相続放棄の費用|自分でやれば数千円。司法書士・弁護士に頼むといくらか

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.5万人)。

公開日:2026年10月2日 最終更新日:2026年10月2日


【結論】裁判所に払うのは、1人あたり800円です

相続放棄で家庭裁判所に納めるお金は、これだけです。

金額
収入印紙800円分(申述人1人につき)
連絡用の郵便切手裁判所ごとに異なります

出典:裁判所「相続の放棄の申述」

「相続放棄は高い」というイメージは、裁判所に払う分の話ではありません。
高くなるのは、専門家に頼んだときの報酬です。

そして実務でいちばん効くのは、人数です。
収入印紙は申述人1人につき800円。兄弟4人で放棄するなら、印紙だけで3,200円になります。


全部でいくらかかるか

自分で手続きする場合の内訳です。

項目目安備考
収入印紙800円 × 人数裁判所に納めます
連絡用の郵便切手数百円〜千円程度裁判所ごとに違います。必ず確認してください
被相続人の住民票除票または戸籍附票市区町村の手数料1通
申述人の戸籍謄本市区町村の手数料1通
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)市区町村の手数料続柄により必要な範囲が変わります
郵送で出す場合の送料実費書留などを使うかで変わります

戸籍の交付手数料は、お住まいの市区町村でご確認ください。
本ページでは金額を書いていません。自治体や証明書の種類で変わるためです。

郵便切手の金額も、裁判所ごとに違います。
申述先の家庭裁判所のページでご確認ください。
なお、郵便料は保管金として電子納付することもできます(インターネットバンキングやATM)。
切手を買いに行かずに済みます。

子が1人で放棄する、戸籍も1〜2通で足りる——このくらいなら、数千円で終わります。


人数が増えると、どこが増えるか

「兄弟でまとめて放棄したい」というご相談はよくあります。

増えるもの増えないもの
申述人が増える収入印紙(1人800円)、申述書、申述人の戸籍被相続人の戸籍(同じ書類は1通で足ります)

被相続人側の書類は、使い回せます。
裁判所の案内にも「同じ書類は1通で足ります」と明記されています。

さらに、同じ被相続人について先に相続放棄の事件が進んでいる場合、
その事件で提出済みの書類は不要
です。
兄弟が別々のタイミングで放棄するときは、2人目以降が安く済みます。

ただし、申述は1人ずつ行います。「まとめて1件」にはなりません。
書類の重複が減るだけで、印紙は人数分です。


専門家に頼むといくらか

ここからは報酬の話です。当センターの料金ではありません。

依頼先相場できること
司法書士3万円〜5万円程度書類の作成と収集。裁判所とのやりとりはご本人
弁護士5万円〜10万円程度代理人として対応。債権者との交渉も含められます

金額に幅があるのは、事務所によって違うからです。
「相続人の人数」「3か月を過ぎているか」「戸籍の収集を含むか」で変わります。
必ず見積もりを取ってから決めてください。

どちらに頼むかの目安

こんなとき向いている先
期限内。書類を作るのが面倒なだけ自分でやるか、司法書士
戸籍が多い・相続人が多い司法書士
3か月を過ぎている弁護士
債権者から督促が来ている弁護士
ほかの相続人と揉めている弁護士

→ 相続は誰に頼むか|専門家の選び方

当センターは税理士法人です。相続放棄の代理はできません。
ご相談いただいた場合は、提携する司法書士・弁護士をご紹介します。
紹介料はいただいていません。


費用より、期限のほうが重要です

相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。

ここを過ぎると、費用の話ではなくなります。
過ぎてからの申述は、認められないことがあります。
認めてもらうには事情の説明が要り、そこで弁護士費用がかかります。

つまり、急いで自分でやったほうが、結果的に安く済みます。

期限内期限後
難易度書類を揃えて出すだけなぜ知らなかったかの説明が要る
費用数千円〜弁護士費用がかかることが多い
結果ほぼ受理されます認められないことがあります

→ 相続放棄の3か月ルール

3か月に間に合わないときは、期間を延ばす申立てができます。
「相続の承認又は放棄の期間の伸長」といいます。
財産の調査が終わらない場合は、まずこちらを検討してください。


お金をかけずに済ませるコツ

① 戸籍は「広域交付」でまとめて取る

令和6年(2024年)3月から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍を請求できます。
各地に請求して郵送でやりとりする手間と送料が減ります。

ただし制限があります。取れる範囲や請求できる人が決まっています。

→ 戸籍の集め方|出生から死亡までをたどる手順

② 郵便料は電子納付にする

保管金として、インターネットバンキングやATMから納められます。
切手を買いに行く必要がありません。裁判所の案内に書かれています。

③ 兄弟で放棄するなら、順番を決める

被相続人の戸籍は1通で足ります。
先に1人が出し、その事件で提出済みの書類は2人目以降は不要です。

④ 法定相続情報一覧図が使えるか聞く

戸籍に代えて「法定相続情報一覧図の写し」を出せる場合があります。
ただし裁判所に確認が必要です。先に電話で聞いてください。

→ 法定相続情報一覧図とは


放棄する前に、確かめてほしいこと

費用が安いからといって、安易に選ぶ手続きではありません。

① 本当に債務超過か

プラスの財産も一緒に手放します。
借金のほうが多いと思い込んでいて、実は自宅があった——というケースがあります。

→ 借金を相続したらどうなる?限定承認という選択肢

② 次の順位の人に移ります

あなたが放棄すると、相続権は次の順位へ移ります。
子が全員放棄すれば親へ、親がいなければ兄弟姉妹へ。

何も知らされていない親戚に、ある日督促が届きます。
放棄するなら、次の順位の方に先に伝えてください。

③ 財産に手をつけない

預金を引き出す、不動産を売る、遺品を処分する。
これらは「相続した」とみなされ、放棄できなくなることがあります。

④ 放棄しても、管理の責任が残ることがあります

使わない土地は、放棄しても誰も引き取らないことがあります。
相続土地国庫帰属制度という選択肢もありますが、条件と負担金があります。

→ 相続土地国庫帰属制度


手続きの流れ

やること期限
1財産と債務を調べる早いほどよい
2次の順位の相続人に伝える早いほどよい
3戸籍・住民票除票を集める—
4申述書を書く(裁判所の書式があります)—
5被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ提出3か月以内
6照会書が届いたら回答する届いてから
7相続放棄申述受理通知書を受け取る—

提出先は、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所です。
あなたの住所ではありません。

→ 相続手続きの全体像


よくある質問

Q1. 相続放棄にかかる費用はいくらですか

家庭裁判所に納めるのは、収入印紙800円(申述人1人につき)と連絡用の郵便切手です。
郵便料は裁判所ごとに異なります。
これに戸籍などの取得費用が加わり、自分でやれば数千円で収まることが多いです。

Q2. 兄弟4人でまとめて放棄すると、いくらですか

収入印紙は1人800円なので、4人で3,200円です。
ただし被相続人の戸籍は1通で足ります。書類代は人数分になりません。

Q3. 兄弟で「1件にまとめる」ことはできますか

できません。申述は1人ずつです。
ただし同じ被相続人について先行する事件があれば、
提出済みの書類は2人目以降は不要になります。

Q4. 郵便切手はいくら必要ですか

裁判所ごとに違います。申述先の家庭裁判所のページでご確認ください。
なお、保管金として電子納付することもできます(切手を買わずに済みます)。

Q5. 司法書士に頼むといくらですか

3万円〜5万円程度が相場です。事務所によって違います。
書類の作成と収集を任せられますが、裁判所とのやりとりはご本人です。

Q6. 弁護士に頼むといくらですか

5万円〜10万円程度が相場です。
代理人として動けるので、債権者との交渉や、
3か月を過ぎているケースではこちらになります。

Q7. 自分でできますか

期限内で、相続人が少なく、戸籍も複雑でないなら、できます。
裁判所のサイトに申述書の書式と記載例があります。

Q8. 3か月を過ぎてしまいました

まず急いでご相談ください。
過ぎてからの申述は認められないことがあり、
認めてもらうには事情の説明が必要です。弁護士の領域です。

Q9. 財産の調査が終わりません

「相続の承認又は放棄の期間の伸長」の申立てができます。
3か月に間に合わないと分かった時点で検討してください。

Q10. 相続放棄の相談はできますか

当センターは税理士法人のため、相続放棄の代理はできません。
ご相談の内容をお聞きしたうえで、提携する司法書士・弁護士をご紹介します。
紹介料はいただいていません。


まとめ

  • 家庭裁判所に納めるのは収入印紙800円(申述人1人につき)+連絡用の郵便切手
  • 郵便料は裁判所ごとに違います。電子納付もできます
  • 戸籍代を入れても、自分でやれば数千円で収まることが多い
  • 人数が増えると増えるのは印紙。被相続人の戸籍は1通で足ります
  • 司法書士は3万〜5万円、弁護士は5万〜10万円が相場(事務所により違います)
  • 3か月を過ぎると、費用の話ではなくなります。急いで出すのがいちばん安い
  • 放棄する前に、本当に債務超過かと次の順位の人への連絡を確かめてください

費用を調べる時間があるなら、まず期限を確認してください。
3か月は、思っているより早く来ます。


監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」を運営し、
登録者45,000人・動画329本(2026年10月時点)。


出典

※本ページの内容は2026年10月2日時点の情報です。制度は改正されることがあります。
※司法書士・弁護士の報酬は各事務所が定めるものです。記載は目安であり、
 当センターが保証するものではありません。必ず見積もりをご確認ください。

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