前の相続の申告書をお持ちいただければ、相次相続控除が使えるかどうかは、その場で判断できます。
見るのは第1表の1か所——今回亡くなった方の「納付すべき税額」です。ここが0円でなければ、10年以内の相続なら使えます。
あわせて、二次相続の分け方そのものもご一緒に検討します。相次相続控除で戻る額より、分け方で変わる額のほうが大きいことが多いためです。
料金は料金表をご覧ください。ご相談はお問い合わせから承ります。
出典
- 国税庁タックスアンサー No.4168「相次相続控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4168.htm
- 国税庁タックスアンサー No.4158「配偶者の税額の軽減」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
- 国税庁タックスアンサー No.4155「相続税の税率」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
- 国税庁タックスアンサー No.4157「相続税額の2割加算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm
- 国税庁「相続税の申告書等の様式」(第7表 相次相続控除額の計算書)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/r06.htm
- 国税庁「申告書等閲覧サービスの実施について」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-renraku/sonota/050615/index.htm
- 相続税法第20条(相次相続控除)

