駐車場・空き地の相続税評価|「アスファルトか砂利か」で結論が変わります

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年9月19日 最終更新日:2026年9月19日


【結論】更地と青空駐車場は、相続税でいちばん不利な状態です

「駐車場として貸しているから、評価は下がりますよね?」

下がりません。

土地の上に建物がなければ、借地権は発生しません。
借地権が発生しなければ、貸宅地にもなりません。
つまり、駐車場の土地は原則として「更地と同じ」評価になります。

さらに、ロープを張ってラインを引いただけの青空駐車場は、
小規模宅地等の特例も使えないことがあります。

状態土地の評価小規模宅地等の特例
更地(何もしていない)自用地(満額)使えません
青空駐車場(舗装なし)自用地(満額)使えない可能性が高い
アスファルト舗装した駐車場自用地(満額)使える可能性があります
アパートを建てて貸す貸家建付地(減額)使える可能性があります

評価も下がらず、特例も使えない。 それが更地と青空駐車場です。

そして舗装の有無で結論が変わるため、「アスファルトか砂利か」が実際に効いてきます。


なぜ駐車場は評価が下がらないのか

土地の評価が下がるのは、他人の権利が付いていて、自由に使えないからです。

土地の状態付いている権利評価
人に家を建てさせている借地権貸宅地(大きく下がる)
自分のアパートを貸している借家権貸家建付地(下がる)
駐車場として貸しているなし自用地(下がらない)

駐車場の契約は、建物の所有を目的としていません。
そのため借地借家法の借地権にはあたらず、土地に強い権利が付きません。

契約を解除して、いつでも更地に戻せる。
だから評価も下がらない、という理屈です。

借地権のしくみは、こちらで詳しく説明しています。

借地権・底地の相続税評価|借りている土地にも相続税はかかります


分かれ目は「構築物があるかどうか」

評価は下がりませんが、小規模宅地等の特例が使えるかどうかは別の話です。

駐車場が貸付事業用宅地等にあたれば、200㎡まで50%減額できます。

そのために必要なのが、構築物です。

駐車場の状態構築物貸付事業用宅地等
ロープとライン引きだけありません難しい
砂利敷き状況によります判断が分かれます
アスファルト舗装あります該当する可能性が高い
コンクリート舗装・車止め・フェンスあります同上
立体駐車場・機械式あります同上

土地を「そのまま」貸しているのか、「構築物を設けて」貸しているのか。
ここで結論が変わります。

砂利敷きは、実務で最も判断が割れるところです。
一面に敷き詰めて整地してあるのか、部分的に撒いてあるだけなのかで見方が変わります。
現地の写真を残しておいてください。


貸付事業用宅地等には「3年の壁」があります

構築物があっても、すぐには使えません。

国税庁は、こう定めています。

相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は、
貸付事業用宅地等から除かれます(3年以内貸付宅地等)。

つまり、「相続税対策のために、亡くなる直前に駐車場にした」という形は通用しません。

ただし、例外があります

相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等の、
その特定貸付事業の用に供された宅地等については、3年以内貸付宅地等に該当しません。

もともと不動産賃貸を事業として行っていた方であれば、
新しく貸し始めた土地でも対象になり得る、ということです。

状況結論
賃貸業を何もしていなかった人が、2年前に駐車場を始めた対象外
10年前からアパート経営をしている人が、2年前に駐車場を追加した対象になり得ます

「いつから貸しているか」と「他に賃貸事業があるか」の2つを確認してください。

小規模宅地等の特例とは?330㎡まで80%減額の条件


減額の大きさを比べると

同じ土地でも、使い方によってここまで変わります。

自用地としての評価額が8,000万円・面積200㎡の土地で比べます。

使い方土地の評価額小規模宅地等の特例最終的な評価額
更地のまま8,000万円使えません8,000万円
青空駐車場8,000万円使えない可能性が高い8,000万円
舗装した駐車場(3年超)8,000万円200㎡まで50%減4,000万円
自宅(同居の子が相続)8,000万円330㎡まで80%減1,600万円

※ アパートを建てた場合は、さらに貸家建付地の減額が加わります。
  ただし借入れや空室のリスクも伴うため、単純に有利とは言えません。

賃貸不動産の相続税評価|2027年から「5年ルール」が始まります


新宿区の月極駐車場で、試算してみます

西新宿の月極駐車場150㎡、路線価60万円/㎡で考えます。
月極8台、賃料は1台あたり月3万円とします。

土地の評価額

項目金額
路線価 60万円 × 150㎡9,000万円
貸宅地・貸家建付地の減額なし(建物がないため)
土地の評価額9,000万円

年間の収入

項目金額
月額 3万円 × 8台 × 12か月288万円
固定資産税・管理費など△ 数十万円
手取りのめやす年200万円前後

ここで起きること

評価額9,000万円に対して、収入は年200万円。

相続税の税率が30%なら、この土地だけで2,700万円前後の相続税が計算に入ってきます。
収入の13年分以上です。

対策効果
舗装して3年超の貸付事業にする200㎡まで50%減 → 4,500万円(半分に)
賃貸物件を建てる貸家建付地+貸家の減額。ただし借入れのリスク
売却して納税資金にする譲渡所得税はかかりますが、確実に現金化できます
そのまま持つ9,000万円のまま

※ 路線価・賃料・税率は説明のための想定です。実際の数値でご相談ください。

「駐車場は手間がかからなくてよい」というお気持ちは分かります。
ただ、相続税から見ると、最も効率の悪い持ち方になっていることが多いのです。


固定資産税でも不利になります

相続税だけの話ではありません。

住宅が建っている土地には、住宅用地の特例があり、固定資産税の課税標準が下がります。

区分固定資産税の課税標準
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)6分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分)3分の1
駐車場・空き地軽減なし

同じ土地でも、家が建っているかどうかで固定資産税は数倍変わります。

空き家を取り壊して更地にすると、固定資産税が跳ね上がるのはこのためです。
解体を検討するときは、必ず税額の変化も確認してください。

東京の空き家を相続したら|税金・管理・売却の判断


駐車場でよくある勘違い

① 「一括で業者に貸しているから、貸宅地になる」

なりません。 駐車場業者へのサブリースでも、建物を建てさせていなければ借地権は生じません。
土地の評価は自用地のままです。

② 「アスファルトの費用は財産から引ける」

構築物として別に評価します。 債務ではありません。
なお、構築物そのものは再建築価額から償却費相当額を控除した額の70%といった方法で評価します。

③ 「駐車場収入があるから、貸付事業用にあたるはず」

収入の有無ではなく、構築物の有無と3年の条件で判定します。
収入があっても青空駐車場なら、特例は難しくなります。

④ 「空き地は放っておいても同じ」

同じではありません。 空き地は評価が満額で、特例も使えず、固定資産税も住宅用地の軽減がありません。
持っているだけで負担が続く状態です。


生前にできること

更地や青空駐車場をお持ちなら、相続が起きる前に方針を決めておく価値があります。

選択肢効果注意点
舗装して貸付事業にする200㎡まで50%減額の可能性3年を超えて継続する必要があります
アパート・賃貸物件を建てる貸家建付地+貸家で大きく下がる借入れ・空室・2027年からの5年ルール
自宅の敷地として使う330㎡まで80%減額の可能性実際に住む必要があります
売却する現金化して納税資金にできる譲渡所得税がかかります
そのまま持つ評価も下がらず、特例も使えません

どれが良いかは、財産全体の構成と相続人の状況で変わります。
「駐車場にすれば有利」と単純に決めないでください。

生前にできる相続対策一覧|効果と注意点を10種類まとめて比較


相続した後に、どうするか

すでに相続してしまった駐車場・空き地についても、選択肢があります。

① 相続開始から3年10か月以内に売る

相続した不動産を相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ると、
納めた相続税の一部を取得費に加算できます(取得費加算の特例)。

譲渡所得税が軽くなるため、売るなら早いほうが有利です。

時期扱い
相続開始から3年10か月以内取得費加算の特例が使えます
それ以降使えません

東京の空き家を相続したら|税金・管理・売却の判断

② 持ち続けて、次の相続に備える

次の相続を見据えるなら、舗装して貸付事業にしておくという手があります。
ただし、3年を超えて継続する必要がある点は同じです。

③ 手放したいが、売れない

地方の土地であれば、相続土地国庫帰属制度という選択肢もあります。
ただし条件は厳しく、費用もかかります。

相続土地国庫帰属制度|いらない土地を国に引き取ってもらえるのか


構築物そのものも、財産になります

アスファルト舗装や車止め、フェンス、機械式の設備は、土地とは別の財産として評価します。

項目内容
何が該当するか舗装、車止め、フェンス、外灯、機械式駐車設備、看板
評価の考え方再建築価額から、建築時から課税時期までの償却費相当額を差し引いた額の70%
注意古い舗装であれば、評価額はかなり小さくなります

工事の時期と金額が分かる資料(見積書、請求書、領収書)を残しておいてください。
小規模宅地等の特例を使うときの、構築物があったことの裏づけにもなります。


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

新宿区には、月極駐車場になっている土地がたくさんあります。

建物を建てるには狭い、あるいは接道の条件が悪い。
そうした土地が、そのまま駐車場として使われているケースです。

ここで問題になるのが、次の組み合わせです。

起きていること相続税への影響
路線価が高い評価額が大きくなります
建物がない貸宅地・貸家建付地の減額がありません
舗装していない小規模宅地等の特例も使えません
収入は月数万円納税資金にはなりません

「収入は少ないのに、相続税だけ高い」という、いちばん苦しい形です。

一方で、駐車場の土地は不整形地や間口狭小であることも多く、
そちらの補正で評価を下げられる場合があります。

不整形地の相続税評価|使いにくい土地は、その分だけ安くなります
新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために

当センターは土地の評価による報酬の加算を設けていません。
駐車場や空き地をお持ちの方は、お元気なうちに一度ご相談ください。

〒160-0023 東京都新宿区西新宿7丁目19-5 KYS西新宿ビル1階
東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅から徒歩約5分/各線「新宿」駅から徒歩10分
受付時間 9:00〜19:00(土日祝も対応)


よくある質問

Q1. 駐車場として貸していれば、土地の評価は下がりますか

下がりません。 建物の所有を目的としていないため借地権が発生せず、原則として自用地(更地)として評価します。

Q2. 青空駐車場でも、小規模宅地等の特例は使えますか

難しいです。 構築物のない「そのままの土地の貸付け」と見られると、貸付事業用宅地等に該当しません。
アスファルト舗装などの構築物があるかどうかが分かれ目です。

Q3. 砂利を敷いていますが、構築物になりますか

判断が分かれるところです。 一面に敷き詰めて整地してあるのか、部分的なのかで見方が変わります。
現地の写真と、工事の見積書・領収書を残しておいてください。

Q4. 貸付事業用宅地等は、どのくらい減額されますか

200㎡まで50%減額です。特定居住用宅地等(330㎡・80%)より効果は小さくなります。

Q5. 亡くなる1年前に駐車場にしました。特例は使えますか

原則として使えません。 相続開始前3年以内に新たに貸付事業を始めた宅地は除かれます。
ただし、3年を超えて特定貸付事業を行っていた方であれば、対象になり得ます。

Q6. 業者に一括で貸しています。扱いは変わりますか

土地の評価は変わりません。 サブリースでも建物を建てさせていなければ、自用地評価です。

Q7. アスファルトや車止めは、財産になりますか

構築物として評価します。 土地とは別の財産です。債務として引けるものではありません。

Q8. 空き地のまま持っています。何かしたほうがいいですか

評価も下がらず、特例も使えない状態です。 舗装して貸す、建物を建てる、売却する、などの選択肢があります。
ただし3年を超えて継続する必要があるものもあるため、お元気なうちにご相談ください。


まとめ

  • 駐車場の土地は、建物がないため借地権が生じず、自用地(満額)で評価されます
  • 小規模宅地等の特例が使えるかは、構築物の有無で分かれます
  • アスファルト舗装などがあれば、貸付事業用宅地等として200㎡まで50%減額の可能性
  • ただし相続開始前3年以内に始めた貸付けは対象外
  • 例外として、3年を超えて特定貸付事業を行っていた場合は対象になり得ます
  • 砂利敷きは判断が分かれます。 写真と工事の資料を残してください
  • 更地・青空駐車場は、評価も下がらず特例も使えない、最も不利な状態です
  • 新宿区は路線価が高く、収入は少ないのに相続税だけ高い形になりやすい地域です

監修者

天尾 信之(あまお のぶゆき)
税理士/東京税理士会 登録番号 第136528号
税理士法人Ambitious 代表社員

相続・事業承継の相談実績3,000件超。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」(登録者4.2万人)で、相続の実務を発信しています。


出典

  • 国税庁タックスアンサー No.4124「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

  • 国税庁タックスアンサー No.4613「貸宅地の評価」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4613.htm

  • 国税庁タックスアンサー No.4614「貸家建付地の評価」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm


menu