相続手続きは誰に頼むべき?税理士・司法書士・行政書士・弁護士の違いと費用【判断チャート付き】
監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超/税務調査率1%未満。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
公開日:2026年8月9日 最終更新日:2026年8月10日
【結論】まず「相続税がかかるか」「不動産があるか」「揉めているか」の3つで決まります
相続手続きの依頼先は、専門家の肩書きで選ぶものではありません。あなたの相続に「何が含まれているか」で決まります。
そして正直に申し上げると、この3つがすべて「いいえ」なら、専門家に頼まず自分で手続きできます。 費用はゼロです。
| 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| ① 遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)を超える? | 税理士が必要 | 相続税の心配なし |
| ② 不動産(土地・建物)がある? | 司法書士が必要(相続登記は義務) | 登記の必要なし |
| ③ 相続人の間で揉めている? | 弁護士が必要 | 交渉の必要なし |
| ④ 書類作成や戸籍集めに手が回らない? | 行政書士が対応可能 | 自分で可能 |
①〜④がすべて「いいえ」なら、ご自身で手続きできます。
逆に複数が「はい」になる場合は、窓口を一本化できる事務所に相談したほうが結果的に安く、早く終わります(理由は後述)。
📺 この記事の内容を動画でも解説しています
「相続手続きは誰に頼むべき?一番安く済むケースをこっそり教えます」(32万回再生)
5つの依頼先の違いを一覧で比較
| 依頼先 | 独占業務(その人しかできないこと) | 相続での主な役割 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 税理士 | 税務代理・税務書類の作成 | 相続税の申告、財産評価、生前対策 | 遺産総額の0.5〜1.0%程度 |
| 司法書士 | 登記申請の代理 | 相続登記(不動産の名義変更)、法定相続情報一覧図 | 5〜15万円程度 |
| 行政書士 | 官公署へ提出する書類の作成 | 遺産分割協議書の作成、戸籍収集、預貯金・自動車の手続き | 5〜30万円程度 |
| 弁護士 | 法律事務全般(紛争の代理交渉) | 揉めている遺産分割の代理、調停・審判 | 着手金+報酬金(経済的利益の10%前後) |
| 銀行・信託銀行 | (独占業務なし) | 遺産整理業務の窓口。実務は提携専門家が行う | 遺産総額の1〜2%、最低100万円〜が一般的 |
費用は事務所によって差があります。上記は一般的な目安としてご覧ください。
銀行の遺産整理サービスについて
銀行に相談すると「遺産整理業務」を案内されることがあります。
安心感はありますが、費用は最も高くなる傾向があります。
理由は、銀行自身が税理士や司法書士の業務を行えないためです。
銀行が窓口となり、実際の作業は提携する専門家に依頼します。
その中間マージンが上乗せされるため、専門家に直接依頼するより高くなるのが一般的です。
「銀行に頼めば全部やってくれる」というのは事実ですが、その分の対価は確実に発生します。
【正直な話】専門家に頼まなくていいケース
相続手続きは、条件が揃えばご自身でできます。 そして実際、当センターにご相談いただいた方の中にも
「これならご自身でできますよ」とお伝えするケースがあります。
自分でできる可能性が高いケース
- 遺産の総額が基礎控除以下(相続税がかからない)
- 不動産がない(預貯金だけ)
- 相続人が1〜2人で、全員が分け方に合意している
- 遺言書がない、または内容に争いがない
- 平日に役所や銀行へ行く時間が取れる
この条件なら、必要なのは戸籍を集めて、遺産分割協議書を作り、銀行で手続きすることだけです。
書式は各銀行が用意しており、区役所も相談に応じてくれます。
この場合、専門家に依頼する必要はありません。 費用をかける理由がないからです。
ただし、次のいずれかに当てはまるなら要注意
| 状況 | なぜ自分では難しいか |
|---|---|
| 不動産がある | 相続登記は2024年4月から義務化。3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象。手続きも複雑 |
| 相続税がかかりそう | 土地の評価は専門知識が必要。評価を誤ると払いすぎになるが、税務署は教えてくれない |
| 相続人が3人以上、または疎遠な相続人がいる | 全員の署名押印が必要。連絡調整だけで数か月かかることがある |
| 前妻の子・認知した子・養子がいる | 相続人の確定に戸籍の広範な調査が必要 |
| 相続人に認知症の方や未成年者がいる | 成年後見人・特別代理人の選任が必要で、家庭裁判所の手続きが伴う |
| 借金がある可能性 | 相続放棄は3か月以内。判断を誤ると借金を背負う |
判断チャート:あなたはどこに相談すべきか
【スタート】相続が発生した
↓
Q1. 遺産の総額は「3,000万円+600万円×相続人の数」を超えますか?
※不動産は路線価×面積で概算してください
↓
├─ 超える → 【税理士へ】相続税の申告が必要です(10か月以内)
│ ↓ さらに
│ Q2. 不動産はありますか?
│ ├─ ある → 司法書士による相続登記も必要
│ └─ ない → 税理士のみでOK
│
└─ 超えない
↓
Q3. 不動産はありますか?
├─ ある → 【司法書士へ】相続登記が必要です(3年以内・義務)
└─ ない
↓
Q4. 相続人の間で揉めていますか?
├─ 揉めている → 【弁護士へ】代理交渉ができるのは弁護士だけです
└─ 揉めていない
↓
Q5. 戸籍集めや書類作成をする時間・気力はありますか?
├─ ない → 【行政書士へ】書類作成を代行できます
└─ ある → 【ご自身で手続き可能です】費用はかかりません複数に該当する場合は「窓口の一本化」を検討してください
実際のご相談で最も多いのは、「相続税もかかるし、不動産もあるし、相続人も複数いる」というケースです。
このとき、それぞれ別々に依頼するとどうなるでしょうか。
別々に依頼した場合の負担
- 税理士、司法書士、行政書士にそれぞれ同じ説明を繰り返す
- 同じ戸籍謄本を何通も取得する(1通450〜750円が積み重なる)
- 各専門家のスケジュール調整を自分で行う
- 「これは誰の担当か分からない」手続きが必ず発生する(年金、保険、公共料金の名義変更など)
- 専門家同士の連携がなく、税務上有利な分割案が登記の都合で崩れることがある
最後の点は特に見落とされます。
たとえば二次相続を考えた分割案を税理士が作っても、
登記の担当者がそれを知らずに手続きを進めると、意図した効果が失われることがあります。
窓口を一本化するメリット
- 説明は1回だけ
- 戸籍・住民票などの書類を共有できる
- 税務と登記を一体で設計できる(二次相続対策が実際に機能する)
- 「担当が分からない手続き」が発生しない
- 進捗の確認先が1つで済む
当センターの体制について
新宿相続・生前贈与相談センターは税理士法人です。 相続税の申告・財産評価・生前対策を自ら行います。
相続登記(司法書士業務)や、紛争性のある遺産分割の代理交渉(弁護士業務)については、
法律上、税理士が行うことはできません。
これらは提携する司法書士・行政書士・弁護士をご紹介し、当センターが窓口となって進行を管理します。
つまり、
- ご相談・ご説明の窓口は当センターに一本化
- 各手続きは、それぞれの資格を持つ専門家が適法に実施
という体制です。専任コンシェルジュが全体の進行を管理しますので、
お客様が複数の専門家とやり取りする必要はありません。
どこに頼むべきか分からない、という状態のままでも構いません。
ご相談時に財産の内容とご家族の状況をお聞きすれば、
「そもそも専門家が必要かどうか」からお答えします。
必要がなければ、その旨を正直にお伝えします。
費用を抑えるための3つのポイント
1. 相見積もりを取る
相続税申告の報酬は、遺産総額の0.5〜1.0%が一般的ですが、事務所によって差があります。
2〜3社から見積もりを取ることをおすすめします。
ただし、安さだけで選ばないでください。
土地の評価を簡易に済ませる事務所は報酬が安くなりますが、
減額要因を見落とせば、報酬の差額を大きく上回る税金を払うことになります。
2. 何が報酬に含まれるかを確認する
見積もりを比較するときは、以下が含まれているか確認してください。
- 土地の現地確認を行うか(図面のみの評価か)
- 相続人が多い場合の加算報酬があるか
- 書面添付制度(税務調査のリスクを下げる制度)に対応しているか
- 二次相続シミュレーションが含まれるか
- 税務調査があった場合の立会報酬は別途か
3. できることは自分でやる
戸籍の収集は、2024年3月から本籍地以外の市区町村でも取得できるようになりました(広域交付制度)。
お住まいの区役所でまとめて請求できるため、以前よりはるかに簡単です。
ご自身で戸籍を集めれば、その分の費用を抑えられます。
当センターでも「戸籍はご自身で、評価と申告は当方で」という分担に対応しています。
よくある質問
Q1. 税理士に頼むと必ず相続税がかかるということですか?
A. いいえ。相続税がかからないことを確認するために税理士に相談するケースも多くあります。
特に「基礎控除を超えるかどうか微妙」という場合は、
概算だけでも確認しておくと安心です。当センターへのご相談でも概算をお伝えしています。
Q2. 相続税がかからなくても申告が必要なことはありますか?
A. あります。 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使った結果、
税額がゼロになる場合は、申告することが特例適用の条件です。
「税額ゼロだから申告不要」と考えて申告しないと、特例が適用されず後から課税されることがあります。
これは非常に多い誤解です。
Q3. 相続登記は自分でできますか?
A. できます。 法務局に相談窓口があり、書式も公開されています。
ただし、相続人が多い場合、数次相続(相続手続き中に別の相続が発生)がある場合、
遺産分割協議が絡む場合は難易度が上がります。
2024年4月から義務化され、正当な理由なく3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になりますので、
難しいと感じたら早めに司法書士へご相談ください。
Q4. 揉めそうな気配があります。最初から弁護士に頼むべきですか?
A. 交渉や調停の代理ができるのは弁護士だけです。
すでに感情的な対立がある、連絡を無視されている、といった状況であれば弁護士にご相談ください。
一方、「分け方が決まらない」だけであれば、税務上どう分けるのが有利かを示すことで合意に至るケースも多くあります。
まず税理士に相談し、必要と判断されてから弁護士へ、という順序も有効です。
Q5. 一度依頼した専門家を変えることはできますか?
A. できます。 相続税の申告が済んでいる場合でも、
申告期限から5年以内であれば「更正の請求」で還付を受けられる可能性があります。
「土地の評価が適正だったか不安」という方は、セカンドオピニオンとしてご相談ください。
Q6. 相談だけして依頼しなくても大丈夫ですか?
A. 問題ありません。
ご自身で手続きできる状況であれば、その旨を正直にお伝えします。
無理に契約をお勧めすることはありません。
まとめ
- 依頼先は「相続税がかかるか」「不動産があるか」「揉めているか」の3つで決まる
- 3つとも該当しないなら、専門家に頼まず自分でできる
- 税理士=相続税申告/司法書士=相続登記/行政書士=書類作成/弁護士=紛争の代理
- 銀行の遺産整理サービスは中間マージンの分だけ高くなる傾向がある
- 複数に該当する場合は、窓口を一本化したほうが結果的に安く、早く、税務上も有利
- 費用を抑えるには、相見積もり・報酬の内訳確認・戸籍は自分で集めるの3つ
まずは「そもそも専門家が必要か」からご相談ください
財産の内容とご家族の状況をお聞きし、必要な手続きと概算費用をお伝えします。
ご自身で手続きできる場合は、その旨を正直にお伝えします。
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監修者
天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター
相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
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