1ミリも知らなかった借金を相続!?予期せぬ【後から借金】の対処法

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『相続完了後に浮上した故人の借金』。

後で分かった多額の借金は、一体どうすればいいのでしょうか?

「いきなり知らない借金の請求がきた。。」
「これって払わないとダメなの?」

こんな方はぜひ、読んでみて下さい。

ひと口に【借金】といっても、内容は様々。
借金が原因で人生が狂ってしまう可能性もあります。

  • 消費者金融からの借金
  • クレジットカードの未払い金
  • カードローン
  • 銀行などの金融機関からの借入金
  • 知人からの借金
  • 故人が連帯保証人になっている借金
  • 家賃や携帯料金など、各種滞納金や未払い金

etc.

後から分かった借金でも、対処方法はあります。
この記事を参考に、対策していきましょう。

知らなかった借金を相続してしまった時の対処法

「借金なんて無いと思って相続したのに、まさかあったなんて。。」

こんな時の対処法は4つ。

+・4つの対処法・+

【相続放棄】
【消滅時効の行使】
【債務整理で返済負担を減らす】
【自己破産】

上から順番に検討してみるのがおすすめ。
さっそくチェックし、借金対策をしていきましょう。

【相続放棄】

相続完了後の相続放棄は、基本的にできません。

しかし、借金を知ることができなかった然るべき理由があれば話は別。
家庭裁判所にて事情説明の手続きをし、認められれば相続放棄できます。

必ず成立する保障はありませんが、正当な理由があれば可能性は充分にあります。
まずは相続放棄を検討してみましょう。

◆・『後から相続放棄』の手続き期限・◆

借金の事実を知った時から3ヶ月

【消滅時効の行使】

消滅時効とは、一定期間使われていない権利を消滅させる制度。
つまり、借金返済が長期間行われていない場合、『返済する権利』を無くすことが出来るのです。

ただし、時効成立はかなり難しいのが現状。
時間進行がリセットされる条件が存在するためです。

可能性は低いかもしれませんが、念のため確認しておきましょう。

◆・未返済期間が経過していれば時効成立・◆

【銀行や消費者金融】:5年
【友人などの個人からの借金】:10年

▼▲・Check・▲▼
【経過期間のリセット】

以下のようなことがあった場合、カウント期間がリセット。
時効成立までには『連続期間』である必要があるため、注意しましょう。

  • 債権者が裁判所に訴訟提起する
  • 差し押さえされる
  • 時効成立前に借金返済の意思表示をする
  • 時効成立前に返済期間の延長をお願いする
  • 時効成立前に一部返済してしまう

【債務整理で返済負担を減らす】

借金先の業者と交渉し、支払いの負担を減らす方法。
借金の消滅は出来ないものの、支払額が減ることで経済的にかなり楽になります。

ただし、借金先の相手が同意しなければ成立しません。
個人で交渉するのは控え、弁護士や司法書士に相談し実行しましょう。

【自己破産】

相続放棄ができず、軽減しても返済が困難な場合は検討してみましょう。
いくつか注意点はありますが、借金を無くすことが出来ます。

主な注意点としては以下のとおり。

※・注意点・※

  • 自分所持の【高価な財産は処分】
  • 何年間は【クレジットカードの作成が困難】
  • 裁判所の審査が必要となり、【手続きしても必ず認められるわけではない】

また、専門家への支払い面が気になる人は法テラスへ相談してみましょう。
月5,000円~の分割払いや、免除を受けることができます。

ネガティブなイメージが強い自己破産ですが、破産法に基づく立派な救済措置。
尻込みせず利用してみましょう。

法テラスHP
法テラスHP:【自己破産のデメリット】
法テラスHP:【立て替え費用について】

特別な相続放棄が認められる基準とNG行為

特別な相続放棄が認められる明確な判断基準は、残念ながら用意されていません。
相続放棄の決定は、すべて家庭裁判所の判断に委ねられているためです。
とは言え、目安の基準を知っておきたい人もいるでしょう。

ここでは、実際の裁判事例を基にした判断基準をご紹介。
当てはまれば成立の可能性大!
必ずチェックしておきましょう。

また、正当な理由があったとしても、相続放棄が出来なくなってしまうNG行為もあります。
せっかくの可能性を水の泡にしないよう、ぜひ併せてご確認下さい。

認められる基準

相続財産が全くないと信じていた理由があった
相続財産の調査が困難な事情があった

【例えば】

  • 故人との仲が悪く長年交流が無かったため、資産状況の把握が困難だった
  • 海外に住んでいた上に親族とは長年連絡を取っていなかったため、財産調査のきっかけが無かった
  • 故人の何不自由ない暮らしから、借金の可能性に至らなかった

特別な相続放棄が認められた裁判例

【注意】

◆:『法律を知らなかった』という理由は認められない。

認められなくなるNG行為

遺産を処分

『相続した』とみなされ、相続放棄できなくなります。

  • 家などの不動産取り壊し
  • 遺産の譲渡
  • 遺産の売却
  • 預金口座の現金を使う etc.

以下行為は【OK】

  • 故人所持の【ごく僅かなお金】の使用や受け取り
  • 遺産で【葬儀費用】を支払う
  • 遺産で【墓石】や【仏壇】を買う

遺産で故人の借金を返済

相続放棄する前に一部でも返済してしまうと、手続きできなくなります。
なお、自分の口座から返済している場合は該当しません。

借金返済の通知を無視

『借金があることを知っていた上で相続放棄をしなかった』

単に手続きを怠ったと判断され、認めてもらえる可能性が大幅にダウンします。
「自分には関係ない」と無視するとリスクが高まるので注意しましょう。

【借金は疑え】証拠集めで安全相続

  • 「自分の家族が借金をするとは思えない」
  • 「まさか借金なんてあるわけがないだろう」

何の根拠もなしに勝手に思い込んでしまうのは、とってもリスキー。
借金の有無や金額を確認し、より安全な相続を実現させましょう。

ここでは借金の確認方法を2つご紹介。
簡単にまとめたので、ぜひチェックしてみて下さい。

なお、質の高い確実な調査をしたい方は、弁護士などの専門家へ依頼しましょう。

【信用情報機関】に開示請求する

3つの信用情報機関から、借金の情報を入手しましょう。

◆:【CIC】(指定信用情報機関)

【入手できる借金情報】
クレジットカード

【窓口】で開示請求
【郵送】で開示請求

◆:【JICC】(日本信用情報機構)

【入手できる借金情報】
消費者金融からの借金

【窓口】で開示請求
【郵送】で開示請求

◆:【全国銀行協会】

【入手できる借金情報】
銀行などからの貸付や不動産ローン

【郵送】で開示請求

【身の周り】から借金の証拠を探す

アナログ式で証拠を探すことも有効。
また、個人的な借金については地道に調べる他に方法はありません。

遺品整理の時などにチェックしてみましょう。

こんなものが有効

  • 預金通帳の取引履歴
  • 借用書
  • 請求書
  • 督促状

【注意】

個人間の借金問題はデリケート。
知人などへ直接問い合わせるのは、避けた方がいいかもしれません。

  • 『時効不成立』の原因になる
  • 『嘘の金額を請求』される可能性がある
  • そもそもトラブルになりやすく、『円滑な解決が難しい』

プラス財産があるなら【限定承認】も有効

  • 「プラス財産も借金もどっちもある」
  • 「借金額がハッキリせず、相続すべきか判断できない」
  • 「とにかく借金の支払いだけは回避したい」

こんな人は【限定承認】も視野に入れてみましょう。

限定承認とは相続方法の1つ。
相続放棄同様、手続きをすることで成立させることが出来ます。
状況によっては、相続放棄より限定承認の方が得策な場合も。

簡単にまとめたのでチェックしてみて下さい。

【限定承認】って?

プラス財産の範囲分だけマイナス財産を受け継ぐ相続法。
どんなに多額の借金があっても、プラス財産以上にはならないため相殺できます。

【メリット】

  1. プラス財産を上回っている借金は、切り捨て
  2. プラス財産が多い場合、借金との差額は手元に残る
  3. 借金の相続権が他の親族へ移らないため、トラブルにならない

◆・マイナス財産が多いとき・◆

◆・プラス財産が多いとき・◆

【注意】

  • 『相続人全員』が手続きしなければいけない
  • 手続き期限は『故人の死亡を知った日から3ヶ月以内』
  • 期限が過ぎたり、手続きしなかった場合は『自動的に全て相続』
  • 相続したプラス財産には、『所得税』と『住民税』が課税される

◆:手続き期限の延長

家庭裁判所へ『熟慮期間の伸長の申立て』をすれば、期間を延ばすことができます。
3ヶ月以内での相続放棄が難しい人は手続きしてみましょう。

★★・お役立ちmemo・★★
【相続放棄?限定承認?】

どちらを選ぶべきか?
以下のようなことを基準に決めてみましょう。

◆:【相続放棄】向き

  • 遺産にプラス財産がほとんど無く、圧倒的に借金が多い
  • 他、相続を選択するメリットがない

◆:【限定承認】向き

  • それなりのプラス財産がある
  • 借金額が不透明で、万が一のために備えたい

【最後に】この記事のまとめ

  • 借金を無くしたいなら、【相続放棄】【時効行使】【自己破産】【限定承認】
  • 借金の消滅ができなくても、【債務整理】で負担軽減はできる
  • 【法律の無知】は相応の理由にはならない
  • 遺産に手を付けたり、借金の存在を認識していた時は【相続放棄できない】
  • 借金の有無は【開示請求】や【身辺調査】で確認

借金はその後の人生を大きく変えてしまう、悩みの一つ。
後で分かった借金でも正しく対策することで、解決することが出来ます。

しかし、いざ手続きを進めるとなると不安を感じる人もいるでしょう。
闇雲に手続きした結果、不成立となっては元も子もありませんよね。

  • 「ちゃんと手続きができるか不安」
  • 「期限までのスケジュール管理が困難」
  • 「借金以外の問題もあり、最適な解決法が分からない」

悩みや不安がある人は無理せず、一度専門家へ相談してみましょう。

プロに任せることで確実性がUPし、借金回避の可能性が高まります。
少しの可能性もムダにせず対策していきたいところですよね。

報酬の支払いが難しい人は、『法テラス』の利用も視野に。
分割払いや免除も受けることが出来るので、負担を減らしつつ借金問題解決に取り組めます。

出来る対策は必ずあります。
諦めずに自分に合った方法を見つけてみましょう。

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