夫婦9割が該当?意図せぬ『名義預金』相続に関わる条件と5つのケース

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは『夫婦間の名義預金』。

名義預金と聞くと、おじいちゃんが孫のために貯めたお金をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、名義預金は夫婦の間柄でも発生します。
何気ないお金のやり取りが、知らず知らずのうちに名義預金を作っている可能性もあるのです。

「普段の生活で名義預金が?」
「どんなものが名義預金になるの?」
「名義預金を申告しなかったらどうなるの?」

このような方は、ぜひ読んでみて下さい。

名義預金は相続財産です。
相続人全員で分割しなければならず、申告もしなければいけません。
勘違いしたまま放っておくと、後で思いもしなかった事態になってしまうことも。

相続への備えとして、夫婦のお金を一度見直してみましょう。

【夫婦が作ってしまう名義預金】条件と5つのケース

名義預金になる条件は、『管理しているお金の出どころが、自分以外の人であること』。
相続では、『夫婦の財産 = 自分の財産』とはなりません。
離婚の財産分与とは違い、『個人レベル』で考える必要があるのです。

自分が稼いだお金でなければ、例え夫婦であっても名義預金。
多くの夫婦が普段の生活で行っているお金の受け渡しも、注意が必要なのです。

なお、名義預金には時効はありません。
どんなに昔の預金でも名義預金となり、相続税の課税対象となります。

夫婦で名義預金が発生する5つのケース

『専業主婦(主夫)』による貯金

お金の出どころと管理者が明らかに違うケース。
貯金全額が名義預金となります。

  1. 生活費などを現金で受け取り、余ったお金を自分名義の口座で貯金
  2. 生活費などを口座振込みしてもらい、自分名義の口座でそのまま貯金
  3. 生活費などを現金で受け取り、現金保管(タンス預金)

『共働き』で貯金

出どころの違うお金が混在しているケース。
管理者と一致していない部分が、名義預金となります。

  1. お互いに口座があり、入出金によりお金の行き来が発生している
  2. 1つの口座に共同で貯金している

★★・お役立ちmemo・★★
【相続で入手したお金】

相続で得たお金は自分の財産です。
自分名義の口座で貯金していれば、名義預金とはなりません。

夫婦間で『贈与したお金』も名義預金?

生前に財産渡しができる『贈与』。
お金を渡すという行為だけ見れば同じですが、全く別物です。

贈与されたお金は、『受け取った人固有の財産』に。
つまり、贈与されたお金を貯金しても名義預金にはなりません。

また、贈与には非課税枠が用意されています。
贈与の仕組みをうまく活用すれば、将来の相続税を減らすこともできるのです。

・贈与税の非課税枠・

1年間の贈与額が、『110万円以内』なら贈与税ゼロ
(1年間 = 1月1日~12月31日)

国税庁HP:【贈与税がかかる場合:暦年課税】より

ただし、贈与成立には条件があります。
間違ったやり方をしてしまうと、名義預金になってしまうので注意しましょう。

贈与成立の条件

『契約』により贈与していること

お互いが合意していること。
一方が何も知らなければ贈与不成立です。

『書面』で契約していること

実は贈与の形式は決まっていなく、お互いの合意があれば口約束でも成立します。
しかし、税務署を納得させるには証拠が必要です。
証明できなければ結局、名義預金となってしまうでしょう。

トラブル面を考えても、贈与方法は書面での契約一択。
『贈与契約書』や『贈与税の申告書』など、贈与の証拠を残しましょう。

振込口座は『もらう人の名義』&『もらう人が管理している』こと

管理者とお金の出どころが一致しなければ、名義預金となってしまいます。
名義預金の条件を回避しつつ、贈与をする必要があるのです。

また、現金手渡し贈与は原則NG。
やり取りの履歴が残る『振込』で贈与することがポイントです。

▲▼・Check!・▼▲
【過去に遡った贈与契約書は違法】

「日にちを過去にした契約書を作れば、贈与したことになるのでは?」

贈与は、手順を踏んで行わなければ成立しません。
偽造は違法行為です。
絶対にやめましょう。

【税務署の裏側】なぜ名義預金はバレるのか?

そもそもどうして、亡くなった人から受け取ったお金かどうか分かるのでしょうか?

名義預金が税務署にバレてしまう理由は大きく2つ。
気になる人はざっくり目を通してみて下さい。

【KSKシステム】

KSKとは、『Kokuzei Sougou Kanri(国税総合管理)』の略。
全国の国税局と税務署を結ぶ、ネットワークシステムです。

KSKを使えば、『国民の財産データ』を調べることが可能。
収入や高額な物を購入した履歴など、税務署は個人が所持している財産について知ることが出来るのです。

「財産状況を見る限り、申告が必要そうだけど申告がないな。。」

名義預金があるのに申告がモレていれば、不審に思いターゲットに。
たちまち調査対象になってしまいます。

【強力な調査権限】

税務署には、口座を調べる権限があります。
金融機関に照会依頼し、亡くなった人の口座や相続人、他の家族の口座まで調べることができるのです。

お金の動きを見れば、申告モレの有無は一目瞭然。
名義預金があれば、あっという間に見つかってしまうでしょう。

【放置NG】名義預金がバレたらペナルティ!

税務署の調査で名義預金が発覚したらペナルティ。

『名義預金分の相続税 + 罰金』の支払いをしなくてはいけません。
名義預金分の相続税だけ納めればOK、というわけにはいかないので注意しましょう。

罰金は、申告状況に応じ『2種類』発生します。
2つのケースごとに簡単にまとめましたので、ざっくり目を通してみて下さい。

ケース①
名義預金以外の分は『申告&納付済み』

【過少申告加算税】と【延滞税】の2種類が発生。
合計額がペナルティとして加算されます。

過少申告加算税

・・罰金額・・
名義預金分の相続税 × 10% or 15%
※(名義預金分の相続税額が一定金額以上の場合、差額部分は15%)

※税率15%が適用される2ケースと適用部分

名義預金分の相続税額が、『期限までに支払った相続税額を上回り、50万円以内』

※以下の部分は15%
『名義預金分の相続税額 ー 支払い済みの相続税』

名義預金分の相続税額が『50万円超え』

※以下の部分は15%
『名義預金分の相続税額 ー 50万円』

延滞税

・・罰金額・・
名義預金分の相続税 × 延滞税の割合 × 滞納日数 / 365日

◆:延滞税の割合

2段階で適用される金利。
期限から『2ヶ月経過後』は、金利が3倍以上にUPします。

なお、延滞税の割合は毎年更新。
令和3年・令和4年の割合は以下のとおりです。

『2ヶ月まで』の部分『2ヶ月超え』の部分
令和3年年2.5%年8.8%
令和4年年2.4%8.7%

国税庁HP:『延滞税の割合』より

◆:滞納日数

期限日の翌日~納付完了までの日にち。

ケース②
期限までに『一度も申告&納付していない』

【無申告加算税】と【延滞税】の2種類が発生。

合計額がペナルティとして加算されます。

無申告加算税

・・罰金額・・
名義預金分の相続税 × 15% or 20%
※(『50万円までの部分』は15%)
※(『50万円を超える部分』は20%)

延滞税

・・罰金額・・
名義預金分の相続税 × 延滞税の割合 × 滞納日数 / 365日

◆:延滞税の割合

2段階で適用される金利。
期限から『2ヶ月経過後』は、金利が3倍以上にUPします。

なお、延滞税の割合は毎年更新。
令和3年・令和4年の割合は以下のとおりです。

『2ヶ月まで』の部分『2ヶ月超え』の部分
令和3年2.5%8.8%
令和4年2.4%8.7%

国税庁HP:『延滞税の割合』より

◆:滞納日数

期限日の翌日~納付完了までの日にち。

▲▼・Check!・▼▲
【罰金は高額になりがち】

名義預金がモレていても、すぐに税務署から知らされるわけではありません。
通知の目安は、『申告してから6ヶ月~2年以内』。
放置すればする程、滞納日数が増えペナルティ額も膨らんでしまいます。

「申告してからかなり日が経ったけど、何もないからセーフかも?」

忘れた頃に指摘されるため、覚えがあるならば放置しないようにしましょう。
高額な罰金で泣きを見ぬよう、早めに対処することが得策です。

【最後に】この記事のまとめ

  • 名義預金の条件は、【お金を得た人と管理者の不一致】
  • 夫婦のお金が混在している場合は、【不一致の部分のみ名義預金】
  • 贈与されたお金は【名義預金ではない】
  • 名義預金は【KSKシステム】【強力な調査権限】でほぼ確実にバレる
  • 名義預金がバレたら【ペナルティ】が科され、滞納するだけ膨れていく

実は夫婦にこそありがちな名義預金。
意図せず作ってしまう傾向があるため、申告モレに注意したい内容です。

とは言え、名義預金そのものは悪いものではありません。
名義預金であると認識し、しっかり申告さえすれば何も問題はないのです。

また、税務署に指摘される前に『自主申告』すれば、ペナルティ額を抑えることができます。
早期に発見し対処すれば、罰金を払わずに済ませることも。
とにかく、名義預金の申告モレが分かったら先手を打って早めに対処することが得策です。

不安な方や心当たりのある方は、無理せず相続専門の税理士へ相談しましょう。

相談先が決まらずお悩みの方。
一度お気軽にご相談ください。

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