東京で相続税申告に強い税理士の選び方|5つのチェックポイント
監修:天尾信之(税理士・登録番号 第136528号/税理士法人Ambitious 代表)
相続・事業承継の相談実績3,000件超。YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」運営(登録者4.2万人)。
公開日:2026年8月9日 最終更新日:2026年9月1日
【結論】聞くべきことは「年間何件やっているか」と「土地を見に行くか」の2つです
相続税の申告で税理士によって結果が変わるのは、土地の評価だけです。預貯金や上場株式は評価の方法が定まっているため、誰が計算しても同じ金額になります。したがって税理士を選ぶときに確認すべきは、相続税申告の経験量と、土地に対する姿勢です。東京は土地の評価が難しい地域ですので、この2点の重みが特に大きくなります。
| # | 確認すること | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 1 | 相続税申告を年間何件扱っているか | 相続税は経験がそのまま品質になります |
| 2 | 土地の現地を見に行くか | 見なければ拾えない減額要因があります |
| 3 | 書面添付制度を使っているか | 税務調査そのものを避けられる場合があります |
| 4 | 二次相続まで提案してくれるか | 目先の税額だけ下げると、次で跳ね返ります |
| 5 | 料金の内訳と、追加費用の条件が明示されているか | 後から加算される項目は事務所ごとに違います |
「相続に強い」と書いてあるかどうかは、判断材料になりません。 実際に確認すべきは、上の5つです。
なぜ税理士によって相続税額が変わるのか
まず、変わらないものをはっきりさせます。
| 財産の種類 | 税理士による差 | 理由 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 出ません | 残高証明書の金額で確定します |
| 上場株式 | 出ません | 定められた算定方法で一意に決まります |
| 生命保険金 | 出ません | 支払通知書の金額です |
| 土地 | 大きく出ます | 評価の方法と、適用する補正の判断で変わります |
| 非上場株式 | 出ます | 評価方式の選択と、各種調整の判断が入ります |
土地の評価は、現地を見なくても、役所で調べなくても、申告書は完成してしまいます。 路線価に面積を掛ければ、数字そのものは出るからです。
しかし実際の土地には、価値を下げる事情があります。それを拾ったかどうかで、評価額は変わります。 そして拾わなくても、申告書は受理されます。
税務署から「払いすぎです」と連絡が来ることはありません。
チェックポイント1:相続税申告を年間何件扱っているか
遠慮なくお尋ねください。 答えられない事務所は、扱っていないということです。
日本の税理士の多くは、会社を顧客とする法人税の申告を主な業務にしています。相続税の申告をほとんど経験しないまま実務を続けている税理士も、決して少なくありません。 これは能力の問題ではなく、業務の構成の問題です。
相続税は、同じ論点を何回見たかで、判断の速さと精度が変わります。 年に数件では、いつまでも初回のままです。
あわせて聞くとよいこと
「その件数のうち、土地が含まれていたものは何件ですか」
土地のない申告を何件積んでも、土地の判断力は育ちません。
チェックポイント2:土地の現地を見に行くか
「現地には行きますか」と聞いてください。 これが最も差の出る質問です。
現地と役所でしか分からないことがあります。
| 確認すること | 分かること |
|---|---|
| 間口・奥行・形状 | 不整形地補正、間口狭小補正、奥行長大補正の可否 |
| 前面道路の幅員と種別 | 4m未満ならセットバックの対象(該当部分は70%減額) |
| 敷地の高低差・擁壁 | がけ地補正率の適用可否 |
| 接道の状況 | 無道路地としての評価になるか |
| 私道の有無と通行状況 | 私道の評価減、または評価しない扱い |
| 高圧線・線路・墓地などの周辺環境 | 利用価値が著しく低下している宅地としての減額 |
これらは登記簿と路線価図だけでは判断できません。
チェックポイント3:書面添付制度を使っているか
書面添付制度は、税理士が「この申告書はこのように検討して作りました」という書面を添付する制度です(税理士法第33条の2)。
添付があると、税務署は調査に入る前に、まず税理士へ意見を聴く機会を設けます。 その場で疑問が解消すれば、調査そのものが行われません。
「書面添付は付けますか」と聞いてください。 手間がかかるため、付けない事務所もあります。付けるかどうかは、事務所の姿勢がそのまま出る部分です。
チェックポイント4:二次相続まで提案してくれるか
「配偶者が全部相続すれば税金はかかりません」 ——この説明だけで終わる事務所には、注意してください。
一次相続だけを見ればそのとおりです。しかし二次相続(お母様が亡くなったとき)で税額が跳ね上がります。 配偶者の税額軽減が使えず、基礎控除も下がるためです。
一次と二次の合計で見て、どう分けるのが有利か。そこまで示してもらえるかどうかを確認してください。
詳しくは 二次相続とは?配偶者が全部相続すると損する理由 をご覧ください。
チェックポイント5:料金の内訳と、追加費用の条件
相続税申告の報酬は、遺産総額に応じた基本報酬+加算報酬という形が一般的です。
確認すべきは、基本報酬の金額よりも「何が基本報酬に含まれ、何が別料金か」です。事務所によって、次の項目の扱いが分かれます。
- 戸籍の収集
- 金融機関の残高証明の取得・解約手続き
- 土地の評価(筆数による加算の有無)
- 非上場株式の評価
- 遺産分割協議書の作成
- 二次相続シミュレーション
- 書面添付
- 相続人が複数の場合の加算
「最終的にいくらになりますか」と聞き、その根拠を示してもらってください。
当センターの料金は料金表に掲載しています。
東京で選ぶときに、特に重要なこと
東京都の相続税の課税割合は、全国のおよそ2倍です。 そして東京の土地は、評価が難しい土地の集まりです。
| 東京に多い土地 | 評価上の論点 |
|---|---|
| 幅4m未満の道路に面した宅地 | セットバック(該当部分は70%減額) |
| 高低差・擁壁のある宅地 | がけ地補正 |
| 旗竿地・不整形地 | 不整形地補正、間口狭小・奥行長大補正 |
| 私道・位置指定道路 | 私道の評価減、または評価しない扱い |
| 借地・底地 | 借地権割合による評価 |
| 貸家・賃貸マンションの敷地 | 貸家建付地としての評価 |
| 商業地の高度利用地 | 用途・容積率が入り組む |
地方の土地を前提にした経験だけでは、東京の土地は拾いきれません。
詳しくは 東京の相続税|課税割合は全国の2倍 をご覧ください。
【新宿区・中野区・世田谷区にお住まいの方へ】
新宿区は、東京のなかでも土地の評価が難しい区です。
| エリア | 評価が難しい理由 |
|---|---|
| 西新宿・歌舞伎町・新宿三丁目 | 日本有数の商業地。用途と容積率が入り組み、貸家建付地も多い |
| 落合・中井・下落合 | 起伏があり、擁壁や高低差のある宅地が多い |
| 神楽坂・市谷・若松町 | 坂と細い路地。4m未満の道路が多い |
| 区内各所 | 戦前から続く借地・私道が残っています |
中野区・世田谷区も同様に、狭あい道路と高低差の多い区です。
同じ区内でも、街ごとに評価の方法が違います。 現地を歩いたことがあるかどうかで、拾える論点が変わります。
詳しくは 新宿区の相続税|土地評価が難しい街で損をしないために をご覧ください。
こういう選び方は、おすすめしません
正直に申し上げます。
| 選び方 | なぜよくないか |
|---|---|
| 料金の安さだけで決める | 土地の評価を簡略化すれば、報酬は下げられます。下がった報酬より、増えた税額のほうが大きいことがあります |
| 「相続に強い」の一言だけで判断する | 誰でも書けます。件数と土地への姿勢を確認してください |
| 顧問税理士だから、で決める | 法人税と相続税は別の専門分野です。顧問の先生に「相続税は年に何件ですか」と聞くのは失礼ではありません |
| 「必ず還付されます」と言う事務所を選ぶ | 土地の評価に絶対の正解はありません。断言する事務所は避けてください |
| 面談せずに決める | 相続はご家族の事情を話す仕事です。話しやすいかどうかは、実務と同じくらい重要です |
よくある質問
Q1. 相続税に強い税理士かどうかは、どう見分ければよいですか。
A. 相続税申告を年間何件扱っているかを、直接お尋ねください。 答えられない場合は、扱っていないということです。あわせて「そのうち土地が含まれていたものは何件か」「現地は見に行くか」「書面添付は付けるか」を確認すると、実態がはっきりします。ホームページに「相続に強い」と書いてあるかどうかは、判断材料になりません。
Q2. いまの顧問税理士に相続税申告を頼んでも大丈夫ですか。
A. 法人税と相続税は、別の専門分野です。 顧問の先生が相続税申告を日常的に扱っているなら問題ありません。そうでない場合は、相続税だけ別の税理士に依頼することもできます。顧問契約はそのままで構いません。「相続税は年に何件ですか」と聞くことは、失礼にはあたりません。
Q3. 相続税申告の料金の相場はどれくらいですか。
A. 遺産総額に応じた基本報酬に、加算報酬が乗る形が一般的です。 重要なのは金額そのものより、何が基本報酬に含まれるかです。戸籍収集、残高証明の取得、土地の評価、書面添付などの扱いは事務所ごとに違います。「最終的にいくらになりますか」と根拠を示してもらってください。当センターの料金は料金表に掲載しています。
Q4. 相続税がかからなそうですが、それでも相談したほうがよいですか。
A. 一度確認されることをおすすめします。 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続人が3人なら4,800万円で、東京の路線価を考えると決して大きな枠ではありません。また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額が0円になる場合は、申告をしてはじめて特例が適用されます。
Q5. すでに他の税理士に申告を依頼済みですが、見直せますか。
A. 法定申告期限から5年以内であれば、更正の請求で納めすぎた分を取り戻せる場合があります。 申告書の控えと土地の評価明細書をご用意のうえ、ご相談ください。ただし小規模宅地等の特例を後から追加適用することは、原則できません。詳しくは 相続税を払いすぎた?更正の請求で還付を受ける方法と期限 をご覧ください。
Q6. 税理士を途中で変えることはできますか。
A. できます。 申告期限までに間に合うかどうかが判断の分かれ目になりますので、迷われている場合は早めにご相談ください。すでに集めた資料は引き継げます。
Q7. 遠方に住んでいますが、東京の税理士に頼めますか。
A. 頼めます。 当センターはZoomでのご相談に対応しており、全国からご依頼をいただいています。東京に不動産があるなら、東京の土地を見慣れた税理士に頼むほうが有利です。 現地確認が必要な場合は、実際に伺います。
Q8. 面談のときは何を持っていけばよいですか。
A. 手元にあるものだけで構いません。 固定資産税の納税通知書、通帳、保険証券、登記簿があると話が早くなりますが、揃っていなくてもご相談いただけます。「何から手をつけてよいか分からない」という状態でお越しになる方がほとんどです。
まとめ
- 相続税で税理士による差が出るのは、土地と非上場株式だけです
- 確認すべきは ①年間の申告件数 ②現地を見るか ③書面添付 ④二次相続 ⑤料金の内訳
- 「相続に強い」と書いてあるかどうかは、判断材料になりません
- 東京の土地は評価が難しい(狭い道路・高低差・私道・借地・商業地)
- 料金の安さだけで選ばないでください。 下がった報酬より、増えた税額のほうが大きいことがあります
- 顧問税理士がいても、相続税だけ別の税理士に依頼できます
- すでに申告済みでも、期限内なら見直せる場合があります
ご相談のご案内
「まだ相続が起きていない」「何から聞けばよいか分からない」という段階でも構いません。 ご自身で手続きできる状況であれば、その旨を正直にお伝えします。
📞 0120-75-1234(9:00〜19:00/平日・土曜・日祝も受付)
💻 24時間WEB相談予約はこちら
オンライン面談に対応しています。
監修者
天尾信之(あまお のぶゆき)
税理士(登録番号 第136528号/東京税理士会)
税理士法人Ambitious 代表/新宿相続・生前贈与相談センター
相続・事業承継の相談実績3,000件超。手がけた相続税申告のうち、税務調査に至った割合は1%未満。
YouTube「まるごと安全相続ch-あまおう税理士」を運営し、
登録者42,000人・累計729万回再生(2026年8月時点)。
出典
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
- 国税庁 No.4602 土地家屋の評価
- 国税庁 No.4604 路線価方式による宅地の評価
- 国税庁 No.4620 無道路地の評価
- 国税庁 No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価
- 国税庁 No.4124 小規模宅地等の特例
- 国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
- e-Gov 税理士法(第33条の2 書面添付)
※本記事の内容は2026年9月時点の法令に基づいています。実際の判断は個別の事情により異なりますので、必ず税理士にご相談ください。

