【未来戦略】家族信託で相続対策 絶対覚えて!節税事情と6つの税金

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『家族信託と相続対策』。

よく耳にする家族信託ですが、どんな効果があるのでしょうか?

「家族信託で節税できるの?」
「どんなことが出来るの?」

こんな方はぜひ、読んでみて下さい。

『理想の相続像』も持っている人は必見!
知識をつけておくことで、相続の幅や可能性がグンと広がります。

この記事では理解しやすいよう、なるべく簡単にまとめています。
まずは、気になるところから読んでみて下さい。

家族信託で相続対策できるの?節税は?

  • 節税対策
  • トラブル対策

相続対策をざっくり分けるとこの2つでしょう。

残念ながら、家族信託で節税することは出来ません。
相続税軽減を目的とした制度ではないためです。

反面、悩み解決の対策としてはとても優秀。
みなさんが抱いている、『理想的な相続実現』の強力な助っ人になってくれるかもしれません。

では具体的にどんなことができるのか?
次の章で解説していきます。

ざっくり分かる家族信託

こんな制度

財産の『管理』『処分』『運用』を家族に任せる制度。
名義を別の家族にすることで、持ち主と同じようなことが出来るようになります。

【例えば】

  • 土地や建物、その他財産の売却
  • 賃貸マンションの管理や契約
  • 株の取引き

大まかな流れ

  1. 家族同士で契約をする
  2. 任せられた人は、契約内容に沿って財産を管理する
  3. 家賃収入など、財産から出た利益は契約で指定された人が受け取る
  4. 契約が終了するまで続ける

押さえておきたい用語

信託財産

  • 管理を任せられた財産のこと
  • 全財産を指定する必要はない

委託者

  • 信託財産の持ち主で、管理をお願いする人

受託者

  • 信託財産を管理する人
  • 契約内容に従って管理しなければいけない
  • 契約で指定が無ければ、勝手に処分したり使うことはできない
  • 信託財産から出た利益を受け取ることはできない
  • 『受益者』と同じ人には原則NG

受益者

  • 信託財産からの利益を受け取る人
  • 賃貸不動産からの家賃収入などが当てはまる
  • 『委託者』と同じ人でもOK

家族信託でできる3つの相続対策とデメリット

さっそく、家族信託でできる相続対策を簡単に3つご紹介。
ピン!ときたら、家族信託を検討してみるのも◎。

また、デメリットもやはり存在します。
プラス面とマイナス面の両方を理解した上、判断してみましょう。

認知症へ備えることができる

家族信託といえば、認知症対策。
多くの人が家族信託を検討する圧倒的理由です。

認知症になってしまうと、財産の管理面であらゆる問題が発生。
他の人が代理で行うことが出来ず、財産が身動きできなくなってしまいます。

! こんな問題が発生

  • 預貯金の引き出しや使用
  • 不動産の売却
  • リフォーム
  • 契約や契約の取り消し

あらかじめ家族信託を始めておけば、家族が代理で行えるように。
また、『障害』により判断能力が低下している場合も同様に対策できます。

将来を見据えた、心強い備えと言えるでしょう。

自分以外の人のためにもなる

  • 認知症の配偶者のために
  • 障害を持つ子どものために

大事な人を守るためにも家族信託は有効。
自分が死亡した後も、別の家族が代わりに管理や運用をしてれます。

オリジナルの財産渡しルートが作れる

家族信託では、財産を渡す『順番』も決めることが可能。
『受益者』をうまく設定することで、思い描く財産渡しルートが作れてしまうのです。

通常の相続ではあり得ない、相続順位に左右されない渡し方の実現も可能となります。

★ 『受益者』設定ルール

  • だれでもOK(第三者も可)
  • 連続指定ができる
  • 『受託者』との兼任はNG

さらに、信託財産は遺産分割協議の対象にはなりません。
確実に財産を渡しつつ、トラブルも回避できる優秀な制度なのです。

なお、財産の渡し方として遺言書や生前贈与という方法もあります。
家族信託に比べ、『自由度』が下がる点は理解しておきましょう。
(後半記載、『ほか生前対策のデメリット』も参考にしてみてね)

【例】こんなルートも作れる◎

孫世代まで指定ルート①

『委託者』:祖父母
『受託者』:親
『受益者』:孫

  • 財産の管理は親が担当
  • 幼い孫に渡したい人におすすめ

孫世代まで指定ルート②

『委託者』:祖父母
『受託者』:親
『第1受益者』:祖父母
『第2受益者』:孫(祖父母が死亡したら)

  • 生きているうちの利益は自分が取得
  • 死亡後、親を飛ばして直接孫へ相続させたい人におすすめ

血族財産お守りルート

『委託者』:祖父母
『受託者』:甥姪
『第1受益者』:祖父母
『第2受益者』:配偶者(祖父母が死亡したら)
『第3受益者』:甥姪(配偶者が死亡したら)

  • 夫婦の間に子はいないが、甥姪がいる
  • 配偶者には遺したいが、配偶者の親族側に財産を流したくない人におすすめ

不動産の共有名義を解消できる

共有名義になっている不動産は、他の人の同意がなければ手続きを進めることは出来ません。

  • 土地や建物の売却
  • 賃貸マンションの管理、運用、契約

思うように進めることができずテンポが悪いため、ストレスに感じてしまうでしょう。

★ 家族信託で賃貸マンションを2人の子どもに遺す

  • 『委託者』:2人の子の親
  • 『受託者』:長男
  • 『第1受益者』:2人の子の親
  • 『第2受益者』:次男

不動産の名義が長男になり、死亡後も長男1人の判断で進めることができる!

お役立ちmemo

名義変更をすると、『登録免許税』が発生します。
家族信託で手続きをすると、生前贈与で不動産をもらう時よりも格段に安くなります。

【生前贈与】
評価額の2%

【家族信託】
『土地』:評価額の0.3%
『建物』:評価額の0.4%

(※ 2021年12月現在の税率です)

デメリット

  • 認知症になった『後』には信託契約できない
  • 遺留分は無視できない(請求される人は『委託者』と『受託者』)
  • 身上監護はできない
  • 『受託者』に負担がかかる
  • 家族と言えど、他の目的に使用されない保証はない
  • そもそも信頼できる家族がいなければ難しい

要チェック!家族信託で発生する税金と条件

「家族信託をさっそく始めよう!」

その前に、発生しうる税金を把握しておきましょう。
自由な家族信託ですが、何の考えもなく好き勝手やると思いもよらぬ出費が出ることも。
逆に知っておけば、課税されない範囲で設定することも可能です。

まずはざっくりチェックしてみて下さい。

◆・時系列で見る発生税金リスト・◆

★:信託スタート準備

  • 登録免許税
  • 贈与税

★:信託進行中

  • 固定資産税
  • 所得税&住民税
  • 登録免許税

★:信託終了

  • 相続税
  • 贈与税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税

【信託スタート準備】で発生する税金

【登録免許税】

課税条件

  • 信託財産の中に『不動産』がある

課税される人

  • 『受託者』

【税額】

土地建物
登録免許税(登録)評価額の0.3%評価額の0.4%
登録免許税(抹消)1個につき1,000円1個につき1,000円

※(2021年12月現在)

国税庁HPより

  • (登録)⇒『委託者』から『受託者』へ名義変更する時に発生
  • (抹消)⇒『委託者』の名義を消す時に発生
  • 不動産取得税は発生しない

【贈与税】

課税条件

  • 『受益者』が『委託者』とちがう人で設定されている時

課税される人

  • 『受益者』

【信託進行中】に発生する税金

【固定資産税】

課税条件

  • 信託財産の中に『不動産』がある時

課税される人

  • 『受託者』

【補足】支払いについて

  • 不動産の名義変更をしているため、受託者宛てに『納付書』が届く
  • 管理費用として信託財産から、または発生した利益で支払うため、実質的な負担はゼロ

【所得税】&【住民税】

課税条件

  • 信託財産からの『利益』を受け取っている時
  • 不動産や受益権の『売却』により、『収入』が発生した時

課税される人

  • 『受益者』

【例】

  • 賃貸マンションからの家賃収入を得ている
  • 賃貸マンションの家賃収入を得る権利を、他の人に売った
  • 賃貸マンションそのものを売った

【登録免許税】

課税条件

  • 受益者を『変更』した時
    (『受託者』の変更は課税されない)

課税される人

  • 『受益者』
土地建物
登録免許税(登録)--
登録免許税(抹消)1個につき1,000円1個につき1,000円

【例】こんな理由で変更した時

  • 受益者が『死亡』し、受益者が変わった
  • 受益者が『受益権を贈与』し、受益者が変わった

【信託終了】で発生する税金

【相続税】

課税条件

  • 受益者の『死亡』により、信託が終了したとき

課税される人

  • 『残った信託財産』を受け取った人

【補足】残った財産を受け取る人

  • 信託スタート時に『あらかじめ指定している人』
  • 指定していない場合は『受益者の相続人』、または『受益者が遺言書で指定している人』

【贈与税】

課税条件

  • 『委託者』と『受益者』が同じ人で、残った信託財産を受け取る人が『別の人』のとき
  • 信託終了の原因が、『委託者 = 受益者』の死亡でないとき

課税される人

  • 『残った信託財産』を受け取った人

【例】

契約期間満了により、以下内容で信託終了。

  • 『委託者』:Aさん
  • 『受託者』:Bさん
  • 『受益者』:Aさん
  • 『残った財産を受け取った人』:Cさん(贈与税が発生)

【登録免許税】【不動産取得税】

課税条件

  • 信託財産の中に『不動産』があるとき

課税される人

  • 『不動産』を受け取った人

【税額】

土地建物
登録免許税(登録)評価額の2%評価額の2%
登録免許税(抹消)1個につき1,000円1個につき1,000円
不動産取得税評価額の4%
(軽減:3%)
評価額の4%
(住宅は軽減:3%)

※(2024年3月31日まで不動産取得税が軽減)

総務省HPより

ただし、以下のような時は減税。

★:不動産を受け取った人が『相続人』のとき
★:『受託者』から元々の持ち主の『委託者』に戻るとき

★・不動産を受け取った人が『相続人』・★

減税条件

  • 『委託者』と『受益者』が同じ人
  • 受け取る人が『委託者 = 受益者』の『相続人』
  • 『委託者 = 受益者』の死亡により信託終了
  • 信託スタート時の『委託者 = 受益者』に変更がない

【税額】

土地建物
登録免許税(登録)評価額の0.4%評価額の0.4%
登録免許税(抹消)1個につき1,000円1個につき1,000円
不動産取得税--

★・『受託者』から『委託者』戻るだけ・★

減税条件

  • 『委託者』と『受益者』が同じ人
  • 受け取る人が『委託者 = 受益者』
  • 信託スタート時の『委託者 = 受益者』に変更がない

【税額】

土地建物
登録免許税(登録)--
登録免許税(抹消)1個につき1,000円1個につき1,000円
不動産取得税--

成年後見制度とは何が違うの?どっちがいい?

「家族信託と成年後見制度、どっちがいいの?」

状況によって変わるため、答えとしてはケースバイケース。
制度の特徴を理解し、どちらを選ぶべきか判断してみましょう。

◆・『成年後見制度』はこんな制度・◆

  • 『後見人』が、認知症や障害を持った人の代わりに財産管理や手続きを行える制度
  • 家庭裁判所に申立てをすることで開始できる

◆:2つの制度の比較

成年後見制度家族信託
判断能力低下『後』の手続き
身上監護
投資などの資産運用
生前贈与などの相続対策
報酬の支払い
(専門家が後見人の場合は発生)

注意点

  • 『後見人』は裁判所が選ぶ
  • 家族を候補で挙げても選ばれる保証はなく、弁護士などの専門家になる場合もある
  • 家庭裁判書へ定期的な報告が必要(領収書管理などが必要)

◆・判断基準・◆

今現在の『判断能力の状態』はどうか
【良好】『家族信託』がおすすめ
【低下】『成年後見制度』がおすすめ

身上監護をしたいか
【はい】『成年後見制度』がおすすめ
【いいえ】『家族信託』がおすすめ

自由な財産対策や相続対策をしたいか
【はい】『家族信託』がおすすめ
【いいえ】『成年後見制度』がおすすめ

信頼できる家族や親族がいるか
【はい】『家族信託』がおすすめ
【いいえ】『成年後見制度』がおすすめ

お役立ちmemo
◆:ほか生前対策のデメリット

◆:生前贈与

  • 基礎控除枠を超えると贈与税がかかる
  • 贈与した財産は戻せない

◆:生命保険

  • 死亡保険金の受取人が限定的

◆:遺言書

  • 孫の世代の相続指定はできない
  • 自分が死亡した後でないと財産を渡せない
  • 相続人全員の合意があれば無効となるため、遺せる保証がない

【最後に】この記事のまとめ

  • 家族信託は【認知症】【障害】対策が得意
  • 家族信託は【自由度】【実現性】が高い
  • 家族信託は【スムーズな経営】【ストレスフリーな手続き】にも適している
  • 家族信託の【開始】【進行中】【終了】のタイミングで発生する税金がある
  • 成年後見制度は【認知症後】でも手続きできるが、縛られた環境になる

将来の不安を断ち切ることができる家族信託。
うまく使いこなせば、理想の財産渡しに近づける魅力的な制度です。
可能性の幅が広がって、納得できる選択肢が見つかるかもしれませんね。

しかし反面、『自由度の高さ』が迷いの原因になってしまう方もいるでしょう。
自分で設計することに少しでも不安のある方は、やはり専門家を頼ることをおすすめ。

家族信託はとても画期的な仕組みですが、とても複雑です。
確実に、『思い通り』を達成させるには相応の知識と経験は必須。

多くの事務所では無料相談を用意しています。
相談をしたからといって、必ず依頼をしなければいけないことはありません。

まずは話を聞いてもらい、対策の一歩を踏み出してみましょう。

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