【100%無効】想い届かぬ共同遺言とは?ムダな遺言・価値ある遺言

こんにちは。相続税理士の天尾です。('ω')
今回のテーマは、『共同遺言』。

相続に備え、遺言書づくりを視野に入れている人も多いでしょう。
遺産遺しにおいて遺言書はとっても効果的。

しかし、間違った書き方をすると効力が無くなり、無効となってしまうのです。

「共同遺言とは」
「有効な遺言でなきゃ困る!無効になる条件は?」

こんな方はぜひ、読んでみて下さい。

せっかく作った遺言書が、何の役にも立たないなんて悲しすぎます。
これから遺言書を作る人はもちろん、すでに作成してしまった方も一度確認してみましょう。

思い描く相続実現に向け、この記事を参考にしてみて下さい。

100%無効!共同遺言とは?

共同遺言とは、『複数の人が同じ遺言書で遺言を遺すこと』。
民法で禁止されており、夫婦や兄弟などが一緒に作った遺言書は効果を発揮しません。

無効になるNG条件

  • × 同じ紙におまとめ遺言
  • × 複数人の署名(連名)

つまり、『各自それぞれ別の紙』で遺言を遺さなければ意味がありません。
共同遺言は、ただの紙切れになってしまうので注意しましょう。

ちなみに、共同遺言が禁止されている理由は主に3つ。
遺言書の本来あるべき効果が最大限に活きてこないため、NGとなっています。

禁止理由

自由が制限されるから

  • 『自分の意思』を自由に遺す
  • 修正や取消を自由に行うことで『最終意思』を遺す

遺言書において、『他人の意思』や『遠慮』は不要。
望まない遺言の可能性が生まれるため禁止です。

有効無効の判断が難しくなるから

遺言書の書き方には、ルールがいくつもあります。
例えば、署名や押印が無ければ遺言書としては無効。

一部の人だけ無効な書き方をしている場合、有効無効の判断が非常に難しくなってしまうのです。

不明確な基準は、トラブルの原因となります。
保障された遺言が成立しないため、禁止です。

すべての遺言実現ができないから

例えば、夫婦で相続させ合う遺言を書いたとしましょう。

  • 【夫の遺言】家を『妻へ』相続させる
  • 【妻の遺言】土地を『夫へ』相続させる

お互いに遺贈させるだけの遺言は、両立が不可。
なお、このような遺言は『無効』となるので注意しましょう。

◆・【例】『夫⇒妻』の順で亡くなった場合・◆

【夫の遺言】= 成立
家を妻が相続する

【妻の遺言】= 不成立
夫はすでに亡くなっているため、遺言どおりに実行できない

事例から学ぶ共同遺言の基準【ざっくり解説付】

ここでは実際にあった、裁判事例をご紹介。
共同遺言と判断され無効になったケース、共同遺言にならなかったケースを見ていきましょう。

ただし、裁判事例はあくまで判断基準の参考です。
必ず同じ結果になる保証はありませんので注意しましょう。

また、あえて危ない橋を渡る必要はありません。
グレーゾーンな遺言書は、面倒でもイチから作り直した方が安全に遺すことができます。

有効な遺言書を作るための判断材料として活用していきましょう。

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【有効】共同遺言にならなかったケース

ページ単位で名義分けできる遺言書

2人の遺言書が合わさり、『1冊』の遺言書になっているケース。
全部で4ページあり、作成名義が明確に分かれています。

  • 【P1~P3】Dさん名義
  • 【P4】Bさん名義

一つにまとめられているものの、簡単に名義別に分けることができるため有効。
遺言内容もそれぞれの意思であると判断され、共同遺言にはなりませんでした。

(最判平成5年10月19日)

事例資料あり

勝手に連名で書かれた遺言書

2人分の遺言や署名を、1人が単独で書いたケース。
もう一人の方は何も知らず、勝手に共同遺言が作成されていたというものです。
『書いた側の遺言書』として有効になりました。

【内容】

  • AさんとBさんは、遺産分けについて生前から話し合っていた
  • 遺言書作成についてはとくに話したことはなかった
  • Aさんは単独で、連名の遺言書を作成
  • Bさんの署名や押印も、すべてAさんが行った
  • BさんはAさんが亡くなるまで、遺言書の事実を知らなかった
  • 『Aさんの遺言書として』有効

(東京高裁昭和57年8月27日判決)

【無効】共同遺言になったケース

共同人が無効な書き方をした遺言書

2人のうち1人が『署名』をしていないケース。
そもそも遺言書は正しく書かなければ無効になりますが、署名もその一つです。

1人が無効になったことで、共同遺言ではなくなるのではないか、という内容。
判決は共同遺言となり、無効。

どちらの想いも実現できない結果となってしまいました。

(最判昭和56年9月11日)

事例資料あり

お役立ちmemo
★こんな時も遺言書として有効

それぞれ書いた遺言書が、『同じ封筒』に入っているだけの時は有効。
遺言書自体は紛れもなく個人で書いたものであるためです。

しかし、誤解を招いてしまう可能性はゼロではありません。
せっかくそれぞれの想いを書いたわけです。

もうひと手間だけ加え、封筒もしっかり別々にしておきましょう。

共同遺言だけじゃない!遺言書が無効になる条件

無効になる原因は、共同遺言だけではありません。
そもそも遺言書には『作成ルール』があり、正しく遺さなければムダになってしまいます。

ここでは、遺言書のタイプ別に無効条件をご紹介。

  • 自ら書く【自筆証書遺言】
  • 公証人に書いてもらう【公正証書遺言】

有効な遺言書づくりのため、しっかりチェックしておきましょう。

自筆証書遺言

◆:無効条件

  • パソコンを使って書いた
  • 代筆してもらった
  • 署名&押印がない
  • 正しい日付が書かれていない
  • 録音や動画による遺言
  • 加筆や修正が正しくされていない
  • 指定する相続人や財産があやふや
  • 第三者に偽造されたもの
  • 第三者に強制的に書かされたもの

◆・補足・◆

日付

  • 『吉日』など日付が特定できない書き方はNG
  • 『ひな祭り』『クリスマス』など特定できる書き方はOK
  • 自筆していないスタンプ印はNG

加筆&修正

  • 詳しくは『修正ルール』をチェック

指定する相続人

  • とくに同じ名前の人がいる時は注意
  • 氏名の他、【続柄】【生年月日】【住所】を書いておけばより確実

指定する財産

  • 【不動産】登記簿の内容を記載しておくと◎
  • 【預貯金】口座情報を記載、または通帳のコピーを同封しておくのが◎

公正証書遺言

◆:無効条件

  • 証人になれない人が立ち会っている
  • 証人の人数が足りない
  • 第三者に強制された内容のもの
  • 遺言者が認知症だった

◆・補足・◆

証人になれない人

  • 未成年
  • 推定相続人(将来、相続人になるであろう人)
  • 推定相続人の配偶者
  • 推定相続人の直系血族
  • 受遺者(遺言書により財産をもらう人)
  • 受遺者の配偶者
  • 受遺者の直系血族
  • 公証人の配偶者
  • 公証人の四等身内の親族
  • 公証役場の職員
  • 相続欠格者

証人の必要人数

  • 2人以上
  • 証人は自分たちで手配する必要あり

◆・修正ルール・◆

◆:加筆

  1. 【挿入記号】を使って付け加える
  2. 加筆した近くの余白に、【加えた文字数】【署名】【押印】
  3. 最後の余白に【加筆箇所】【加えた文字数】【加筆内容】をまとめ、【署名】

補足

  • 押印は、遺言書に使っているハンコと同じものを使う

◆・例・◆

◆:訂正

  1. 【二重線】で消し、訂正後の内容を書く
  2. 訂正した『近く』に【訂正印】
  3. 最後の余白に【訂正箇所】【訂正前と訂正後の内容】をまとめ、【署名】

補足

  • 訂正印は、二重線の上にしない
  • 修正テープや塗りつぶしはNG
  • 訂正印は遺言書に使っているハンコと同じものを使う

◆・例・◆

◆:削除

  1. 二重線で消し、『近く』の余白に訂正印
  2. 最後の余白に【削除箇所】【削除内容】をまとめ、【署名】

補足

  • 訂正印は、二重線の上にしない
  • 修正テープや塗りつぶしはNG

◆・例・◆

【夫婦遺言】協力対策はOK!理想の財産遺し望むなら

夫婦遺言とは、夫婦同士でお互いに財産を遺し合う遺言のこと。
夫は妻へ、妻は夫へ財産を相続させる遺言書を遺します。

  • 「夫婦2人の財産を渡したくない人がいる」
  • 「残された配偶者が、疎遠な親族とトラブルにならないか心配」

こんな時に活躍する対策法です。
夫婦遺言を作るポイントは2つ。

◆・夫婦遺言のポイント・◆

  • Point1. 夫婦それぞれ遺言書を遺す
  • Point2. 配偶者が先に亡くなった時の対策として、予備遺言も遺す

あまりしっくり来ない方のために、2つの例をご用意。
夫婦遺言のイメージと効果を確認してみて下さい。

【ケース①】兄弟姉妹に遺したくない

夫婦に子どもがいなく、両親や祖父母もすでに亡くなっている人におすすめ。
夫婦遺言をフル活用すれば、兄弟姉妹に遺産を遺さないようにすることが出来ます。

こんな内容を遺言にしよう

【夫の遺言書】

  • 自分が死亡したら『すべての財産を妻へ』相続させる
  • 妻が先に死亡した場合は、すべての財産を友人Aへ相続させる(予備遺言)

【妻の遺言書】

  • 自分が死亡したら『すべての財産を夫へ』相続させる
  • 夫が先に死亡した場合は、すべての財産を友人Aへ相続させる(予備遺言)

ポイント

  • 配偶者が先に亡くなった場合の対策として、『予備遺言』を必ず書くこと
  • 1円も渡したくない場合は、『全財産を配偶者へ』と書くこと

メリット

  • 仲の悪い兄弟姉妹に『財産を遺さずに済む』
  • 残された配偶者は、『義兄弟姉妹と遺産分割協議をする必要がない』
  • 『兄弟姉妹には遺留分がない』ため、全財産を配偶者に遺しても請求されることはない

注意点

  • 予備遺言がない場合は『無効』(お互いに相続させるだけの内容はNG)

【ケース②】一部の子に遺したくない

財産

  • 【自宅】夫の財産
  • 【土地】妻の財産

家族構成

  • 子A
  • 子B

例えば、夫婦2人の財産を『子B』には遺したくないとしましょう。
こんな時は、以下のような遺言を遺すと効果的です。

こんな内容を遺言にしよう

【夫の遺言書】

  • 自分が死亡したら『自宅を妻へ』相続させる
  • 妻が先に死亡した場合は、自宅は『子Aへ』相続させる(予備遺言)

【妻の遺言書】

  • 自分が死亡したら『土地を夫へ』相続させる
  • 夫が先に死亡した場合は、土地は『子Aへ』相続させる(予備遺言)

ポイント

  • 配偶者が先に亡くなった場合の対策として、『予備遺言』を必ず書くこと

メリット

  • 特定の子どもに財産を遺せる

注意点

  • 予備遺言がない場合は『無効』(お互いに相続させるだけの内容はNG)
  • 財産をもらった子は、もらっていない子から『遺留分の請求』を受けるかもしれない

お役立ちmemo
★困ったら迷わず専門家へ

「いざ作ってみようと思ったけど、やっぱり不安」
「この遺言書で大丈夫?」
「遺留分のことがよく分からない」

遺言書づくりは専門家を頼ってしまって全然OK!
むしろ確実性が増し、安全に対策することができます。

依頼や相談ができる専門家は以下のとおり。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 弁護士
  • 税理士

ただし、それぞれの事情によってどの専門家を選ぶか見極める必要があります。
迷った時は、『ワンストップサービス』を受けれるところがおすすめ。

各専門家と連携しており、状況に合った対策をしてくれるので安心です。

【専門家の選び方】についてはこの記事も!

【最後に】この記事のまとめ

  • 共同遺言とは、【同じ紙】に【連名】で書いた遺言書のこと
  • 【自由の制限】【判断基準の複雑化】【実現困難】などの理由から禁止されている
  • 【共同遺言と判断された遺言書】や【ルールに反した遺言書】は無効
  • 例外的に認められた事例もあるが、最善は【危険な遺言書を作らないこと】
  • 遺産を遺したくない人がいるなら、【協力対策できる】夫婦遺言が効果的

遺言書は、今すぐにでもできる優秀な生前対策の一つ。
理想の相続への可能性が広がるため、作っておいて絶対に損はありません。
相続トラブルにも備えることができるため、ぜひ作っておきましょう。

ただし、遺言書づくりは単純に有効なものを作ればイイというわけではありません。
個人の状況次第では、別の問題も考慮しながら作成する必要もあるでしょう。

  • 遺留分
  • 相続税の負担
  • 特例を使った節税面

自己判断が難しいと感じる人は、専門家へ相談してしまいましょう。

一から十まで、全て自分自身でやることだけが正解ではありません。
重要なのは、最善の相続を達成し後悔をしないことです。

視野を広げ、自分に合った方法を見つけていきましょう。

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