準確定申告とは?相続開始から4か月以内の手続きと、忘れやすい5つのケース

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年9月11日 最終更新日:2026年9月12日


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【結論】期限は4か月。相続税より先に来ます

準確定申告は、亡くなった方のその年の所得について、相続人が代わりに行う確定申告です。期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」。死亡日から4か月ではありません。相続税の申告期限が10か月ですので、こちらのほうが半年早く来ます。ここで見落としが多いのは、亡くなった方が会社員だった場合です。年末調整で完結していたため「確定申告とは無縁だった」と思われがちですが、医療費控除の還付を受けられることがあります。そして忘れやすいのが、不動産所得のある方、年金収入が多い方、亡くなった年に不動産を売却した方です。

ポイント内容
何をするか亡くなった方の1月1日から死亡日までの所得を申告
期限相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内
誰がするか相続人・包括受遺者の全員(連署または各人が提出)
どこへ亡くなった方の死亡当時の納税地を所轄する税務署
必要な人事業所得・不動産所得がある/年金400万円超/給与2,000万円超/不動産を売却した ほか
必要でなくても医療費控除などで還付を受けられることがあります
相続税との関係納付した所得税は債務控除、還付金は相続財産になります

期限の数え方を間違えないでください

「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」です。

死亡日から4か月ではありません。 ただし実務では、多くの場合その日に亡くなったことを知りますので、結果的に近い日付になります。

相続開始を知った日期限
1月10日5月10日
4月30日8月30日
12月1日翌年4月1日

期限が土日祝日にあたる場合は、その翌開庁日になります。

年をまたぐ場合は、2回必要になることがあります

1月1日から3月15日までの間に亡くなり、前年分の確定申告がまだ済んでいない場合は、前年分と本年分の2回の準確定申告が必要です。

どちらも期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」です。前年分の期限が3月15日から延びる形になります。

確定申告をしていた方が年明けに亡くなった場合、ここを落としやすいのでご注意ください。


申告が必要な人

次に当てはまる方は、準確定申告が必要です。

#該当する方
1事業所得があった(自営業、フリーランス)
2不動産所得があった(アパート・駐車場の賃貸)
3公的年金等の収入が400万円を超えていた
4給与収入が2,000万円を超えていた
5給与や年金以外の所得が20万円を超えていた
6不動産や株式を売却して譲渡所得があった
72か所以上から給与を受けていた
8生命保険などの一時所得があった

2の不動産所得が、最も見落とされます。 賃貸物件をお持ちの方は必ず該当します。

賃貸不動産の相続税評価|貸家建付地と貸家の計算

年金だけの方は、原則として不要です

公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下なら、申告は不要です(確定申告不要制度)。

ただし——不要でも、申告すれば還付を受けられることがあります。 次の節をご覧ください。


「不要」でも申告したほうがよい5つのケース

申告義務がなくても、還付を受けられることがあります。

1. 医療費が多くかかっていた

亡くなる前の入院費・治療費は、高額になりがちです。

医療費控除の対象になるのは、死亡の日までに実際に支払ったものだけです。死亡後に相続人が支払った分は、準確定申告では控除できません。

ただし、死亡後に相続人が支払った医療費は、相続税の債務控除の対象になります。
どちらで引くかが分かれるだけで、まったく引けないわけではありません。
なお、被相続人と生計を一にしていた親族が支払った分は、その親族自身の
確定申告で医療費控除の対象にできる場合があります。

2. 年の途中で亡くなり、源泉徴収されすぎている

会社員の方が年の途中で亡くなると、年末調整が行われません。

毎月の給与から源泉徴収されている所得税は、1年間働く前提で計算されています。年の途中で終われば、納めすぎになっていることがほとんどです。

年金を受給されていた方も同じです。

3. 生命保険料控除・地震保険料控除を使っていない

年末調整前に亡くなった場合、これらの控除が反映されていません。

4. 事業が赤字だった

赤字(純損失)があれば、他の所得と通算できます。

5. 寄附金控除の対象になる寄附をしていた

ふるさと納税を含みます。ワンストップ特例は使えませんので、申告が必要です。


手続きの進め方

ステップ1 所得を把握する

次の資料を集めます。

資料入手先
源泉徴収票勤務先、日本年金機構
年金の源泉徴収票日本年金機構(1月中旬に送付。それ以前は再交付を依頼)
賃貸物件の収支資料ご自身の帳簿、管理会社
医療費の領収書病院・薬局
前年の確定申告書の控えご自宅(何を申告していたかの手がかりになります)
生命保険料控除証明書保険会社
株式の年間取引報告書証券会社

前年の確定申告書の控えが、最も役に立ちます。 何を申告していたかが分かれば、今年も同じものが必要だと判断できます。

ステップ2 申告書を作る

通常の確定申告書に「準確定」と記載し、「死亡した者の令和○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付します。

付表には、相続人全員の氏名・住所・マイナンバー・相続分・還付金の受取口座などを記載します。

ステップ3 提出する

提出先は、亡くなった方の死亡当時の納税地を所轄する税務署です。相続人の住所地ではありません。

相続人が2人以上いる場合、原則として全員が連署して提出します。

ただし、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。 その場合、提出した人は他の相続人へ申告内容を通知する必要があります。

e-Taxでも提出できます。

相続手続きの流れ|期限一覧と誰に頼むかの判断


相続税との関係

ここは税額に直結しますので、正確に押さえてください。

項目相続税での扱い
準確定申告で納めた所得税債務控除できます(相続財産から引けます)
準確定申告で還付された税金相続財産になります(未収還付金として課税対象)
還付金に付く還付加算金相続人の雑所得(相続財産ではありません)
死亡後に相続人が支払った医療費債務控除できます
その年の住民税課税されません(1月1日時点で存命の方に課されるため)

還付金が相続財産になる点は、見落とされやすいところです。 「戻ってきたお金」なので相続財産という意識が薄くなりますが、申告漏れになります。

逆に、その年の住民税は課税されません。 住民税は前年の所得に対して、その年の1月1日時点の住所地で課されます。年の途中で亡くなった方には、翌年度分の住民税がかかりません。(亡くなった年の6月に届いた納税通知書の分は、未払いがあれば債務控除の対象です)

相続税はいくらからかかる?基礎控除の考え方


相続放棄をする場合

相続放棄をした人は、準確定申告の義務を負いません。

準確定申告の義務は相続人が承継するものですので、放棄すれば最初から相続人でなかったことになり、義務もなくなります。

注意点が2つあります。

1. 相続放棄の期限は3か月、準確定申告は4か月

放棄するかどうかを先に決める必要があります。 迷っている間に4か月が過ぎることのないようご注意ください。

2. 還付金を受け取ると、単純承認とみなされるおそれがあります

還付金は相続財産です。 これを受け取って使ってしまうと、相続財産の処分にあたり、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

相続放棄の3か月ルール|期限を過ぎた場合の対処法


期限を過ぎたらどうなるか

期間何が起きるか
期限の翌日〜延滞税が発生
無申告の場合無申告加算税(税務署の調査前に自主的に申告すれば軽減されます)
仮装・隠蔽があった場合重加算税

還付申告の場合は、遅れても不利益はありません。 ただし還付を受ける権利は5年で時効になります。

相続税の申告期限10か月を過ぎたらどうなる?


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

この3区では、準確定申告が必要になる方の割合が高くなります。

理由1 賃貸物件をお持ちの方が多い

アパート・マンション・駐車場・貸店舗。不動産所得があれば、金額にかかわらず準確定申告が必要です。

しかも収支の把握に時間がかかります。 管理会社からの資料、修繕費の領収書、借入金の利息——4か月では余裕がありません。

理由2 亡くなった年に不動産を売却しているケースがある

「施設に入るので自宅を売った」「相続対策で組み替えた」——その年に亡くなると、譲渡所得の準確定申告が必要になります。

譲渡所得は税額が大きくなりがちです。 そして納めた所得税は相続税の債務控除の対象ですので、忘れると二重に損をします。

理由3 年金だけの方でも、医療費が多い

都心では入院費・介護費が高額になりがちです。申告義務がなくても、還付を受けられることがあります。

「うちは年金だけだから関係ない」で終わらせず、一度ご確認ください。


よくある質問

Q1. 期限は死亡日から4か月ですか。

A. 「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」です。多くの場合その日に知りますので結果的に近くなりますが、正確にはこの数え方です。期限が土日祝日なら翌開庁日になります。

Q2. 会社員だった父にも必要ですか。

A. 給与収入が2,000万円以下で、他の所得が20万円以下なら、申告義務はありません。 ただし年の途中で亡くなると年末調整が行われず、源泉徴収されすぎていることがほとんどです。医療費控除や生命保険料控除と併せて、還付を受けられる可能性が高いので、確認をおすすめします。

Q3. 年金だけの母にも必要ですか。

A. 公的年金等の収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下なら不要です。ただしQ2と同じく、還付を受けられることがあります。 特に入院や介護の費用がかかっていた場合は、医療費控除で戻ることがあります。

Q4. 医療費控除は、いつ支払った分まで入れられますか。

A. 死亡の日までに実際に支払った分だけです。死亡後に相続人が支払った分は、準確定申告では控除できません。 ただしその分は相続税の債務控除の対象になります。また、生計を一にしていた親族が支払った分は、その親族自身の確定申告で医療費控除にできる場合があります。

Q5. 相続人が複数います。全員で出さないとだめですか。

A. 原則は全員の連署ですが、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。 その場合、提出した人は他の相続人へ申告内容を通知してください。還付金の受取口座も付表に記載します。

Q6. 還付されたお金に、相続税はかかりますか。

A. かかります。 還付金は未収還付金として相続財産になります。「戻ってきたお金」という感覚から漏れやすいので、ご注意ください。なお還付加算金は相続財産ではなく、受け取った相続人の雑所得です。

Q7. 亡くなった年の住民税はどうなりますか。

A. 翌年度分は課税されません。 住民税は1月1日時点で存命の方に課されるためです。ただし、亡くなった年に届いた納税通知書の分に未払いがあれば、相続税の債務控除の対象になります。

Q8. 相続放棄を考えていますが、準確定申告は必要ですか。

A. 放棄すれば義務はなくなります。 ただし相続放棄の期限は3か月、準確定申告は4か月ですので、先に放棄の判断をしてください。 また還付金を受け取って使うと、相続放棄ができなくなるおそれがあります。


まとめ

  • 準確定申告は、亡くなった方の1月1日から死亡日までの所得の申告です
  • 期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」。 死亡日からではありません
  • 相続税(10か月)より半年早く来ます
  • 1月1日〜3月15日に亡くなり前年分が未申告なら、2回必要になることがあります
  • 必要なのは事業所得・不動産所得がある方、年金400万円超、給与2,000万円超、不動産を売却した方など
  • 義務がなくても、医療費控除や源泉徴収の戻りで還付を受けられることがあります
  • 医療費控除は死亡の日までに支払った分だけ。 死亡後の支払いは相続税の債務控除へ
  • 納めた所得税は債務控除、還付金は相続財産(還付加算金は相続人の雑所得)
  • その年の住民税は課税されません
  • 相続放棄をすれば義務はなくなります。 ただし放棄は3か月、申告は4か月です

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監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
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登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。


出典

※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。



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