【遺留分とは】簡単に知りたい人集まれ!”だいたい”分かる遺留分

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『遺留分』。

相続界でよく耳にする言葉ですが、よく分からない人もいるでしょう。
漢字3文字で何だか堅そうなイメージ。

この時点ですでに挫折してしまいそうですよね。

「遺留分ってなに?」
「知りたいけど難しいのムリ。簡単にお願いします。」

こんな方はぜひ、読んでみて下さい。

この記事では難しい表現をなるべく避け、可能な限りラフに解説!
気楽に遺留分の基礎知識を身に付けることができます。

遺留分を知る第一歩として、ご活用下さい。

【まずはザックリ】遺留分とは何者?

遺留分とは、法律で決められた『絶対貰える遺産の取り分』のこと。

遺言書による遺産分けが『不公平』だった。。
こんなケースはよくあります。

そこで登場するのが遺留分。
貰い過ぎている人に請求すれば、絶対貰える遺産を手に入れることが出来るのです。

こんな時は『遺留分』で対策

  • 姉に全財産!?自分の取り分ゼロ
  • 遺産は貰えるみたいだけど、明らかに他の人より少ない
  • 愛人に全財産!?家族には一切なし!
  • 兄は生前に不動産を貰っている!残った遺産も均等に分けるなんて不平等では?

◆・ミニ知識・◆

遺留分を満たしていない状態は、『侵害されている』と表現します。
遺留分を請求することは、『遺留分侵害請求』。

ちなみに以前は、『遺留分減殺請求』という呼び方でした。

【3つの基礎】遺留分のベースはこれでOK!

とりあえず遺留分の正体は分かったかと思います。
続いては、最低限知っておきたい基礎知識。

遺留分の基盤とも言える、絶対覚えておくべきこと3つを解説していきます。
ここが分かれば基礎のキはOK!

引き続きザックリと読んでみて下さい。

遺留分ある人ない人

遺留分はだれでも認められているものではありません。
権利がない人は、どんなに不満があっても請求できないので注意しましょう。

★:ある人

  • 配偶者
  • 親(または祖父母)

▲:ない人

  • 兄弟姉妹
  • 友人などの第三者
  • 相続欠格者
  • 相続廃除者
  • 相続放棄した人

請求できる金額は『不足分』

財産を少額でも貰っている場合、請求できる金額は『遺留分満額』ではありません。
本来の遺留分から引き、残った部分を入手。

もちろん何も貰っていなければ、遺留分まるごと請求できます。

  • 【遺留分】1,000万円
  • 【相続した財産】100万円

【請求できる金額】900万円

請求する権利は消える

遺留分を請求する権利は、いつまでもあるわけではありません。
いわゆる『消滅時効』があり、期限が過ぎると永久に取り戻せなくなります。

  • 【請求期限】『遺留分を満たしていないことを知った日』から1年
  • 【消滅時効】『相続開始日』から10年

つまり、死亡していたことを『後で』知っても、10年経つと請求できなくなります。
財産の取り分が少ないと思ったら、早めに行動しましょう。

◆・お役立ちmemo・◆
時間経過は止めれる

相手に請求する手段として、『内容証明郵便での書類送付』があります。
内容証明郵便を送ると、時間がカウントされず一旦止まります。

長期戦の対策としても役立つため、覚えておきましょう。

【遺留分の落とし穴】知っておくべき注意点

  • 知識不足で損をしてしまった
  • 予想外の展開でどうしていいか分からない

こんな事態にならぬよう、注意点も把握しておきましょう。

自分から請求しなければ貰えない

遺留分はあくまで『与えられた権利』。
自動的に財産が戻ってくるわけではありません。

請求しないまま時効が成立すれば、入手は永遠に不可。
納得できない時は、自ら行動しましょう。

ちなみに

遺留分を侵害している遺言書は無効になるわけではありません。
また、違法でもありません。

【不平等な遺産分けだがとくに異議なく、相続人全員が納得している】

こんな時は、問題なく遺言内容が成立します。
あくまで『請求するか、しないか』の問題なのです。

遺言書で遺留分を無くすことは出来ない

遺言書

  • 「全財産を愛人へ相続させる」
  • 「遺留分の請求は認めない」

遺留分について遺言書で指示されていても、効力はありません。
何の問題もなく請求できます。

借金の請求からは逃げられない

遺言書

  • 「全財産を長男に相続させる」

全財産とは、文字通り『すべての財産』。
プラス財産はもちろん、借金などのマイナス財産も含まれています。

遺留分だけ貰って終わりと思われがちですが、借金の支払い義務は残ったまま。
遺留分を手に入れたということは、最低限の財産を貰い『相続』したということです。

つまり、お金を貸した側からすれば相続した人は全員、返済すべき人。
遺留分を貰った人も払った人も、みんな平等に借金を請求されてしまいます。

こんな遺言書があった時は?

遺言書

  • 「全財産を長男に相続させる」
  • 「借金もすべて長男が支払うこと」

残念ながら遺言書に書かれていても、借金の返済義務を消すことは不可能。
解決できる方法も一応ありますが、リスクが高くオススメ出来ません。

借金を完全にシャットアウトしたい人は、『相続放棄』を視野に。
ただし、遺留分は貰えなくなるので慎重に判断しましょう。

◆・一応こんな解決策はある・◆

他の相続人が一旦支払い、後で返してもらう
​【リスク】返してもらえる保証はない

借金先と話し合い、返済する人を1人(財産を多く貰った人)にしてもらう
【リスク】相手にとっては不利な条件のため、なかなか合意が得られない

【余裕ある人は】知っておけば強い!補足知識2選

最後に、サブ知識を2つご紹介。
少しだけ情報量を増やすことで、より賢い対策ができるようになります。

知っておいて決して損はありません。
気持ちと時間に余裕がある人は、ぜひ読んでみて下さい。

遺留分の請求方法

請求方法は2通り。
状況に応じて選びましょう。

直接請求

相手と話し合い、直接金額を請求する方法。
口頭だけの交渉は証拠が残らず、後でトラブルになる可能性があります。
『内容証明郵便』+『配達証明』による、書類請求がおすすめです。

裁判所経由で請求

  • 直接交渉したくない(会いたくない)
  • 相手が応じてくれない
  • 直接交渉で、相手からの合意が得られなかった

このような人は裁判所を間に入れ、請求しましょう。
流れとしては以下のとおり。

step1 家庭裁判所へ申立て(調停)

  • 【請求する相手】が住んでいる地域を管轄している裁判所で手続き
  • 調停委員が代わりに交渉してくれる
  • 相手と顔を合わせることは基本的にないため、感情的なトラブルは回避できる

step2 解決できなければ訴訟

  • 地方裁判所にて訴訟
  • 遺言書などの証拠を提示し、法律の力で強制的に解決をする
  • 法的知識を必要とするため、弁護士に依頼するのが一般的

◆・内容証明郵便?配達証明?・◆

【内容証明郵便】

『送った文章内容』を証明できる郵便サービス。
書類の偽造防止に役立ちます。

【配達証明】

『配達した事実』を証明できる配達オプション。
相手の言い逃れ防止に役立ちます。

贈与も遺留分に関わってくる

遺留分は、『死亡した時の遺された財産だけ』に関わってくるものではありません。
過去に戻り、生前に行われた贈与金額も対象。

つまり、遺言で分けられた遺産は少なくても、生前に多くの財産を貰っていれば、請求できる可能性があるということです。

ただし、対象期間に行われた贈与のみが当てはまります。

対象期間

【特別受益にあたる贈与】

相続開始前『10年以内まで』が対象

【その他の贈与】

相続開始前『1年以内まで』が対象

ただし、他の相続人の遺留分侵害を知って行われたものは、『すべて対象』

特別受益って?

  • 法定相続人への贈与
  • 結婚や養子縁組、生計の資本のための贈与

この2つを満たした贈与は『特別受益』とされています。
第三者への贈与は対象外。

ただし、親子には扶養の義務があり、特別受益と判断されないこともあります。
正確に知りたい方は、専門家へ相談してみましょう。

例えばこんな贈与

  • 住宅の購入資金
  • 結婚式の資金
  • 生活費
  • 学費
  • 不動産や車
  • 事業資金

【最後に】この記事のまとめ

  • 遺留分とは、【絶対貰える遺産の取り分】
  • 不公平な遺産分けで遺留分より少ない場合、【請求】することで入手できる
  • 【兄弟姉妹】【第三者】【相続権がない人】に遺留分は存在しない
  • どんな理由があれど、【10年経過】すれば請求できなくなる
  • 遺留分の受け取りは相続となるため、【借金の回避は不可】

法の力で絶対に貰える財産、遺留分。
だいぶイメージ出来るようになったのではないでしょうか?
もしもの時には、絶対に手に入れたいものですよね。

さて、今回お伝えした内容はあくまで『基礎』。
実際はもっと細かく、いろんな制度と絡み合っていて複雑です。

  • 自力での解決はやっぱり難しいかも。。
  • 早めに解決してしまいたい。。

こんな方はやはり、専門家への相談が安心です。

状況によっては『遺留分以外の対策』が合っていることも。
効率よく対策ができ、さらに大幅な節税ができるかもしれません。

相続は長引く程エネルギーを消費します。
無理のない、納得できる相続達成を目指していきましょう。

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