相続税を払いすぎた?更正の請求で還付を受ける方法と期限

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年8月9日 最終更新日:2026年9月1日


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【相続税】知らずに損する人続出…相続税の還付で取り戻せるお金があるかもしれません
相続税を納めすぎていた場合に、何を確認すればよいのかを解説しています。
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【結論】相続税は、申告期限から5年以内なら取り戻せます

相続税を納めすぎていた場合、「更正の請求」という手続きで税務署に返してもらえます。期限は原則として相続税の法定申告期限から5年以内。相続税の申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10か月」ですので、実質的には相続が起きてから約5年10か月が期限です。払いすぎの原因は、そのほとんどが土地の評価にあります。

ポイント内容
手続きの名前更正の請求
期限法定申告期限から5年(相続開始から約5年10か月)
払いすぎの主な原因土地の評価(預貯金・上場株式では差が出ません)
誰が行うか申告した相続人本人。税理士に依頼することもできます
認められた場合納めすぎた税金+還付加算金が戻ります
認められないこと小規模宅地等の特例を、後から追加で適用すること(原則不可)

税務署から「払いすぎですよ」と連絡が来ることはありません。 納めすぎに気づけるのは、申告した側だけです。



更正の請求とは?

更正の請求とは、いったん納めた税金が多すぎたときに、税務署へ「返してください」と正式に申し出る手続きです。

税金を増やす方向の手続き(修正申告)はよく知られています。しかし減らして返してもらう手続きがあることは、あまり知られていません。

税務署は、申告額が少なければ調査に来ます。ところが多すぎても、何も言ってきません。 申告された金額をそのまま受け取るだけです。気づいて動かなければ、そのまま期限を迎えます。


なぜ払いすぎが起きるのか

相続税の申告で、税理士によって結果が変わるのは土地だけです。

財産の種類税理士による差理由
預貯金出ません残高証明書の金額で確定します
上場株式出ません定められた算定方法で一意に決まります
生命保険金出ません支払通知書の金額です
土地大きく出ます評価の方法と、適用する補正の判断で変わります

土地の評価は、現地を見なくても、役所で調べなくても、申告書は完成してしまいます。 路線価に面積を掛ければ、数字そのものは出るからです。

しかし実際の土地には、価値を下げる事情があります。それを拾ったかどうかで、評価額は変わります。

相続税の申告を専門にしていない事務所は珍しくありません

日本の税理士の多くは、会社を顧客とする法人税の申告を主な業務にしています。相続税の申告をほとんど経験しないまま実務を続けている税理士も、決して少なくありません。

土地の減額要因は、知らなければ拾えません。手を抜いたわけではなく、知識と経験の問題です。


還付されやすい土地の特徴

次のいずれかに当てはまる土地をお持ちだった場合、見直しの価値があります。

土地の状況内容
形がいびつ三角形、旗竿地、L字型など。不整形地としての補正が使えます
間口が狭い/奥行きが長いそれぞれ補正率が定められています
私道に面している/私道を持っている私道は評価が下がり、不特定多数が通行する場合は評価しません
前面道路の幅が4m未満セットバックが必要な部分は70%減額です
敷地に高低差・崖があるがけ地補正率が使えます
高圧線が上を通っている建築制限の内容に応じて減額されます
騒音・振動・悪臭・線路沿いなど利用価値が著しく低下している宅地として、10%の減額が認められる場合があります
人に貸している建物が建っている貸家建付地として評価が下がります
面積が大きい(三大都市圏で500㎡以上など)地積規模の大きな宅地の評価が使える場合があります
墓地や斎場が隣接している利用価値の低下として考慮される場合があります

「うちは普通の四角い土地だから関係ない」と思われるかもしれません。ですが都市部の土地で、上のどれにも当てはまらないほうが珍しいというのが実感です。


期限は3種類あります

更正の請求の期限は、理由によって変わります。 ここを取り違えると、権利があっても間に合いません。

#場面期限根拠
1計算間違い・評価のしすぎ(最も多い)法定申告期限から5年国税通則法 第23条第1項
2後から事情が変わった(下記参照)その事由を知った日の翌日から4か月相続税法 第32条
3判決の確定など、後発的な事由その事由が生じた日の翌日から2か月国税通則法 第23条第2項

「2」に当たる主な場面

  • 未分割だった財産の分け方が決まった
  • 認知や相続人の廃除などで、相続人に異動があった
  • 遺留分侵害額の支払額が確定した
  • 遺言書が後から見つかった/遺贈が放棄された

未分割のまま申告された方は、特にご注意ください。
分割が決まってから 4か月です。5年ではありません。
このとき、申告期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出していることが前提になります。


認められないこともあります

すべてが取り戻せるわけではありません。 ここは正直にお伝えします。

小規模宅地等の特例は、後から追加できません

小規模宅地等の特例は、当初の申告で「この土地に適用します」と選んで申告することが要件です。

  • ❌ 申告のときに使っていなかった土地へ、後から適用する
  • ❌ 特例を適用する土地を、あとから有利なほうへ選び直す

いずれも原則として認められません。使えたのに使わなかった時点で終わりです。 更正の請求では取り返せません。

(未分割で申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出していた場合は例外です)

評価に「絶対の正解」があるわけではありません

土地の評価には判断が入ります。こちらが正しいと考えても、税務署が認めないことはあります。 「請求すれば必ず戻る」ものではない、という前提でご検討ください。


手続きの流れ

  1. 申告書の控えと、土地の評価明細書をご用意ください(これがないと検証できません)
  2. 評価内容を精査します(路線価・補正の適用漏れ・特例の可否)
  3. 現地を確認します(間口、接道、高低差、周辺環境)
  4. 役所で法規制を調査します(道路の種別と幅員、都市計画、建築制限)
  5. 還付の見込み額をお伝えします(ここで、進める/進めないをご判断いただけます)
  6. 更正の請求書と根拠資料を作成し、税務署へ提出します
  7. 税務署の審査(数か月かかります)
  8. 還付(納めすぎた税金+還付加算金)

2〜5の段階で「還付は難しい」と判断されることもあります。 その場合は、その旨を正直にお伝えします。

還付加算金は、納めすぎた税金に対して加算される利息のようなものです。
割合は年によって変わります。


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

新宿区は、東京のなかでも土地の評価が難しい区です。 そして評価が難しい土地ほど、払いすぎが起きています。

エリア評価が難しい理由
西新宿・歌舞伎町・新宿三丁目日本有数の商業地。用途と容積率が入り組み、貸家建付地も多い
落合・中井・下落合起伏があり、擁壁や高低差のある宅地が多い(がけ地補正の検討対象)
神楽坂・市谷・若松町坂と細い路地。4m未満の道路が多く、セットバックの対象になりやすい
区内各所戦前から続く借地・私道が残っています

中野区・世田谷区も同様に、狭あい道路と高低差の多い区です。

これらはすべて、現地に行かなければ分かりません。 路線価だけを見て申告した場合、拾えていない可能性があります。

詳しくは 新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために をご覧ください。


よくある質問

Q1. 相続税の還付は、いつまで請求できますか。

A. 原則として、相続税の法定申告期限から5年以内です。 相続税の申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月ですので、実質的には相続開始から約5年10か月が期限になります。ただし、未分割だった財産の分割が決まった場合などは、その事由を知った日の翌日から4か月以内と、期限が別に定められています。

Q2. 相続税を払いすぎているかどうかは、どうすれば分かりますか。

A. 申告書の控えと土地の評価明細書を見れば、おおよその見当がつきます。 確認するのは、土地の評価に補正が適用されているかどうかです。不整形地補正、間口狭小補正、奥行長大補正、セットバック、がけ地補正といった記載がまったくない場合は、見直しの余地がある可能性があります。

Q3. 申告を頼んだ税理士に、もう一度見てもらえばよいのでは。

A. 同じ方が見直しても、同じ結論になりやすいのが実際のところです。 評価の考え方そのものが結果を左右するためです。セカンドオピニオンとして別の税理士に検証を依頼される方が多いのは、そのためです。前の税理士に知られることはありません。

Q4. 還付されなかった場合、費用はどうなりますか。

A. 費用の考え方は事務所によって異なります。 当センターでは、まず申告書を拝見して還付の見込みをお伝えし、そのうえで進めるかどうかをご判断いただく形をとっています。見込みが薄い場合は、その旨を正直に申し上げます。料金は料金表をご覧ください。

Q5. 更正の請求をすると、税務調査が来ませんか。

A. 更正の請求そのものが調査の引き金になるわけではありません。 ただし税務署は請求内容を審査しますので、根拠資料をきちんと揃えて提出することが重要です。根拠が曖昧なまま請求すると、認められないだけでなく、他の論点にも目が向くことになります。

Q6. 小規模宅地等の特例を使い忘れていました。今から使えますか。

A. 原則として使えません。 この特例は、当初の申告で適用を選んで申告する必要があるためです。使えたのに使わなかった場合、更正の請求では取り返せません。ただし、未分割のまま申告し「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出していた場合は、分割が決まった後に適用できます。

Q7. 遠方に住んでいますが、依頼できますか。

A. できます。 当センターは全国からご相談をお受けしており、面談はZoomでも行っています。申告書の控えはデータでお送りいただけます。ただし土地の現地確認が必要な場合は、実際に伺います。

Q8. 相続人が複数います。全員で請求する必要がありますか。

A. 更正の請求は、各相続人がそれぞれ行う手続きです。 ただし土地の評価が変われば全員の税額に影響しますので、実務上は相続人の皆さまにご説明したうえで、まとめて進めるのが通常です。


まとめ

  • 相続税を納めすぎていた場合、更正の請求で取り戻せます
  • 期限は原則として法定申告期限から5年(相続開始から約5年10か月)
  • 未分割の財産の分割が決まった場合などは、その事由を知った日の翌日から4か月と別扱いです
  • 払いすぎの原因は、そのほとんどが土地の評価です。預貯金や上場株式では差は出ません
  • 形がいびつ・道が狭い・高低差がある・私道がある土地は、見直しの価値があります
  • 小規模宅地等の特例を後から追加適用することは、原則できません
  • 税務署から「払いすぎです」と連絡が来ることはありません

ご相談のご案内

申告書の控えをお手元にご用意のうえ、ご連絡ください。 まず還付の見込みをお伝えし、そのうえで進めるかどうかをご判断いただけます。見込みが薄い場合は、その旨を正直に申し上げます。

期限が5年である以上、気づいた時点で早く動いたほうが、選択肢は多く残ります。

📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
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監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
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出典

※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。実際の判断は個別の事情により異なりますので、必ず税理士にご相談ください。



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