『書面添付制度』で税務調査スルー?2大メリットと3つのデメリット

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは『書面添付制度と税務調査』。

書面添付制度を使えば、税務調査されない!
こんな話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

本当にそんな効果があるならば、かなり優秀な制度。
使わない手はありませんよね。
税理士だけに認められた権利の1つです。

「そんな魔法のような制度が?」
「税務調査されないなら制度を利用したい!」

こんな方はぜひ読んでみて下さい。

また、書面添付制度のメリットとデメリットも一緒にご紹介。
特性を把握しておけば、より安心な相続対策ができるようになるでしょう。

間違った認識は後悔の原因にもなります。
この記事を参考に、書面添付制度を正しく知ってみましょう。

『書面添付制度』で税務調査をスルーできるのか?

残念ながら、『書面添付制度 = 税務調査の対象から外れる』ということはありません。
書面添付制度を利用しても、税務調査が必要だと判断された場合はされます。

そもそも書面添付制度とは、『申告書の信憑性を証明する制度』。
税務調査対策を目的とした制度ではないのです。

ただし、書面添付制度を利用することで、『間接的に』税務調査回避へ繋がることはあります。

税務調査『取消し』のチャンスが得られる

書面添付制度を使っている場合、税務署はすぐに調査を実行することができません。
必ず税理士へ一旦、申告内容について聴き取りを行う必要があるのです。

税理士からの聴き取りで納得すれば、その後の税務調査はキャンセル。
書面添付制度が、調査取消しの『きっかけ』を作り出すことができます。

◆・通常・◆

【申告内容をチェック】

【相続人へ税務調査の事前連絡】

【相続人へ聴き取り調査】

◆・書面添付制度の利用・◆

【申告内容チェック】

【税理士へ意見聴取】
★(相続人の立ち合い不要)
★(疑問解消できれば調査キャンセル)

【相続人へ税務調査の事前連絡】
(疑問解消できなければ予定どおり調査実行)

【相続人へ聴き取り調査】

▲▼・Check!・▼▲
【『強制捜査』『無予告調査』は対象外】

極めて悪質な脱税の疑いがある場合などは、書面添付制度は適用されません。
問答無用で調査が実施されます。

あくまで合法な申告にのみ効果が得られる制度です。

【2大メリット】書面添付制度で『安心相続』

書面添付制度の強みは、税務調査への影響だけではありません。
相続手続きを進める上での『不安解消』にも役立ってくれるのです。

ここでは、書面添付制度のメリットを2つご紹介。
それぞれ簡単に解説していきます。

万が一のペナルティに備えられる

税務調査の結果、申告モレが発覚した場合はペナルティ。
足りない相続税に加え、罰金も支払わなくてはいけません。

追加されるペナルティは、【延滞税】と【加算税】。
2種類の支払いが発生してしまいます。

・・税務署へ支払う金額・・

不足分の相続税 + 延滞税 + 加算税

しかし、書面添付制度を使って申告していれば別。
税理士への意見聴取の段階でモレが発覚しその後に修正申告すれば、【加算税】の支払いが不要になるのです。

【延滞税】の支払いは残りますが、ペナルティを軽減することができます。

◆・延滞税・◆

・・ペナルティ額・・

不足分の相続税 × 延滞税の割合 × 滞納日数 / 365日

延滞税の割合

毎年更新される、2段階の金利。
期限から『2ヶ月経過後』は、金利が3倍以上にUPします。

令和3年・令和4年の割合は以下のとおり。

『2ヶ月まで』の部分『2ヶ月超え』の部分
令和3年年2.5%年8.8%
令和4年年2.4%年8.7%

国税庁HP:『延滞税の割合』より

滞納日数

期限日の翌日~納付完了までの日にち。

◆・加算税・◆※(申告状況によりいずれかが適用)

【期限までに一度も申告していない時】

【無申告加算税】

・・ペナルティ額・・

不足分の相続税 × 15%~20%

【申告はしているが、相続税が足りない時】

【過少申告加算税】

・・ペナルティ額・・

不足分の相続税 × 10%~15%

【故意的・悪質な隠ぺいをしていた時】

【重加算税】

・・ペナルティ額・・

不足分の相続税 × 35%~40%

信頼できる税理士選びの基準になる

申告書の信用度を上げることができる書面添付制度。
一方、税理士にとってはリスクを背負うことにもなります。

もし嘘の内容を記載してしまった場合、最長で1年間の業務停止を命じられてしまうためです。

つまり、書面添付制度を『表向きだけ』で主張するのは、まず考えられません。
わざわざ危険を冒し自分の首を絞めてまで、いい加減な仕事をする税理士はいないでしょう。

もちろん、書面添付制度を取り入れていない税理士が信用できないということではありません。
しかし、顔見知りでもない限り見極めるのは困難でしょう。

書面添付制度は、信頼できる相手を見極める一つの要素と見て問題ありません。

▲▼・Check!・▼▲
【逆効果?テンプレ書面にはご注意】

添付する書面内容は当然、相続人によって違ってきます。
しかし、税理士の中には定型文のような内容で提出する人もいます。

テンプレのような添付書面はあまり意味を成しません。
嘘の記述は無いにしろ、中身がスカスカの書面では特別信頼できる書面に値しないからです。

税理士へ依頼するときは、書面の内容についても一度確認してみましょう。

【3つのデメリット】書面添付制度ご利用の注意点

何かと魅力的な書面添付制度ですが、やはり欠点もあります。
正しく理解するためには、デメリットもしっかり知っておくことが重要です。

ここでは、3つのデメリットを簡単にご紹介。
ざっくりと目を通してみて下さい。

通常より費用がかかる

  • 贈与が過去に行われていないか?
  • 名義預金はないか?
  • 不動産や有価証券の過去の動きは?
  • 過去の預貯金の動きは?

etc.

噓偽りのない質の高い申告書にするためには、念入りな調査は必要不可欠。
調査時間が増えるため、通常と比べ費用が高くなってしまうのです。

費用削減を第一に考えている人には、向いていないかもしれません。

言いたくないことも伝えなければいけない

書面添付制度の大前提は、『不正がない正しい申告』。
正しい申告には調査が必要ですが、相続人の協力がなければ達成できません。
一方的に「書面添付制度で申告してくれ」、と言えば済む話ではないのです。

書面添付制度はお互いの信頼関係で成立します。
不透明な情報で、制度を使ってくれる税理士はまず考えられません。

どんなに言いにくい内容でも伝える覚悟が必要でしょう。

・・非協力的な態度はNG・・

  • 不明確な入出金の詳細を教えない
  • 通帳などの必要書類を提出しない

etc.

すべての税理士が取り入れている制度ではない

税理士にとってリスキーな書面添付制度。
そもそも取り入れている事務所が、実はそんなに多くはないのです。

「書面添付制度が使えるところが中々見つからない...。」
「お世話になっている税理士にお願いしたいけど、書面添付制度を扱ってなかった...。」

依頼できる税理士を決めるのに難航してしまうかもしれません。

【結論】書面添付制度ありきではなく『正しい申告』を

脱税を防ぐために行われる税務調査。
結局のところ、正しい申告ができていれば何も問題はありません。

最後に、正確で質の高い申告にするためのポイントを3つご紹介。
それぞれ簡単にまとめましたので、ざっくり読んでみて下さい。

財産を『モレなく把握』&『正確な評価』

  • 故人の財産を『全て』把握しているか?
  • 財産額は『正しく』評価されたものか?

この2つの質問に自信を持って答えられなければ、正しい申告は難しいかもしれません。

「実は知らない不動産があった...。」
「土地の評価が間違っていた...。」

モレや計算ミスは、税務調査のターゲット。
ペナルティ料金が発生してしまう可能性もあります。

こんなもんだろうと雰囲気で申告するのはやめましょう。

▲▼・Check!・▼▲
【財産隠しは当然NG】

例えば『タンス預金』。
もしかしたら、バレないだろうと思ってる人もいるかもしれませんが、ほぼ確実にバレます。
国民の財産状況はすべてデータ化され、税務署が把握しているためです。

そもそもタンス預金はれっきとした『相続財産』。
脱税と判断されれば、重い罰が科されます。

税を逃れるための財産隠しはやめましょう。

相続人を『正確に把握』

相続税は財産だけで決めることはできません。
財産をもらう権利が誰にあるのか、しっかり把握しておく必要があります。

相続人が1人違っているだけで、申告内容は変わってきます。
財産と同じ基礎的な部分となるため、しっかり確定しておきましょう。

税理士を『テキトーに』選ばない

「税理士だったら、どこでも一緒じゃないの?」

実は同じ税理士でも、仕事内容はそれぞれ。
みんながみんな、相続に強いわけではないのです。

◆・税理士の仕事・◆

  • 【確定申告】
  • 【税務書類の作成】
  • 【記帳代行】
  • 【コンサルティング】
  • 【相続税の申告】

etc.

相続税の申告をお願いするなら『相続専門』の税理士へ。
知識や経験が備わっているため、安心な相続対策ができるためです。

とくに、特例を使って節税をしたい人は税理士選びは慎重に。
不慣れな税理士に頼んだ結果、最大限の節税対策ができなかった...なんてこともあり得ます。

専門分野を得意とする税理士を選びましょう。

【最後に】この記事のまとめ

  • 書面添付制度を使っても、【税務調査の対象外とはならない】
  • ただし、【税務調査キャンセル】のきっかけにはなる
  • 書面添付制度で申告すれば、ペナルティが発生しても【加算税カット】
  • デメリットは、【費用がかかる】【個人事情の開示】【普及率が低い】
  • 税務調査回避の根本的な対策は、【正しい申告】

書面添付制度を使う場合も使わない場合も、重要なのは『正しい申告』。
嘘や偽りはもってのほかですが、モレやミスがなければ税務調査を過度に恐れる必要はないでしょう。

そうは言っても、やはり不安は付き物。
とくに自力で申告を検討している人は、より一層の注意が必要です。
不慣れによるボロが税務署に見つかってしまえば、調査対象となってしまうでしょう。

相続をより安心に達成したいのであれば、やはり『相続専門の税理士』へ相談を。
余計な悩みがなくなり、幅広い対策も可能となります。
知識や経験の力を借りれば、効果的でスムーズな備えができるでしょう。

ぜひ一度ご自身の相続事情を見直し、最適な選択を。
相談先で悩んでいる方がいれば、お気軽にお問い合わせください。

【Pick up!】こちらの記事もCheck!

menu