相続税がかからない財産とは?非課税になる7つと、間違えやすい境界

監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。

公開日:2026年9月12日 最終更新日:2026年9月12日


【結論】墓地と仏壇は、生前に買えば非課税です

相続財産のすべてに相続税がかかるわけではありません。墓地・墓石・仏壇・仏具といった祭祀に関わるもの、生命保険金と死亡退職金の一定額、公益事業に使われる財産などは非課税です。ここで最も実務的に効くのが、墓地と仏壇の扱いです。生前に購入しておけば非課税財産になりますが、亡くなった後に相続人が購入すると、その代金は現金で相続したものとして課税されます。しかも墓地や仏壇の未払金は債務控除もできません。数百万円の差になることがあります。ただし注意もあります。投資目的で持っている金の仏具や、骨董的価値のあるものは非課税になりません。

#非課税になるもの主な条件
1墓地・墓碑・仏壇・仏具・神棚など日常礼拝に使うもの(投資目的・骨董的価値のあるものを除く)
2生命保険金500万円 × 法定相続人の数まで
3死亡退職金500万円 × 法定相続人の数まで(別枠)
4公益事業を行う人が取得した、その事業用の財産公益を目的とする事業に使われること
5心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
6個人で経営する幼稚園の事業用財産一定の要件を満たすこと
7申告期限までに国・地方公共団体・特定の公益法人へ寄附した財産申告書に一定の書類を添付

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【最重要】墓地・仏壇は「いつ買ったか」で変わります

同じ200万円のお墓でも、買う時期で税額が変わります。

生前に購入した場合

項目扱い
墓地・墓石(200万円)非課税財産。相続税がかかりません
手元の現金200万円減っています
結果課税対象が200万円減ります

亡くなった後に購入した場合

項目扱い
現金200万円相続財産として課税されます
購入した墓地相続財産ではありません(相続人が自分で買ったもの)
結果200万円がそのまま課税対象

相続税率が20%なら、40万円の差です。
高額なお墓や仏壇を検討されているなら、生前に購入しておくのが有利です。

さらに、未払金は債務控除できません

生前に購入しても、代金を払い終えていなければ注意が必要です。

非課税財産に関する未払金は、債務控除の対象になりません。

「生前に契約だけして、支払いは相続後」では効果が出ません。
必ず支払いまで済ませてください。

相続税はいくらから?基礎控除の計算と申告が必要なケース


非課税にならないもの — 境界に注意

「祭祀に関わるもの」であれば何でも非課税、ではありません。

もの非課税
日常的に礼拝している仏壇・仏具非課税
金の仏具(純金製の仏像・おりんなど)投資目的とみなされれば課税されます
骨董的価値のある仏像課税(美術品としての価値で評価)
商品として所有しているもの(仏具店の在庫など)課税
庭内神し(屋敷内の祠など)一定の要件を満たせば非課税
墓地の永代使用料非課税
葬式費用非課税財産ではありませんが、債務控除できます
香典相続財産ではありません(社会通念上相当な範囲であれば贈与税もかかりません)

純金製の仏具は、実際に税務調査で問題になることがあります。
「礼拝のため」と主張しても、金額や保有状況から投資目的と判断されることがあります。

節税目的で高額な金の仏具を買うのは、おすすめしません。


生命保険金・死亡退職金の非課税枠

それぞれ別枠で、500万円 × 法定相続人の数まで非課税です。

法定相続人生命保険金死亡退職金合計
1人500万円500万円1,000万円
2人1,000万円1,000万円2,000万円
3人1,500万円1,500万円3,000万円

よくある誤解が3つあります。

誤解実際
「1人500万円まで非課税」違います。 全体の枠です
「誰が受け取っても非課税」相続人が受け取った分のみです
「相続放棄した人も使える」人数には含めますが、本人は使えません

相続人以外(孫・兄弟姉妹など)が受け取ると、非課税枠が使えないうえ、
相続税額が2割加算されます。

生命保険金は相続税の対象?500万円×法定相続人の非課税枠


寄附による非課税

相続した財産を、申告期限までに国・地方公共団体・特定の公益法人へ寄附した場合、
その財産には相続税がかかりません。

要件内容
時期相続税の申告期限までに寄附すること
寄附先国、地方公共団体、特定の公益法人(すべての法人が対象ではありません)
手続き申告書に一定の書類を添付すること
注意寄附を受けた法人が2年以内に公益事業に使わないと、さかのぼって課税されます

寄附先が要件を満たすかどうかは、事前に確認が必要です。
一般の非営利団体やNPOのすべてが対象になるわけではありません。


そのほか、課税されるか迷いやすいもの

もの相続税
香典・弔慰金香典は課税されません。 弔慰金は一定額まで非課税(業務上の死亡は賞与以外の普通給与の3年分、それ以外は6か月分)
遺族年金課税されません(相続税・所得税とも)
未支給年金相続財産ではありません。受け取った遺族の一時所得になります
高額療養費の還付相続財産(未収金)として課税されます
入院給付金(被保険者が被相続人)相続財産(未収金)。500万円の非課税枠は使えません
死亡保険金(保険料を相続人が負担)相続税ではなく所得税(一時所得)
被相続人が受取人の火災保険金など相続財産として課税
交通事故の損害賠償金被相続人の死亡に対するものは課税されません(遺族固有の権利のため)

「年金関係は非課税」と思われがちですが、未支給年金は受け取った方の一時所得です。
金額によっては確定申告が必要になります。


【注意】非課税財産があっても、申告が必要な場合があります

非課税財産を除いた金額が基礎控除以下なら、申告は不要です。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

ただし、次の場合は申告が必要です。

状況申告
小規模宅地等の特例を使って0円になった必要
配偶者の税額軽減を使って0円になった必要
寄附による非課税を使った必要
未成年者控除・障害者控除・相次相続控除で0円になった不要

「非課税財産が多いから申告不要」と早合点しないでください。
特例を使って0円になった場合は、申告することが適用の条件です。

相続税が0円でも申告が必要なケース|特例は「申告して初めて使える」


【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】

この3区では、非課税財産の活用効果が相対的に小さくなります。

理由は単純で、自宅の評価額が桁違いに大きいからです。

【比較】相続人3人のご家庭

対策効果
墓地・仏壇を生前に購入△200万〜300万円
生命保険の非課税枠を使い切る△1,500万円
小規模宅地等の特例(7,000万円の自宅)△5,600万円

効果の順番は、小規模宅地等の特例 → 生命保険 → 墓地・仏壇です。

ただし、墓地・仏壇には別の意味があります。

新宿区・中野区・世田谷区では、墓地を持っていないご家庭が多くあります。
都心では墓地の価格も高く、200万〜400万円かかることが珍しくありません。

亡くなった後に相続人が買うと、この全額がそのまま課税対象です。
生前に購入しておけば、その分の課税を避けられます。

「どうせいつか買うもの」であれば、生前に済ませておくのが合理的です。

なお、永代供養や樹木葬を選ばれる方も増えています。
こちらも生前に契約・支払いを済ませておけば、同じ考え方が使えます。

生前にできる相続対策一覧|効果と注意点を10種類まとめて比較
新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために


よくある質問

Q1. お墓や仏壇に相続税はかかりますか。

A. 日常礼拝に使うものであれば、かかりません。 ただし投資目的の金の仏具や、
骨董的価値のあるもの
は課税されます。また亡くなった後に相続人が購入した場合、
その代金は現金として課税
されます。生前の購入が有利です。

Q2. 生前にお墓を買う契約をしましたが、支払いは相続後です。

A. 効果が出ません。 非課税財産に関する未払金は、債務控除の対象になりません。
現金が減っていないため課税対象も減らず、墓地だけが非課税になります。
支払いまで済ませてください。

Q3. 節税のために金の仏具を買うのはどうですか。

A. おすすめしません。 投資目的とみなされれば課税されます。
金額や保有状況から判断され、税務調査で問題になることがあります。
「礼拝のため」という主張が通るとは限りません。

Q4. 香典に税金はかかりますか。

A. かかりません。 香典は相続財産ではなく、社会通念上相当と認められる範囲であれば
贈与税もかかりません。ただし香典返しの費用は、葬式費用として債務控除できません。

Q5. 遺族年金や未支給年金はどうなりますか。

A. 遺族年金は課税されません(相続税・所得税とも)。
一方未支給年金は相続財産ではなく、受け取った遺族の一時所得になります。
金額によっては確定申告が必要です。混同しやすいのでご注意ください。

Q6. 入院給付金は非課税ですか。

A. 課税されます。 被相続人が受取人の入院給付金は相続財産(未収金)です。
死亡保険金ではないため、500万円×法定相続人の数の非課税枠は使えません。
高額療養費の還付金も同じ扱いです。

Q7. 寄附すれば相続税がかからないと聞きました。

A. 要件があります。 申告期限までに、国・地方公共団体・特定の公益法人へ
寄附し、申告書に一定の書類を添付する必要があります。
すべての非営利団体が対象ではありません。 また寄附先が2年以内に公益事業に
使わないと、さかのぼって課税されます。事前に確認してください。

Q8. 非課税財産が多ければ、申告は不要ですか。

A. 状況によります。 非課税財産を除いた金額が基礎控除以下なら不要です。
ただし小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って0円になった場合は、
申告することが適用の条件
です。早合点しないでください。


まとめ

  • 相続財産のすべてに相続税がかかるわけではありません
  • 墓地・墓碑・仏壇・仏具は、日常礼拝に使うものであれば非課税です
  • 生前に購入すれば非課税、死後に相続人が購入すれば現金として課税されます
  • 非課税財産の未払金は債務控除できません。 支払いまで済ませてください
  • 投資目的の金の仏具・骨董的価値のあるものは課税されます
  • 生命保険金と死亡退職金は、それぞれ別枠で500万円×法定相続人の数まで非課税
  • 相続人以外が受け取ると、非課税枠が使えず2割加算されます
  • 申告期限までに国・地方公共団体・特定の公益法人へ寄附した財産は非課税
  • 香典・遺族年金は課税されません。 未支給年金は受け取った方の一時所得です
  • 入院給付金・高額療養費の還付は相続財産です(500万円の枠は使えません)
  • 特例で0円になった場合は、申告が必要です

ご相談のご案内

「何が課税されて、何がされないのか」の切り分けは、財産の一覧ができてからです。
財産の内訳をお持ちいただければ、非課税財産を除いた課税対象と、
基礎控除を超えるかどうかをその場でお伝えします。

お墓や仏壇の購入をお考えでしたら、生前に済ませるかどうかの判断もあわせてご相談ください。

📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
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監修者

天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター

相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
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登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。


出典

※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。



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