タンス預金で相続税の節税はできる? 知っておくべき調査体制とリスク

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは『タンス預金と節税』。
口座から現金を引き出し、自宅に隠しておけば税金から逃げれそうな気もしますよね。
支払う相続税が減れば嬉しい限りですが、実際はどうなのでしょうか。
「タンスのお金までは分からないのでは?」
「もし税務署にバレたらどうなるの?」
▼
このような方は、ぜひ読んでみて下さい。
タンス預金は節税方法として相応しいのか?
この記事を参考に、見定めてみて下さい。
タンス預金で相続税の節税はできる?

結論から言うと、タンス預金で相続税の節税は不可能です。
理由は2つ。
◆・タンス預金で節税できない理由・◆
- 【節税効果を得られる程の大金隠しは、税務署にバレる】
- 【仮に隠し通せたとしても、たかが知れている金額で節税効果はない】
タンス預金はリスクしかなく、お世辞にも賢い節税方法とは言えません。
安易な考えだけで実行するのは絶対にやめましょう。
▲▼・Check!・▼▲
【こんなものもタンス預金】
タンス預金には、以下のようなものも含まれます。
- 本棚に隠す
- 仏壇に隠す
- 金庫に隠す
- 庭に埋める
タンス預金を隠し切れない3つの理由

実は、税務署の調査期間には時効があります。
『5年』経過すると相続税の徴収権が消滅し、調査対象から除外。
つまり、タンス預金を隠し通せれば課税されることはありません。
しかし、時効まで逃げ切ることはほぼ不可能。
理由としては3つ。
タンス預金をご検討の方は、一度お目通し下さい。
KSKシステム
KSKとは、『Kokuzei Sougou Kanri(国税総合管理)』の略。
全国の国税局と税務署を結ぶ、ネットワークシステムです。
KSKを使えば、『国民の財産データ』を検索・把握することが可能。
「そこそこ財産はあるのに申告がないな」。
タンス預金で財産を隠しても、すぐに怪しまれてしまうのです。
財産額が多くければその分目立ち、税務署からマークされる確率も上昇。
もちろん、財産額が小さいからといって見過ごされるわけではありません。
情報がしっかり管理されているため、かいくぐることはまず不可能でしょう。
◆・KSKで管理されているデータ・◆
- 【収入】
- 【持っている財産】
- 【過去に相続した遺産】
- 【売却した不動産で得た収入】
etc.
強い権限&徹底調査
税務署は金融機関に照会依頼し、口座を自由に調べることができます。
相続人の口座はもちろん、他の家族の口座も調査可能。
さらに、調査範囲は『最低でも過去10年分』です。
お金の動きをトコトン調べ、隠ぺいの可能性を炙り出します。
タンスに隠しても、逃げ切ることはまず無理でしょう。
経験豊富なプロ
データ収集が終わった後は、『実地調査』。
自宅を訪問し、相続人に聴き取りなどを行います。
「余計なこと言わなければバレないんじゃない?」
実地調査する税務職員は数多くの経験を積んだプロ。
些細な会話や何気ない言葉から、タンス預金を見抜きます。
実際、聴き取りの段階で発覚しているケースがほとんど。
正当な理由が説明できない以上、逃れることは出来ないでしょう。
◆・質問例・◆
・・『故人』について・・
- 【財産形成の経緯】
- 【月々の生活費】
- 【趣味や生い立ち】
・・『相続人』について・・
- 【現在の収入】
- 【経歴】
- 【職業】
- 【故人の口座から引き出している場合、使用目的】
etc.
タンス預金がバレたらお仕置き!罰金で相続税UP

タンス預金による隠ぺいが発覚したらペナルティ。
『2つの罰金』が科され、支払いが大幅に増えてしまいます。
もちろん罰金だけでなく、本来の相続税も納付しなければいけません。
かなり痛い出費となるため、泣きを見るハメになってしまうでしょう。
延滞税
期限までに申告しなかった時のペナルティ。
タンス預金分の申告をしていないため科されます。
期限日から日が経つ度に罰金額UP。
納付が遅れれば遅れるほど、罰金額は膨れていきます。
◆・罰金額・◆
本来の相続税 × 延滞税の割合 × 滞納日数
◆:延滞税の割合
延滞税の割合は毎年更新。
相続税の納付期限から、『2ヶ月』経過しているかどうかで割合が変わります。
ちなみに、令和3年・令和4年の割合は以下のとおり。
| 期限から2ヶ月『以内』 | 期限から2ヶ月『以上』 | |
|---|---|---|
| 令和3年 | 2.5% | 8.8% |
| 令和4年 | 2.4% | 8.7% |
重加算税
故意的・悪質な隠ぺいをした時に科されるペナルティ。
罰金額はかなり高めに設定されています。
◆・罰金額・◆
本来の相続税 × 35%~40%
◆:知らなかったタンス預金が後で見つかった時は?
故意的なものでなくとも、期限後に見つかった場合はペナルティが生じてしまいます。
しかし、悪質な内容ではないため加算額は控えめ。
申告状況により以下のいずれかが適用されます。
◆・過少申告加算税・◆
(タンス預金以外の分は『申告&納付済み』の時)
タンス預金分の相続税 × 5%~15%
★:税務調査前に気付き自己申告&納付した時は、罰金なし
◆・無申告加算税・◆
(期限までに『一度も申告&納付していない』時)
タンス預金分の相続税 × 5%~20%
▲▼・Check!・▼▲
【『脱税』と判断されたら刑事罰】
そもそもタンス預金は『相続税の課税対象』。
隠して嘘の申告をすることは犯罪です。
訴訟され脱税と判断されれば、懲役や罰金が科されます。
人生を狂わす原因にもなるため、くれぐれも間違ったやり方で節税しないようにしましょう。
★★・お役立ちmemo・★★
【タンス預金自体は悪ではない】
いざという時のために、現金を手元に置いておきたい人もいるでしょう。
タンス預金そのものは何の問題もありません。
隠そうとする行為が問題なのです。
申告&納付さえすればお咎めなし。
何かのために使ったのであれば、しっかり説明すればいいのです。
相続税減らすなら『合法』が断然お得

相続税を減らすなら正々堂々と、『合法なやり方』が一番。
国が用意した特例や制度を使った方が、何倍も節税効果が得られます。
タンス預金ではできない金額の節税が可能。
場合によっては、『相続税ゼロ』にすることも出来てしまいます。
不要なリスクは避け、効率よく節税対策できる方法を選びましょう。
代表的な【特例&制度】
配偶者の税額軽減
- 故人の配偶者に適用できる特例
- 課税対象の遺産額が『1億6000万円まで』は、相続税が課税されない
小規模宅地等の特例
- 家や建物が建っている『土地』に適用できる特例
- 相続税を『最大80%』カットできる
死亡保険金の非課税額
- 『500万円 × 法定相続人の数』の金額までは、相続税は課税されない
【最後に】この記事のまとめ

- タンス預金での節税効果は【ほぼ皆無】な上、【ハイリスク】
- KSKシステムと徹底的な調査により、タンス預金は【ほぼ確実にバレる】
- タンス預金の隠ぺいがバレたら【罰金】
- 脱税と判断されたタンス預金は、【刑事罰対象】
- 相続税の節税は【合法】なやり方が安全で、かつ効率も良い
不要なリスクが潜んでいるタンス預金。
無意味な危険を冒してまで、タンス預金で節税したいと思う人はあまりいないでしょう。
自分の首を絞めるだけのやり方にこだわる必要はありませんよね。
相続税削るなら、やはり特例や制度の利用が◎。
ただし、条件が複雑なものもあるので慎重に検討しなければいけません。
- 「自分の場合、どんな特例や制度が使えるの?」
- 「自分で調べて申告するのが不安」
相続の悩み解決やアドバイスが必要な方は、一度専門家へ相談してみましょう。
問題解決ができるのはもちろん、より効果的で質の高い対策が可能に。
知識や経験を駆使し、それぞれの事情に合わせた『オーダーメイドな対策』ができるためです。
確実で安心な備えをしたい人は、前向きに検討してみましょう。
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