相続登記の義務化|2027年3月31日の期限が近づいています
監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
公開日:2026年9月6日 最終更新日:2026年9月6日
【結論】昔の相続で登記していない不動産は、2027年3月31日が期限です
2024年(令和6年)4月1日から、相続で不動産を取得した人には、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務が課されました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。重要なのは、この義務が施行前に発生した相続にもさかのぼって適用される点です。何十年も前に亡くなった方の名義のままになっている不動産があれば、その期限は2027年3月31日です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 令和6年(2024年)4月1日 |
| 期限 | 不動産の取得を知った日から3年以内 |
| 施行前の相続 | 令和9年(2027年)3月31日まで |
| 怠った場合 | 正当な理由がなければ10万円以下の過料 |
| 間に合わないとき | 相続人申告登記で義務を果たせます(ただし正式な名義変更ではありません) |
| 誰に頼むか | 司法書士(税理士は登記を行えません) |
「先代名義のままの土地がある」というご相談は、当センターでも珍しくありません。 心当たりのある方は、いま確認してください。
なぜ義務化されたのか
所有者が分からない土地が増えすぎたためです。
登記に義務がなかった時代、相続しても名義を変えないまま放置される不動産が積み重なりました。世代を重ねるうちに相続人が数十人に膨れ上がり、誰の持ち物か分からない土地が全国に広がります。
こうなると、公共事業も、災害復旧も、隣地の売買も進みません。この状態を止めるために、登記が義務になりました。
期限は2つの数え方があります
| 状況 | 期限 |
|---|---|
| 2024年4月1日以後に相続が発生 | 不動産の取得を知った日から3年以内 |
| 2024年4月1日より前に相続が発生(登記していない) | 令和9年(2027年)3月31日まで |
※ 施行前の相続でも、不動産を相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降であれば、その日から3年以内になります。
問題になりやすいのは下段です。
- 20年前に亡くなった父の名義のままの実家
- 祖父の代から変わっていない田畑
- 存在を知らなかった山林
「いつの相続か」ではなく「登記が済んでいるか」で判断してください。
過料について、正確に
「10万円以下の過料」であり、必ず科されるものではありません。
- 正当な理由があれば対象になりません
- 過料は刑罰ではなく、前科にはなりません
- 登記官が催告し、それでも申請がない場合に裁判所へ通知される流れです
正当な理由として、次のような場合が挙げられています。
- 相続人が極めて多数で、戸籍等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合
- 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われている場合
- 申請義務を負う人自身に重病等の事情がある場合
- 申請義務を負う人がDV被害者等で、避難を余儀なくされている場合
- 経済的に困窮しているため、登記費用を負担する能力がない場合
ただし「知らなかった」「面倒だった」は正当な理由になりません。
間に合わないときは「相続人申告登記」
遺産分割がまとまらず、期限に間に合わない場合の受け皿として、2024年4月1日から新設された制度です。
| 内容 | |
|---|---|
| 何をするか | 自分が登記簿上の所有者の相続人であることを登記官に申し出る |
| 効果 | 期限内に申し出れば、申請義務を果たしたものとされます |
| 特徴 | 特定の相続人が単独で申し出られます(他の相続人の協力が不要) |
| 必要なもの | 申出をする相続人と被相続人の関係が分かる戸籍 |
⚠️ ただし、これは正式な名義変更ではありません。
相続人申告登記をしても、不動産の名義は被相続人のままです。 売却も、担保に入れることもできません。遺産分割が決まったら、その日から3年以内に改めて相続登記が必要です。
あくまで「時間切れを避けるための手段」とお考えください。
手続きと費用
流れ
- 登記簿を確認する(誰の名義になっているか)
- 相続人を確定する(被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める)
- 遺産分割協議(誰がその不動産を取得するか決める)
- 登記申請(法務局へ)
費用
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4%(評価額2,000万円なら8万円) |
| 司法書士報酬 | 事務所により異なります |
| 戸籍等の取得実費 | 相続人の数と本籍地の移動による |
自分でもできますが
できます。 ただし戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、申請書の作成が必要で、不備があると補正を求められます。相続人が多い場合や、不動産が複数の法務局の管轄にまたがる場合は、専門家に依頼されるほうが確実です。
税理士は登記を行えません
相続登記は司法書士の業務です。税理士が行うことはできません。
当センターでは提携する司法書士におつなぎします。ただし窓口は当センターに一本化しますので、お客様が別々にやり取りする必要はありません。
相続税の申告と相続登記は、必要な資料が大きく重なります。 別々に頼むより、まとめて進めたほうが手間も費用も抑えられることが多くあります。
【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】
都心部ほど、放置された不動産の問題は深刻になります。
- 借地の上の建物が先代名義のまま
- 私道の持分だけ登記が漏れている
- 相続人が海外に転出している
- 共有持分が細分化している(相続を重ねて持分が数十分の一に)
私道の持分は特に見落とされます。 前面の私道が複数人の共有になっており、その持分だけ登記されていないケースです。売却のときに初めて発覚し、取引が止まります。
登記簿は法務局で誰でも取得できます。 心当たりのある方は、まず確認してください。
よくある質問
Q1. 何十年も前に亡くなった祖父の名義の土地があります。対象ですか。
A. 対象です。 相続登記の義務化は、施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続にもさかのぼって適用されます。その場合の期限は令和9年(2027年)3月31日です。何十年前の相続であっても、登記が済んでいなければ義務の対象になります。
Q2. 過料は必ず科されるのですか。
A. 必ずではありません。 正当な理由がある場合は対象になりません。また登記官がまず催告し、それでも申請がない場合に裁判所へ通知される流れです。ただし「知らなかった」「面倒だった」は正当な理由になりません。なお過料は刑罰ではなく、前科にはなりません。
Q3. 遺産分割がまとまりません。期限に間に合いません。
A. 相続人申告登記という制度があります。自分が登記簿上の所有者の相続人であることを期限内に登記官へ申し出れば、申請義務を果たしたものとされます。特定の相続人が単独で申し出られる点が特徴です。ただし正式な名義変更ではありませんので、分割が決まったら改めて登記が必要です。
Q4. 相続人申告登記をすれば、それで終わりですか。
A. 終わりではありません。 相続人申告登記をしても、不動産の名義は被相続人のままです。売却も担保設定もできません。遺産分割が成立した日から3年以内に、改めて相続登記を申請する必要があります。
Q5. 費用はどれくらいかかりますか。
A. 登録免許税として、固定資産税評価額の0.4%がかかります。評価額2,000万円の不動産なら8万円です。これに司法書士の報酬と、戸籍等の取得実費が加わります。
Q6. 相続税の申告と一緒に頼めますか。
A. できます。 相続登記は提携する司法書士におつなぎしますが、窓口は当センターに一本化します。相続税の申告と相続登記は必要な資料が大きく重なるため、まとめて進めたほうが効率的です。
Q7. 相続人が多すぎて連絡がつきません。
A. 相続人が極めて多数で、資料収集や相続人の把握に多くの時間を要する場合は、正当な理由に当たるとされています。ただし放置してよいわけではありません。相続人申告登記で時間を確保しつつ、並行して進めるのが現実的です。
Q8. 登記されているかどうか、どうやって調べますか。
A. 法務局で登記事項証明書を取得すれば分かります。 誰でも取得でき、オンラインでも請求できます。所有者の欄が亡くなった方の名前のままであれば、相続登記は済んでいません。
まとめ
- 相続登記は2024年4月1日から義務になりました
- 期限は取得を知った日から3年以内。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料
- 施行前の相続も対象で、その期限は令和9年(2027年)3月31日です
- 分割がまとまらない場合は相続人申告登記で義務を果たせます
- ただし相続人申告登記は正式な名義変更ではありません。分割後に改めて登記が必要です
- 登録免許税は固定資産税評価額の0.4%
- 相続登記は司法書士の業務です。当センターは提携司法書士におつなぎします
ご相談のご案内
「先代名義のままの不動産がある」という段階でご連絡ください。 登記簿の確認から、必要な手続きの整理までお手伝いします。相続税がかかるかどうかの試算も同時に行えます。
📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
💻 24時間WEB相談予約はこちら
監修者
天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター
相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」を運営し、
登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。
出典
- 法務省 相続登記の申請義務化特設ページ
- 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A
- 法務省 相続人申告登記について
- 法務局 相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。実際の判断は個別の事情により異なりますので、必ず専門家にご相談ください。

